異世界カフェ食堂で皿洗いをしますと思ったら日本料理を創造する力が与えられていた!(もふもふ聖獣猫のモフにゃーと楽しく日本料理を創造します)

なかじまあゆこ

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もふもふでいっぱい

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 やっぱりのり弁当といえば日本のお弁当の代表って感じがするよね。

 ほかほかのお米におかかをたっぷり敷きつめる。その上に海苔を敷く。ああ、ここまで思い浮かべただけでほかほかのご飯が食べたくなっちゃう。

 白身魚のフライにタルタルソースをかけ、ちくわの磯辺揚げにきんぴらごぼう、卵焼き、そうだ、明太子に高菜もちょこんと盛り付けようかな。ピリ辛がこれまた、ご飯が進むかも。

 ああ、もう食べたつもりになってしまうよ。

 頬を緩ませぐふふとニヤけていたその時。なんかとんでもない声が聞こえてきた……ような気がした。どうか、この声が気のせいでありますようにとわたしは強く願う。

 そう強く願ったのに……。

「美味しいにゃん」
「最高だぜ!」
「空から降ってきたな」

 この声は奴らしかいないよ。

 わたしは恐る恐る声がする方向へ視線を向けた。すると、そこにはとんでもない光景が広がっていたのだ。

 一体どういうことなの? 信じられなかった。いやいや、信じたくなかった。だって、お皿の上にご飯が舞い降りてきているんだもん。まあ、それだけなら創造料理として舞い降りてくるにはちょっと気が早いよってことで終わるんだけど。

 三匹の食い意地の張ったもふもふがご飯を食べているのだから。

「美味しいにゃん」
「白いご飯は最高だぜ! ガォ~!」
「俺のお口に合うな~」

 さっき、食べちゃダメだって言ったのに。なんて、ぷりぷりしていたその時、ぽとん、ぽとん、とちくわの磯辺揚げがお皿の上にぽとぽと落っこちた。

「うにゃ~ん、ちくわ大好きにゃん」

 モフにゃーは嬉しい声を上げちくわの磯辺揚げに飛びつく。

「おっ! これはなんだろう? 美味しそうだ」
「な、なんだ! 美味しそうじゃないか」

 ギャップと日焼けも驚きの声を上げちくわの磯辺揚げに飛びついた。

「こら~!! もふもふ~お客さんののり弁当なんだよ~」

 わたしが叫ぶも三匹のもふもふは聞いちゃいないよ。



 今度はタルタルソースのかかっている白身魚のフライがお皿の上に舞い降りた。

「うわぁ~にゃん!! わたしの大好きな白身魚のフライだにゃん。お魚、お魚だにゃ~ん。お魚祭りだにゃん」

 モフにゃーはにゃんにゃんとはしゃぐ。そして、白身魚のフライを口にくわえた。

「うぉ~ガォ~ガォ~! 食べ放題だぞ」
「なんだなんだ!? 美味しそうな変わった魚が降ってきたぞ。ワクワクするぞ~」

 ギャップと日焼けも白身魚のフライを口にくわえる。

 なんてことなの。それにしても白身魚のフライが舞い降りて来るなんてちょっと面白くなっちゃう。うわぁー楽しんでいる場合じゃないよね。

 なんだけれど、わたしもタルタルソースのかかっている白身魚のフライが食べたくなってしまった。

「よし、特別だよ」と自分自身に言ったわたしは白身魚のフライを口にくわえた。だって、もふもふ達だけ食べているなんてズルいもんね。

「えへへ、美味しいな」

 わたしははむはむと白身魚のフライを食べた。衣がカリッとしていて白身魚は柔らかくて美味しい。クリーミーなタルタルソースも最高だ。

 自分へのご褒美だ。何のご褒美なのかわからないけれど。なんて言い訳を心の中でしていたその時。

「お~い、アリナ、お客さんのニホン料理はまだかな?」とお父さんの声が厨房から聞こえてきた。

「あ、待って。もう少しだよ~」

 そう返事をしたのとほぼ同時にお父さんが洗い場にやって来てしまった。

「ん? えっ!? アリナよ」

 白身魚のフライをはむはむしていたわたしを見てお父さんは、目を見開き口もぽかーんと大きく開けている。

「えへへ、味見しちゃったよ」

 わたしは、頭をぽりぽり掻き言い訳をした。そんなわたしにお父さんは、「やれやれ仕方がないな。美味しそうだもんな」と言ってふっと、笑った。

 やっぱりお父さんは、わたしに甘いな。
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