カフェノートで二十二年前の君と出会えた奇跡(早乙女のことを思い出して

なかじまあゆこ

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旅行当日だよ

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  鳥の鳴き声が聞こえる。チュンチュンチュンチュンと鳴いている。朝なんだねと鳥のさえずりと共に目を覚ますなんて幸せなことだ。

「姉ちゃん、朝だよ~」

  誰かの声が聞こえてくる。せっかく朝から良い目覚めだと思っていたのに台無しになるではないか。

「姉ちゃん、朝だってば、起きろよ~」

  鳥がチュンチュンチュンチュン鳴いて心地よい朝だと言うのに誰かの声がわたしの朝の爽やかな目覚めを邪魔するのだ。

「早乙女~何回、呼べば起きるんだよ~」

  わたしのことを早乙女と呼ぶなんて信じられない。お父さんだったらわたしのことを早乙女ちゃんと呼んでくれるはずだ。

「早乙女、起きろよ!  間に合わなくなったらどうするつもりなんだよ」

「さ、早乙女と呼ぶな~そして、わたしの心地よい朝の目覚めを邪魔しないでよ!」

  わたしの眠り、いえ、わたしの爽やかな目覚めを邪魔する誰かに向かって叫んだ。

  今日は楽しい旅行にするのだから。

「……あのね、姉ちゃん。今日は関西旅行だよね」

「ん?  姉ちゃん?  関西旅行?」

「そうだよ、旅行研究部同好会のみんなとの待ち合わせに遅れたらどうするんだよ」

  わたしは、「わぁ~起きていなかった」と叫びベッドから飛び起きた。

   そして、目を開けると奈央の呆れたように溜め息をつくその顔と目が合った。

「……おはよう、姉ちゃん。昨日姉ちゃんは偉そうに腰に手を当てて明日は寝坊のないように気をつけてねと言ったよね」

「……言いました」

  わたしは、しょんぼりと答えた。



  眠たい目を擦りながらわたしは下に行く。今日もパンの香ばしい香りがふわふわふわりと漂っている。

  わたしは急いでトーストを口に運んだ。うん、バターの香りがふわふわじんわりと口の中に広がる。

  うん、美味しい、幸せだと微笑みを浮かべた。

「姉ちゃん、幸せそうにトーストを食べている場合じゃないよ。待ち合わせに遅れてしまうよ」

  その声に視線を向けると奈央はボストンバッグを手に持ち立っていた。

「だって、美味しいんだもん。あ、でも急がなきゃ。おばあちゃんごちそうさま~」

  わたしは、ガタンと椅子から立ち上がった。今日から旅行なのだ。おもいっきり楽しまなくてはね。

「さあ、奈央行くわよ!  早乙女部長に着いて来なさい!」

  わたしは腰に手を当てて部長らしいポーズを決めた。


  おばあちゃんとお母さんは玄関まで出てきて「気をつけていってらっしゃい」と言って旅行に行くわたし達に手を振った。

「いってきま~す」とわたしと奈央は声を合わせて元気よく挨拶をして手を振った。

 わたしと奈央は歩き出した。そして、くるりとわたしが振り返るとおばあちゃんとお母さんはまだ手を振っていた。

  見送ってくれるおばあちゃんとお母さんの姿を見ると、なんだか小学生だった頃のわたしと奈央の姿がキラキラとよみがえってきたような気がした。

  幼かった奈央と手を繋いで歩いた通学路が懐かしい。あの頃の奈央は可愛かった。それなのに今は山猿みたいになってしまった。

「姉ちゃん、俺の顔に何かついている?」

「ううん、なんでもないよ。さあ、急ぐよ」

  
  わたしと奈央は旅行研究部同好会の仲間と待ち合わせをしている駅前に急いで向かった。

「あ、やっと来たよ~おはよう、早乙女ちゃんに奈央君」

  亜子ちゃんがこちらに向かって元気よく手を振った。久美佐ちゃんと青橋君も笑顔を浮かべ手を振っている。

「おはよう~亜子ちゃん、久美佐ちゃん、青橋君」、「おはよう、亜子さん、青橋、久美佐さん」とわたしと奈央も挨拶をして手を振り返した。

「さあ、わたし達の旅の始まりだよ」

  わたし達旅行研究部同好会御一行は駅のホームへと向かった。

  
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