カフェノートで二十二年前の君と出会えた奇跡(早乙女のことを思い出して

なかじまあゆこ

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旅行前日

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  そして、いよいよ旅行の前日になった。今、わたし達は旅行研究部同好会の部室で会議を開いている。

「明日はいよいよ旅行研究部同好会の記念すべき夏の旅行です」

  部長のわたしはホワイトボードに黒のマーカーで『明日から旅行研究部同好会の記念すべき夏の旅行です』と書いた。

  わたしは、自分の書いた文字を眺め改めて明日から旅行なんだよねと実感した。

「明日は寝坊のないように気をつけてくださいね」

  わたしが腰に手を当てて部長らしいポーズを取ると奈央が、「は~い!」と手を挙げた。

「奈央君、何ですか?」と部長らしく聞くわたしに奈央は。

「寝坊のないように気をつけなきゃならないのは早乙女さんで~す」と言って笑った。

  なんて憎たらしい奴なんだと思いわたしは奈央を睨み付けた。

「だって、本当のことだよね」

  奈央はそう言って鼻を鳴らした。

  わたしは、「うるさいな」と言って怒り爆発なんだけど、明日は旅行だと思うと嬉しくなりなんとか怒りを抑えた。


  家に帰るとわたしは旅行の荷造りを始めた。紫色のボストンバッグに明日から旅行に持っていく荷物をどんどん詰め込んだ。

「あ、ボストンバッグがぱんぱんになってしまったよ~」

  パジャマに服、水着、タオル、本、化粧水や乳液、洗顔料などのスキンケアアイテムに日焼け止め、お菓子、ぬいぐるみ、筆記用具などを詰め込んだのだけどなぜだかぱんぱんになった。

  どれもこれも必要な物なんだよねと溜め息をつく。

  それから絶対に忘れてはならない持ち物はカフェノートだ。

  わたしは旅行の準備を中断してカフェノートを開いた。すると、祐介君の豪快で大きくて綺麗な文字が浮かび上がっていた。

『早乙女ちゃん、こんばんは。明日から待ちに待った旅行だね。俺は旅行の準備が終わったよ。早乙女ちゃんも終わったかな~祐介』と書かれていた。

『祐介君、こんばんは。う~ん、それがまだ終わらないんだよね。ボストンバッグはぱんぱんに膨れ上がってしまったよ。早乙女』

『早乙女ちゃんは女の子だから荷物が多いのかな?』

『うん、そうなんだよね。服もたくさん必要だし一緒に寝るぬいぐるみもあるしね』

  わたしは、困ったなと思いながらクマのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。

『あの……早乙女ちゃんぬいぐるみってなんですか?』

『えっ?  ぬいぐるみってなんですかって祐介君まさかぬいぐるみ知らないの?  そんなわけないよね』

  わたしが生まれる前だけど、西暦二千年にぬいぐるみが存在していないなんてあり得ない。

『いやいやぬいぐるみは知っているけど何故旅行に必要なのかなと思ったんだよ』

『それは、クマのぬいぐるみと一緒に眠らないと落ち着かないからだよ』



  わたしは祐介君とカフェノートでのやり取りを旅行の前日にもした。それが楽しくていろいろ書いてしまった。

  クマのぬいぐるみと一緒に眠らないと落ち着かないと話したら祐介君は笑っていたけれどそんなに可笑しかったかなとわたしは首を傾げた。

  わたし達はカフェノートの残りのページ数を気にしながらもたくさんカフェノートを通して会話をした。

『では、明日の旅行をお互いに楽しもうね。祐介』

『うん、お互いに明日からの旅行を楽しもうね。早乙女』

  明日からの旅行はきっと楽しくなるはずだ。わたしは、にんまりと笑いカフェノートを閉じて旅行の準備を再開した。

  持って行く紫色のボストンバッグはぱんぱんに膨れ上がってしまったけれど服を何枚か減らして準備が完了した。

  明日からの旅行が楽しみだ。さあ、明日は早いから早く寝よう。わたしは、枕元にカフェノートとクマのぬいぐるみを置いて眠りについた。

  夢の中のわたしは、クマのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめていた。すると、お父さんが『早乙女ちゃんはいつまでも子供だね』と言って目を細めて笑っていた。

  わたしは『子供じゃないもんね』と言って頬を膨らませクマのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。

  そんな夢を見た。お父さん、あなたに会いたいな。
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