異世界カフェ食堂で皿洗いをしますと思ったら日本料理を創造する力が与えられていた!(もふもふ聖獣猫のモフにゃーと楽しく日本料理を創造します)

なかじまあゆこ

文字の大きさ
21 / 268
アリナの創造日本料理がほのぼのにこにこカフェ食堂のメニューになります

3

しおりを挟む

 ライオン魔獣鳥が猫のように嬉しそうにしているなんてあり得ないよね。

 と、思ったんだけど……。

「そこの猫ちゃん主《あるじ》よ、俺に名前を付けてくれ」とライオン魔獣鳥はモフにゃーを見て言った。

「んにゃん? わたしにゃん?」

 モフにゃーはそれはもう驚いた様子で自身を指差す。

「そうだ。この俺を手懐けたのだからな」

 ライオン魔獣鳥はそう言ってガォーと吠えた。

「へ!? わたしがライオン魔獣鳥を手懐けたにゃん?」

「そうだ。この百獣の王ライオン魔獣鳥をテイムしたのだからな……信じられない猫ちゃん主だよ」

 ライオン魔獣鳥は信じられないと言いつつ口元を緩め嬉しそうに見える。

「わたし猫ちゃんじゃないにゃ。聖獣猫のモフにゃーだにゃん」

 モフにゃーは鼻の穴をぷくっと広げにゃははにゃんと胸を張る。

「モフにゃーそれは失礼した。では、改めて聖獣猫のモフにゃーよ。俺に可愛らしい名前を付けてくれ」

 ライオン魔獣鳥はそう言ってモフにゃーの顔を真面目な表情で見つめた。

 百獣の王ライオン魔獣鳥と言いつつ可愛らしい名前を付けてほしいんだと思うと可笑しくってわたしはクスッと笑ってしまった。

 
「おい! そこの幼女さん」
「あ、はい。わたしのことですか?」

 わたしは、ライオンの体に羽を生やしたそれはそれは恐ろしい姿の魔獣相手に笑ってしまったよーと焦る。

 わたしってばバカバカ。アンポンタンだ。手をグーにして自分の頭をポンスカポンポンと叩く。

「そうだ。幼女さん。俺のことを笑ったな」

「ご、ごめんなさい。えっとその怖い姿なのに可愛らしい名前を付けてほしいなんて愛らしいな~と思ったんだよ」

 わたしはビクビクしながら答えた。

「なぬぬ、俺を愛らしいと言ったのかい」

「うわぁ~ごめんなさい。だって、怖い姿なのに可愛らしいんだもん」

 わたしはペコペコと頭を下げた。

「アリナちゃんを許してあげてにゃん」 

 モフにゃーも一緒に謝ってくれた。 

「あはは、許すも何も俺は怒っていないぞ。可愛らしいや愛らしいと言われると嬉しいのだからな。それはそうと、モフにゃー主よ早く俺に名前を付けるのだ~」

「うん、わかったにゃん」

 モフにゃーは顎に手を当てて考えている。

 そんなモフにゃーをライオン魔獣鳥は期待に満ち溢れた表情で眺めている。

 なんだかライオン魔獣鳥が可愛らしく見えてきた。わたしはもふもふ好きなんだもん。

 わたしがライオン魔獣鳥を眺めニコニコしていると、モフにゃーが「ライオン魔獣鳥の名前を決めたにゃん」と言った。

 果たしてその名前は……。



「名前を発表しますにゃ~ん!」

 モフにゃーはにゃぱーと笑いわたしとライオン魔獣鳥の顔を交互に見る。

「ほっほ~これはワクワクの瞬間じゃな」

「なんかわたしまでドキドキしちゃうよ」

 わたしとライオン魔獣鳥はモフにゃーに期待のこもった熱い眼差しを向けた。

「にゃ~ん! ライオン魔獣鳥の名前はギャップと決定しましたにゃん」

「ギャップ」
「ギャップかい」

 わたしとライオン魔獣鳥はほぼ同時に言った。

「はいにゃん。ライオン魔獣鳥は見た目怖いけど、中身が可愛らしくてギャップがあるなと感じたのでギャップと付けたにゃん」 

 そう答えたモフにゃーは得意満面の笑みを浮かべた。

「あはは、そうかい。俺の名前はギャップだな。これは嬉しいぞ」

 ライオン魔獣鳥改めギャップはガォーと吠えた。

 うわぁー吠えないで。喜んでいるみたいだけど怖いってばもう……。

 それにしてもとても恐ろしいと思っていたライオン魔獣鳥が口元を緩め嬉しそうなんだからびっくりしちゃうよ。



 わたしとモフにゃーはライオン魔獣鳥ことギャップを引き連れて『ほのぼのにこにこカフェ食堂(アリナのお料理もございます)』に戻った。

「ただいま~」と挨拶をして店内に足を踏み入れるわたしとモフにゃーに笑顔を向けたお父さんとお母さんの表情がギャップで視線をとめると、

「う、うわぁ~ラ、ライオン魔獣鳥だ~!!」

「きゃあ~!! ラ、ライオン魔獣鳥だわ~!!」 
 
 と、お父さんとお母さんは大声で叫んだ。まあ、そうなるよね。

「何だ? 俺の顔を見て叫んでいるのかい? 俺はギャップだ。よろしくな」

 ギャップはガォーガォーあっはっはと笑った。

 笑うギャップ。その恐ろしさに震えるお父さんとお母さん。

「ん? お二人さんはどうしたんだい?」

 ギャップは不思議そうに首を横に傾げる。

「ギャップさん。お父さんとお母さんは怖がっているかなと思います」

「へ? このカッコいい俺が怖いのか!!」

「だって、猛獣の姿に羽が生えているんだもん……わたしもまだちょっと怖いよ~」

「ふ~む、そうかい。では、こうしよう。チビッコサイズになるぞ」

「へ? チビッコサイズ」
「チビッコサイズにゃん?」 

 わたしとモフにゃーがほぼ同時に言った。

「そうだよ。ふっふん」とライオン魔獣鳥は言ったかと思うと、なんとその体がしゅるるーと小型化した。

 え!! 

 なんと、ライオン魔獣鳥は猫ちゃんサイズになっていたのだ。

 びっくりした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

外れスキル持ちの天才錬金術師 神獣に気に入られたのでレア素材探しの旅に出かけます

蒼井美紗
ファンタジー
旧題:外れスキルだと思っていた素材変質は、レア素材を量産させる神スキルでした〜錬金術師の俺、幻の治癒薬を作り出します〜 誰もが二十歳までにスキルを発現する世界で、エリクが手に入れたのは「素材変質」というスキルだった。 スキル一覧にも載っていないレアスキルに喜んだのも束の間、それはどんな素材も劣化させてしまう外れスキルだと気づく。 そのスキルによって働いていた錬金工房をクビになり、生活費を稼ぐために仕方なく冒険者になったエリクは、街の外で採取前の素材に触れたことでスキルの真価に気づいた。 「素材変質スキル」とは、採取前の素材に触れると、その素材をより良いものに変化させるというものだったのだ。 スキルの真の力に気づいたエリクは、その力によって激レア素材も手に入れられるようになり、冒険者として、さらに錬金術師としても頭角を表していく。 また、エリクのスキルを気に入った存在が仲間になり――。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。

まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。 温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。 異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか? 魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。 平民なんですがもしかして私って聖女候補? 脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか? 常に何処かで大食いバトルが開催中! 登場人物ほぼ甘党! ファンタジー要素薄め!?かもしれない? 母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥ ◇◇◇◇ 現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。 しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい! 転生もふもふのスピンオフ! アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で… 母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される こちらもよろしくお願いします。

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

処理中です...