異世界カフェ食堂で皿洗いをしますと思ったら日本料理を創造する力が与えられていた!(もふもふ聖獣猫のモフにゃーと楽しく日本料理を創造します)

なかじまあゆこ

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真来の家にお邪魔します

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「安莉奈いただくよ」
「へ? いただく?」
「この桜餅をだよ」
「あ、桜餅ね。うん、食べて~。うさっぴーちゃんも食べてね」
「いただきます」

 真来は頬を緩め桜餅に手を伸ばし口に放り込む。

「いただきま~す」とうさっぴーも可愛らしい手を伸ばそうとしたその時、「いただきますにゃん」と食いしん坊な真っ白な手が桜餅に伸びた。

「あ、モフにゃ~」
「うにゃん?」

 首を傾げたモフにゃーのお口の中に桜餅がで~んと鎮座していた。

「あはは、モフにゃーちゃんのもの凄い勢いに負けたよ」

 うさっぴーはお口に手を当てて笑う。

 そのうさっぴーが笑っている隙にギャップと日焼けが手掴みで桜餅をゲットし口に運んでいる。

「わっ、またまたすごい勢いに負けちゃったよ」

 うさっぴーは赤のお花を付けている長い耳を可愛らしい手で触り笑った。ああ、可愛い。真来はこんなにキュートで優しい聖獣うさぎのうさっぴーと住んでいるんだからきっと、幸せだよね。

 そんなこと考えながら真来に視線を向けるとそれはもう幸せそうに桜餅を食べていた。遥か昔日本に住んでいた安莉奈もこうして真来とぱくぱく桜餅を食べていたと思う。

『真来と食べる桜餅は最高だよ』
『俺も安莉奈と桜餅を食べると美味しさが倍増するよ』

 こんな会話をしながら桜餅を食べる父娘だったのかもしれない。



 カモミールティーと桜餅はちょっと合わないかもだけど、これが意外と美味しい。それと、忘れてはならないのが真来のパイだ。

「真来のパイも食べるね」
「うん、どうぞ食べて」

 わたしは、ナイフを手に取りパイを切る。切ったパイを口に運ぶと熱々のサクッとしたパイ生地に甘酸っぱいたっぷりのリンゴが口の中いっぱいに広がる。うわぁー幸せ。

「アップルパイだね。美味しいよ」

 この世界はリンゴの栽培が盛んだもんね。

「安莉奈のお口に合って良かったよ」

 真来はニコニコしてわたしを見つめている。

「アリナちゃんは真来に愛されているね。いいな」

 うさっぴーが真来の横顔とわたしを交互に見てニコニコしている。

「え? 真来に」
「うん、真来のほっぺたってばめちゃくちゃ緩んでいるもん」

 うさっぴーがそう言うと真来は「そ、そうかな」とちょっと慌てた様子でほっぺたを触る。

「ものすごく緩んでるよ。ああ、アリナちゃんが羨ましいな~」

「でも、うさっぴーちゃんこそ真来と一緒に住んでいて羨ましいよ」

 だって、このお家はとてもあたたかくて幸せが溢れているんだもんね。

「うん、わたしも幸せだよ。でもね、わたしお父さんもお母さんも知らないんだ……真来から聞いたけど、アリナちゃんは真来の娘なんでしょ?」

 うさっぴーはにこやかではあるけれど、その澄んだ目の奥に寂しさも見えたような気がした。
 
「うん、真来は別世界でのお父さんだよ。そっか、うさっぴーちゃんはお父さんもお母さんのことも知らないんだね……」

 わたしは地球での安莉奈が誰よりも不幸だと思っていた。けれど、そうじゃないんだ。それにわたしは、今は幸せであるしね。うさっぴーもきっと、今は幸せだよね。

 その証拠がこのぽかぽかした空間だもん。

「アリナちゃんそんな顔しないで。わたし、幸せだよ。だって、優しい真来と一緒なんだもん。お父さん代わりになってくれているんだよ。だから、アリナちゃんもわたしの家族みたいなものだね」

 うさっぴーは、にこーっと微笑みを浮かべた。

「うさっぴーちゃんが家族! う、嬉しいよ~」

 もふもふが家族に加わるなんて嬉しすぎちゃうよ。

「安莉奈良かったな」

 すっかりアリナから安莉奈と発音している真来が穏やかで愛情に満ち溢れた表情を浮かべわたしを見つめる。

「うん、良かったよ」

 わたしはとびっきりの笑顔になる。

「わたしのことも忘れちゃダメだにゃん」

 お口の周りをパイのカスで汚したモフにゃーがわたしを見て言った。

「そうだったね。モフにゃーはわたしの大切な家族だよ」

「にゃはは、良かったにゃん」

 モフにゃーが嬉しそうに笑いアップルパイを口に放り込む。

「俺も家族だぜガォ~」
「俺も家族になってやるよ」

 これまたお口の周りをベトベトに汚しアップルパイを食べるもふもふなギャップと日焼けが言った。

 わたしは可愛くてばっちい二匹に「家族だね」と言って満面の笑みを浮かべた。

 わたしに新しい家族が増えました。
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