異世界カフェ食堂で皿洗いをしますと思ったら日本料理を創造する力が与えられていた!(もふもふ聖獣猫のモフにゃーと楽しく日本料理を創造します)

なかじまあゆこ

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黄色のバスに揺られ異世界へ

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 不思議な夢を見た。キラキラと輝く黄色のバスに乗り込むわたしの姿が見えた。けれど、その姿はわたしとは別人の誰かのようだ。

 それなのにその女性はわたしだと直感した。バスの車内にはわたし以外の老若男女が数名乗っている。

 わたし達はこれからどこへ行くの? 幸せが満ち溢れている場所だったら嬉しいな。そう願いながらゆっくり目を閉じた。

「アリナちゃんいつまで寝ているのにゃん?」

 その声に目を開けるとモフにゃーがわたしの顔を覗き込んでいた。

「あ、モフにゃーおはよう」

 わたしは眠たい目をゴシゴシと擦りながら朝の挨拶をする。

 そして、ベッドからぴょーんと飛び降りピンク色のふわふわもこもこのスリッパを履く。

 このもこもこのスリッパはわたしのお気に入りなんだ。

「お父さんが可愛らしいアリナはまだ寝ているのかいって呼んでるにゃん」

「お父さんってばわたしを甘やかしすぎだよ」

 わたしは真っ白なもふもふな聖獣猫モフにゃーを抱っこし廊下をトテトテと歩く。

「甘やかしすぎってにゃん。アリナちゃんこそわたしを甘やかしすぎだよ」

 そう言ってモフにゃーはくりくりの空の色によく似た大きな目でわたしを見上げる。

「だって、モフにゃーはめちゃくちゃ可愛いんだもん」

「それってお父さんが言ってることと同じだにゃん」

「あはは、そうかな? モフにゃーは愛すべき存在なんだも~ん」

 わたしは愛くるしい聖獣猫モフにゃーをぎゅっと抱きしめた。普通の猫よりちょっと牙が長くて口からちょこんと飛び出している。それがまたチャームポイントかな。


「おはよう~お父さん、お母さん」

 わたしは食事の間の扉を開けながら朝の挨拶をする。

「おはよう~俺の可愛らしいアリナよ」

 透明感のあるシルバーヘアをかきあげお父さんは頬を緩め、それはもうとろけるような微笑みを浮かべたかと思うとわたしをぎゅっと抱きしめた。

「お、お父さんってば苦しいよ~」

「おっ、そうかごめんよアリナ」

 ジタバタするわたしに謝りながらもぎゅっと抱きしめ続けるお父さん。

「やめてよ~」と文句を言いながらも本当は嬉しかった。ちょっと苦しいけれど。

 だって、わたしを抱きしめるお父さんの肌から温もりと優しさと愛情を感じるんだもん。

「あらあら、お父さんアリナが嫌がっているわよ」

 お母さんが目を細めわたしとお父さんを交互に見ている。

「アリナとの朝の挨拶だもんな」

 ちょっと低めだけど甘い声でそう言いながらやっとわたしから体を離し、ぽんぽんと頭を撫でる。

「アリナに嫌われないように気をつけてくださいね。さあ、朝食にしましょう」

「わ~い! 朝ご飯だ~」
「朝ご飯だにゃ~ん」

 わたしとモフにゃーは両手を上げバンザイをする。



 木製のテーブルには美味しそうな料理が並べられている。

 人参やキャベツ等の野菜類と豚肉入りのスープ、ライ麦パン。それにわたしの大好きなハチミツもある。

 わたしは椅子に腰を下ろしながら目をキラキラと輝かせる。わたしは食べることが大好きなんだ。

「アリナたくさん食べて大きくなるんだぞ」

 お父さんはわたしの真正面に座りニコニコととろけるような笑顔を浮かべている。

「は~い!」とわたしは元気よく答えた。

「あ、そうだ。大きくなるのも楽しみだがアリナはまだまだ小さな娘のままでいてほしいな」

 お父さんはわたしを愛してくれている。これがいわゆる娘を激愛する父親なのだろうか。

「うん、お父さん。わたしまだまだ幼女のままでいるね」

 わたしはニコッと笑ってみせた。

 お父さんの愛情表現はちょっと鬱陶しくて暑苦しいけれど、嬉しくもあるのだ。だって、わたしは……。お父さんをチラチラ見ていたその時。

「アリナ来月六歳の誕生日よね。誕生日パーティーをしなくちゃね」

 お母さんがミルクボウルをわたしの目の前に置きながら言った。


「おっ、そうだったな。誕生日パーティーが楽しみだな」

 わたしが返事をするよりも先にお父さんが答え、そして「アリナも六歳になるのか」と感慨深げに言ってどこか遠くを見つめる目になる。

「うん、六歳だよ」

 わたしはミルクボウルに口をつけゴクゴクと大好きな牛乳を飲みながらそう言った。

 ただ、この六歳という年齢に少し違和感を感じるのもまた事実だ。それは、わたしが前世いや違う。元々はこの世界の人間ではなかったしわたしは死んでないはずだ。

 そう、わたしはキラキラと輝く黄色のバスに乗せられこの異世界へやって来た。漫画や小説でよく見かけるいわゆる異世界召喚ってやつだ。あの夢でよく見る女性は安莉奈ありなことわたしなのだ。

 あれは夢ではない。わたしは地球に住んでいた。そう日本に……。その日本で暮らしていたわたしは毎日辛くて悲しくてどうしようもない気持ちを抱えていた。

 そのことを思い出したのはこの世界で三歳の誕生日を迎えたばかりのある日のことだった。

 風邪をこじらせ寝込んでいたわたしは夢を見た。

 そう青い星地球の夢を見た。

 この世界とは異なる地球という惑星の中にある日本でわたしは生きていた。

 そんなわたしがいつの間にか異世界であるグリーン王国の住人になっていた。今の両親であるモリーナ夫妻に二歳の頃拾われて。

 わたしに何が起こったのかというとそれは。
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