異世界カフェ食堂で皿洗いをしますと思ったら日本料理を創造する力が与えられていた！（もふもふ聖獣猫のモフにゃーと楽しく日本料理を創造します）

孤独だったわたし達が今は幸せ

45

　家の扉を開けた途端、「アリナよ、どこへ行っていたんだよ～」と、お父さんの耳をつんざくような声にお出迎えされた。

「うわぁ～耳が壊れちゃうよ！！」

　わたしは両手で両耳を塞ぐ。

「叫びたくもなるぞ。アリナの部屋のドアを開けたらアリナはもぬけの殻なんだぞ。もふもふ達はいびきをかいて寝ていたがな」

「お散歩に行っていたんだよ。それでね、日本料理を創造したよ」

　わたしはえっへんと胸を゙張る。

「何？　ニホン料理だって」

　お父さんが目をキラリと輝かせたその瞬間をわたしは見逃さなかった。

「うん、オレンジ色の夕焼けにと～っても似合うにんじんの炊き込みご飯と具沢山のお味噌汁なんだよ」

「そ、そうか……それは美味しそうだな」

　お父さんのその顔は早く食べたくて仕方がない表情だ。

「お父さんも食いしん坊だね」

「それでそのニホン料理はどこにあるんだ？」

　そうだった、神様と一緒にデリバリーバックで運んでいたんだけど、何処へ行った？　わたしはキョロキョロと辺りを見回し探した。何気なく玄関のドアを開けたその瞬間、とんでもない光景がわたしの目に飛び込んできた。

　それは……。

　緑の木々や華やかな花が咲き誇る庭でもふもふな三匹と神様が夕焼け空の下、創造料理の試食会を開催していた。

　しかもご丁寧にレジャーシートまで敷いていた。赤色のデリバリーバックは開けられた状態だ。

「か、か、神様！！　モフにゃーにギャップちゃんに日焼けちゃん！！」

　わたしは驚き叫んでしまった。

「アリナちゃんも食べると良いぞ」
「にゃはは、うまうまにゃん」
「寝起きのにんじんは美味しいぞガォ～」
「アリナは俺達のために美味しいご飯を作ってくれたんだな」

　なんて神様ともふもふ達は口々に勝手なことを言う。

　わたしは艷やかに微笑みを浮かべている神様を見下ろす。

「もふもふ達は神様が視えないんじゃないですか？」

「ああ、見えていないようだが気配は感じるらしいな。わたしが、デリバリーバックのファスナーを開けると飛びついてきたぞよ。可愛い奴らだ」

　神様は口元に手を当てククッと笑う。

「それは、ご飯に飛びついただけではないのかな？」

「いやいやこの艶やかなわたしに見惚れておるぞ」

　どうやったら根拠のない自信が持てるのやら。羨ましい性格の神様だ。呆れつつ神様を見ていると、「うにゃん？　アリナちゃんは誰と話しているのにゃん？」とモフにゃーが首を横に傾げ不思議そうにわたしを見る。

「えっと、それは……」

　わたしがあははと笑ってみせたその時。

「では、神様であるわたしの麗しきお姿のお披露目としようではないか」

　ああ、神様のお姿のお披露目ってなんか変だよ。以前もその姿をお披露目したよね……。