異世界カフェ食堂で皿洗いをしますと思ったら日本料理を創造する力が与えられていた!(もふもふ聖獣猫のモフにゃーと楽しく日本料理を創造します)

なかじまあゆこ

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お隣の食堂とお客さん

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 ウワァワンウワァワンワン。

 今日も朝から苦手な犬鳥の鳴き声が聞こえてくる。窓から朝の心地よい光が差し込む。

 ああ、眠たい。犬鳥の鳴き声はうるさいけれど、お布団の中があたたかくて心地よくて出たくない。

 でも、起きなきゃ。今日も『ほのぼのにこにこカフェ食堂(アリナのお料理もございます)プラスニホン食』の営業が始まるんだもんね。

 ああ、でもお布団から出たくないよ。

  と、その時。

 ガォーガォーガォーガォーと鳴く声も聞こえてきた。

 ウワァワンウワァワン。

 ガォーガォーガォー。

 これは、犬鳥とライオン魔獣鳥が鳴いている声だ。

 ちょっと待てよ。ライオン魔獣鳥の鳴き声って……ギャップかな?!

 ウワァワンウワァワン。

 ガォーガォーガォーガォー。

 お布団の中があたたかくてふかふかでずっと、この中でゆっくり寝ていた。

「寝ていたいのにうるさ~いよ!!」

 わたしは、布団からガバっと起き上がる。もう、せっかくぬくぬく幸せタイムだったのに。

 ベッドからぴょーんと飛び降りピンク色のふわふわもこもこのスリッパを履く。

 そして、わたしはカーテンを勢いよく開けた。窓も開けベランダに出た。すると……。

「ギ、ギャップちゃん何をしているの?!」

 ガォーガォー、「ん? なんだ、アリナちゃんかい?」と言ってギャップはわたしがいるベランダを見上げた。

「何をってコイツが俺のリンゴを横取りしようとしたんだよ」

 ギャップはわたしから視線を犬鳥に戻しガォーと鳴いた。だから、そのガォーがちょっと怖いんだってば。

「ギャップちゃんはリンゴをどうして外で食べているの?」
「ああ、このリンゴはそこの庭にあったから食べていたんだよ」

 そう答えギャップが指差したのは隣の食堂の庭だった。

「それってまさか……お隣さんのお庭にあるリンゴの木から盗んだってことかな?」

「人聞きが悪いな~リンゴの木に美味しそうな実がなっていたから食べていたんだよ」

 ギャップはさも当たり前といった顔だ。

 そして、「それを俺が目を離した隙にさコイツが食べやがるんだぜ」と言い犬鳥を睨みつけガォーと鳴いた。

 犬鳥はちょっと怯えたような表情になってはいるもののウワァワンウワァワンと鳴きギャップを睨み返す。

 百獣の王鳥であるライオン魔獣鳥のギャップが、怖くないのかな?  まあ、ギャップはチビッコサイズになってはいるけれど。いい度胸だ。

 犬鳥は、羽があるのにクチバシではない大きな口を開けリンゴをかじろうとしている。

「うわぁ~」

 なんてことだ。


「あ、また食べたな。ガォ~!!」

 犬鳥はギャップの吠え鳴きなんて気にしていない。百獣の王鳥の貫禄はまるでなし。ちょっと哀れなギャップだ。

「ギャップちゃんもお隣さんのリンゴを盗んだんでしょ」

 頬をぷくっと膨らませているギャップを見ていると可笑しくて笑ってしまった。

「盗んだんじゃない。そこにあったから頂いたのだ」

 ギャップはそう答え得意げに胸を張ったその時。

「おい、そのリンゴ家《うち》のだろう?」と後ろから声をかけられた。

 この声は……。

 その声に振り向くと、アクアマリン色の美しい目がわたし達とリンゴを交互に見ていた。

「あ、アクマさん。じゃなくてアクアお兄ちゃんだ」
「おいおい、また、アクマと呼んだな。アリナちゃん」
「あはは、ごめんなさい。アクアお兄ちゃん」

 そうなのだ。アプリコット色の髪をさらさらとなびかせたお隣の食堂経営者のアクアお兄ちゃんが立っていたのだ。

「それはそうとそのリンゴは家のだろう?」

 アクアお兄ちゃんは犬鳥が齧りついているリンゴとその周りに転がっているリンゴをじっと見ている。

「えへへ……」

 わたしはこのリンゴと関係ないよ。

「アリナちゃん、えへへじゃないよ」
「アクアお兄ちゃん、わたしはリンゴと無関係だよ~」

 慌てて答えると興奮した声になってしまった。だって、わたしはリンゴ盗みの犯人ではないと伝えたくて……。

「まあ、アリナちゃんがそんなことするわけないか。でも、今更お兄ちゃんを付け加えられてもなアクマと呼んだのにさ」

「ごめんなさい。アクアとアクマって似てるからつい……」

「あっそ、それで、リンゴを食べているのは犬鳥と、あれ? その羽付き動物はまさか……」

 アクアお兄ちゃんは目を丸くしギャップを見ている。

「この子はギャップちゃんだよ~」

「ギャップちゃんって……そいつはチビッコサイズになっているけど……あの百獣の王鳥のライオン魔獣鳥ではないのか?」

 アクアお兄ちゃんの声は驚きのあまりか震えているようだ。

「ふっふん、そうだぞ。俺は、百獣の王鳥のギャップだよ」

 ギャップは得意げに胸を張りアクアお兄ちゃんに視線を向けた。

「ほ、本当にあの百獣の王鳥であるライオン魔獣鳥なのか……」

「そうだよ、カッコいいだろう?」

 ギャップは輝く金色のたてがみを自慢げに肉球のある可愛らしい手で触り、アクアお兄ちゃんにカッコいいアピールをする。

「まあ、そのたてがみは美しくてカッコいいけどな。だけどさ、チビッコサイズで迫力ないぞ。それになんか可愛らしいな」

 アクアお兄ちゃんは口元に手を当ててクスクス笑う。

「な、な、なぬぬ!!」

 ギャップの顔は怒りでみるみるうちに真っ赤になった。
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