異世界カフェ食堂で皿洗いをしますと思ったら日本料理を創造する力が与えられていた!(もふもふ聖獣猫のモフにゃーと楽しく日本料理を創造します)

なかじまあゆこ

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わたし日本料理を創造します

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 先程神様と一緒にオムライスを作った要領でわたしはもう一度挑戦する。

 オムライスを思い浮かべる。

 すると、わたしの目の前にふわふわとろとろの卵にトマトケチャップがかけられているオムライスがぽわんと創造できた。

「うわぁ~美味しそう」

 そうだ、あの二人に食べてもらおう。その前に味見をしなくちゃね。

 わたしはスプーンを手に取りオムライスを口に運ぶ。

 思い浮かべたオムライスと同じ味がした。ううん、それ以上に美味しいよ。ケチャップと鶏肉がたくさん入っているチキンライスが卵と良く合い、これはもう美味しくてほっぺたが落っこちる。

 ぐふふ。

「美味しいオムライスを創造しちゃいま~す」

 わたしはオムライスをさらに二人前創造した。

 それをお隣りの経営者の目の前にど~んと置いた。

「こ、これは何だ?」
「え? 大きな卵かな?」

 お隣りの食堂経営者の兄妹はオムライスに目を落とし驚いているようだ。

「やった~びっくりしてるよ」

 わたしは口元に両手を当てて笑った。


「おい、ちょっとアリナちゃん。これは何だよ?」

 振り返ると兄がオムライスを指差していた。

「オムライスだよ」
「はぁ? オムライスって何だよ?」

 兄は首を傾げわたしの顔とオムライスを交互に見る。
 
「鶏肉や野菜などを混ぜたごはんをケチャップで味付けして、それを卵に包んだものだよ」

 わたしは胸を張り得意げに言った。

「そんなもの見たことないぞ」
「わたしも知らないよ」

 兄妹は怪訝そうな表情をする。

「きっと、美味しいと思うので食べてみてね。あ、そうだお兄さんとお姉さん、名前は何ていうんですか?」

「自己紹介してなかったな。俺はアクアだ」
「アクマさん?」
「アリナちゃんふざけているのかな? アクマじゃないよ。アクアだ」
「ごめんなさ~い。アクアさん」

 でもアクマの方が似合っていたりして。なんて口に出して言えないけれど。本物の悪魔になったら恐ろしいもんね。

「アリナちゃんは何をブツブツ言っているのかな?」

「な、何でもありません」

「お兄ちゃん、アリナちゃんはまだ小さいんだからいじめちゃダメだよ」

「はいはい、わかったよ~」

 アクマさん、あ、違う……。アクアさんは、どうやら妹に弱いようだ。

「わたしはストロベリーナよ。アリナちゃんよろしくね」

「わぁ~お姉さんはストロベリーナさんって名前ですか。ストロベリーみたいで可愛らしいね」

 ストロベリーナさんのストロベリーブロンド色の髪に名前が似合っているなーと思いわたしはニコニコした。

「うふふ。アリナちゃんありがとう」

 ストロベリーナさんはとても嬉しそうだ。

「なんか可愛らしいイチゴがイメージできる名前で羨ましいです。それにストロベリーナさんの髪の色と丸っこくて可愛らしい目にピッタリって感じだよ」

「わ~い! ピッタリな名前だなんて嬉しいな~」

 ストロベリーナさんの顔に笑顔の花が咲いた。

「おい、アリナちゃん!」
「はい、アクアさん何ですか?」
「ストロベリーナと俺の扱いが随分違うね」

 アクアさんはおもしろくない顔をする。

「だって、優しさが違うもん」
「ふん、何が優しだよ」
「それより早くオムライスを食べてください」
「はぁ、それよりってな。まあ、取り敢えずオムライスとやらを食べてやるよ」

 アクアさんは嫌そうな顔をしながらスプーンを手に取る。

 一方ストロベリーナさんはにこやかな笑顔を浮かべスプーンを手に取った。

 二人はどんな反応をするかな?

 モフにゃーは今もオムライスをそれはもう幸せそうに食べている。ってわたしの食べている途中のオムライスもはむはむしていた。

 もう、モフにゃーってば食いしん坊なんだから。仕方ないか。可愛らしいのでまあ、いっか。
 


 それはそうと、アクアさんとストロベリーナさん兄妹はオムライスを食べてくれているかな? と視線を向ける。

 すると、二人の表情は。え!!  なんと!!

 頬を緩ませスプーンが止まらない勢いでオムライスを食べていた。これはきっと。

「このオムライス美味しい~たまらない美味しさだよ。ちょっと甘くて幸せ」

 ストロベリーナさんのその表情は幸せそのものだ。見ているわたしまで幸せな気持ちになるって感じだ。

 一方アクアさんは。

「く、く、クソ~」と叫んだ。

「アクアさんどうしたんですか?」

 わたしが尋ねるとアクアさんは。「悔し~い!!」と言った。しかもなぜだかぷるぷる肩を震わせている。

「悔しい?」

 わたしは小首をかしげる。

「おい、アリナ」
「はい、何ですか?」
「わざと、きょとんとしているのか?」
「まさか?」
「このオムライスとやらはアリナが作ったのかい?」
「はい。わたしが創りました」

 わたしはにっこり笑顔で答えた。

「信じられない……」

 アクアさんはスプーンを手に取りもう一口オムライスを食べた。

 そして、「く、くそ~くぅ~美味しいぞ」と叫んだ。
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