元Sランクパーティーのサポーターは引退後に英雄学園の講師に就職した。〜教え子達は見た目は美少女だが、能力は残念な子達だった。〜

アノマロカリス

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第二章 本章スタート

第十一話 テトラの報告

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 バーニッシュ男爵家は、現在没落寸前だった。

 娘が勇者のジョブを授かり、それにより…一時は周辺の貴族や王国から寄付金が大量に入って来た。

 だが…バーニッシュ男爵は、決して有能な男ではない。

 目先の欲にすぐに飛び付いては、騙されて破産寸前まで追い込まれる。

 そしてテトラの勇者のジョブを授かり、それにより大量の寄付金も…また良からぬ投資話に引っ掛かり失って行ったのだった。

 これだけなら問題は男爵家だけで済んでいたのだが、バーニッシュ男爵家にも領地がある。

 投資話に失敗したバーニッシュ男爵は、領地の税金を上げまくって…領民の殆どが他の地へ越して行った。

 先代の頃までは有能な領主として領民に慕われていたが、今代の領主は無能であった。

 この事に気付いていた領民達は少しずつ準備を始めていた。

 この領地は先代の代で終わるだろうと…そしてそれが現実になったので、領民達の殆どは他の貴族の領地に移動した。

 その為に…バーニッシュ男爵家は、テトラの恩恵でかろうじて没落から逃れているのであった。

 「あーーー金だ、金が無い‼︎」

 バーニッシュ男爵は、毎日同じような事を口にしていた。

 それを聞かされる家族達は、げんなりとした表情をしていた。

 「お父様、帰りましたわ!」

 「おぉ、テトラか!今のバーニッシュ男爵家は、お前だけが頼りなのだ‼︎」

 「その事ですがお父様、面白い話があります。」

 「うん?」

 「テルパお姉様が生きておられました。」

 「テルパ?あぁ…あの追い出した娘か!別にあんな奴が生きていようがどうでも良い‼︎」

 「ところがですね、テルパお姉様は英雄学園の講師として赴任して来たのです。学園に来る前はSランク冒険者として名を馳せていたようですよ。」

 「Sランク冒険者…というと、アイツは爵位持ちか‼︎」

 「更に、ドーラ商会の代表者という話ですわ。」

 「何だと⁉︎あの世界に名だたる大商会のドーラ商会の代表だというのか‼︎」

 バーニッシュ男爵にとって、テルパが生きていた話は別にどうでも良かった。

 だが、Sランク冒険者で公爵の爵位持ちで、更にドーラ商会の代表者となれば話は別だった。

 バーニッシュ男爵は、テルパを上手くやり込んでから全てを奪える…という安易な考えで思考が回り始めていた。

 「テトラ、それは良い話だ!良し、これから英雄学園に乗り込むぞ‼︎」

 テトラとバーニッシュ男爵は、馬車に乗り込んで英雄学園を目指した。

 ~~~~~一方、英雄学園では?~~~~~

 アブノーマルクラスでは、テルパはカーリスとベルリーニとリーゼを見て喜んでいた。

 「なんだよ先生、ニヤニヤして…」

 「初めはこのクラスには誰もいなかったのに、今はこうして3人も居ますからね。嬉しいんです。」

 「アタイの目標は強くなって、アタイに恥をかかせたあの魔物を倒すのが目的で此処にいるからな!」

 「わたくしはテルパ先生から学ぶべき事が多いと思って、このクラスにおります。」

 「ウチはお兄様が突然強くなった理由を知りたくて、このクラスには来たんよん。」

 「理由はそれぞれ違いますが、行き着く先は一緒ですよ。とりあえず授業を始めたいところですが…」

 「どうした先生?」

 「後もう1人が揃えば、ダンジョン攻略が出来るのですが…」

 「ここに居る3人ではダメなのか?」

 「ダメでは無いのですが、低階層ならともかく…それ以上の階層になると、最低でもフォーマンセルでは無いと危険が伴いますからね。」

 「アタイ達の実力でもか?」

 「今の貴女達なら…20階層に行けるか行けないかですね。」

 「せんせぇ~、お兄様は何階層まで辿り着いたのですかん?」

 「ラス君は…確か34階層に到達していますね。」

 「リーゼの兄貴はアタイ達より強いのか‼︎」

 「ジョブの能力では貴女達の方が上ですが、レベルや経験ではラス君やそのパーティーの方が上ですね。現在英雄学園のトップの実力がありますよ。」

 「流石お兄様!」

 「アタイ達がそれに追い付く迄には、どれくらい掛かりそうなんだ?」

 「4人揃って30階層をクリア出来れば…かな?」

 「4人か…アイーシャかテトラが必要になるな。」

 「アイーシャ様は最近学園では見ませんわね?何処にいらっしゃるのかしら…」

 「アイーシャは、何でも訓練場に籠っているという話だな。リーゼと先生との戦いを見て、自分の力の無さを痛感したのだろう。」

 「アイーシャさんをクラスに引き込むのは…まだ無理そうかな?」

 「あいつもこのクラスに来させる為には、実力を見せないと納得はしないだろう。変な所で頑固だからな。」

 「カーリスさんと良く似ていますね。」

 「良く言われるよ。それでいない奴の事は良いとして…この3人でダンジョンに行く許可は出して貰えないか?」

 「今の貴女達に連携は取れるのですか?10階層位までは個々の能力で乗り切れますが、11階層以上だと協力しないと先には進めませんよ?」

 「11階層って、レベル11くらいの魔物だよな?アタイ達よりレベルが下なら…」

 「それはその階層に行って上手く立ち回れてから言って下さい。10階層までは迷宮ダンジョンですが、11階層からはフィールドダンジョンですので、至る所から襲って来ますよ。」

 「なるほど、確かに迷宮ダンジョンなら隠れる場所は無いが…フィールドダンジョンともなれば隠れる場所は無数にあるか!」

 「野外で魔物が襲って来るのと同じ事なのねん。少し厄介かも知れないわん。」

 「周囲に警戒をしつつ、瞬時に対応をしないと危険という事ですわね?確かにレベルに見合った階層なら危ないかも知れないですわ!」

 「貴女達のレベルは15前後なので、とりあえず15階層迄の許可を出します。それ以上は…危険と判断したら退却する事が出来るという条件ならダンジョンに行く事を許可します。」

 「なぁ、先生…アタイ達ではどれくらいまで行けそうなんだ?」

 「15階層の許可は出しましたが、実際は13階層が良い所でしょう。だからと言ってムキになって15階層迄降りるのは辞めてくださいね。ダンジョン内では地道に魔物を倒していればレベルは上がりますが、たった1レベルでも魔物の強さは変わって行くので、その辺を見極められないと全滅する可能性がありますよ。」

 「確か全滅する様な状態になると、入り口に強制的に戻されるんだよな?」

 「50階層までは、そういった救済処置を施していますからね。入るのは構いませんが、絶対に無理だけはしないでくださいね。」

 「先生がそこまでいうという事は、それだけ危険なダンジョンなんだな。」

 「低階層で低レベルの魔物を楽に倒していると強くなったという錯覚を覚えますからね。その状態で下の階層にいくと痛い目に遭いますよ。」

 「肝に銘じます!」

 「なら、ダンジョンに入る許可を出します。念入りに準備をしてから入って下さいね。」

 「おぅ!」「分かりましたわ!」「了解なのねん!」

 そう言って3人はクラスから出て行った。

 ダンジョン攻略にはもう1人が必須だけど…どうしようかな?

 そんな事を考えていた時、入り口から私を呼ぶ伝書魔法が届いた。

 私は入り口に赴くと、会いたく無い男がニヤついた顔で待っていたのだった。
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