散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス

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第十四話 シュゼル達を煽ります!

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 せっかく苦労をして鍛治スキルを駆使して、シュゼル達に武具を渡したのに。
 結局は使う事がなくて、自前の武器でDランクのランクアップ試験に挑んで……見事に不合格を喰らう事になった。
 
 「今度で何回目だよ…」
 「ディストの気持ちは嬉しいがアタイ達は、アタイ達の使い慣れた武器で合格を掴みたいんだ!」
 「それで試験が受からないんだから世話がないだろう。」

 僕は深い溜め息を吐いた。
 永遠に武器を替えてくれとお願いしている訳ではない。
 せめて………ランクアップ試験に合格する迄の間だけでも良いと言っていたのに。
 僕がサポート役をしていたから、今迄の戦いを優位に出来ていたのに……
 今回のDランクのランクアップ試験には、僕が参加出来ないので…サポート役が出来ないし、試験内容の魔物が自前の武器では不利になるからと、何度も説明してあったんだが?

 「ディスト、アタイ達の武器で試験を受かる方法を…」
 「無理なんだと何度も………いや、言うだけ無駄か。」
 「無駄だなんて事は……」
 「じゃあ、聞くが…今回のランクアップ試験で、魔物を1匹でも倒す事が出来た人は居るか?」

 僕がそう言うと、シュゼル達は悔しそうな顔をして俯いた。
 Dランクのランクアップ試験の魔物討伐には、一定数のウェアラットの討伐が内容だった。
 ウェアラットとは、全長30cm程のネズミの事で…とにかくすばしっこい上に、止まる事がなくて動き続けるので…両手武器を使うシュゼル達にとっては、とても相性が良いとは言えない相手だった。
 パーティー的には運が高いシュゼル達であっても、ラッキーで攻撃が当たって倒せるという訳ではなかった。
 それだけ、ウェアラットの動きは素早かった。
 
 「こうなって来ると、僕がDランクになる方が早いかも知れないな…」

 僕はスキルの関係上、あまり目立つ事は好きでは無い。
 でもまぁ、Dランク以上の高ランクにでもなれば、注目を浴びる可能性もあるけど?
 Dランクのままだったら、それ程の注目を浴びる事もないだろうし…ランクアップを目指しても良いかも知れない。
 だけど、問題が1つある。
 ソロでDランクのランクアップ試験の際には、最低レベルが設けられている。
 最低でもレベル30は必要になる為に、今のままでは…ランクアップ試験で受かるランクは、Eランクが最高だった。

 「ステータスボードのスキルに譲渡したレベルを回収出来れば、そんな心配は不要なんだけどなぁ?」

 ステータスボードにスキルに譲渡したレベルは、2度と戻る事はない。
 店で品物を買って返品をしようとしても、物によっては返品不可能みたいな感じだからだ。
 だから、レベルを一定量を譲渡するのでは無く、もう少し残しておけば良かった…と言いたいところだが、そうなるとパーティー申請では、同レベルと組まされる場合が多いので…?
 そうなると、シュゼル達に出会う事はなかっただろう。
 獲得経験値数○倍で稼ぐ事が出来た者達からは、レベルを回収する事は可能だが…?
 ただ、それをやってしまうと…シュゼル達を始末しない限り、バレる可能性がある。
 本当に勇者になる素質があるのなら、シュゼル達を今始末する訳には…?

 「よし、決めた!もう、これしか無いか…」
 「ディスト、何か考えが閃いたのか?」
 「いや、君達のパーティーを離脱して…僕は他のパーティーに移る事にした事を決めたんだよ。」
 「何でだ!アタイ達と一緒に活動するんじゃ無かったのか⁉︎」
 「最初はそう考えていたよ。シュゼル達と一緒なら、他の街に行けるようになるってね。」
 「だから、一緒にそうしようと……」
 「だけどさぁ、それをいつまで待てば良いんだよ?自分達の武器にこだわりを持つ事は良いけどさ、その所為で試験がいつまでも受からないんじゃあ…僕はいつまで待てば良いの?」

 僕の問いに、シュゼル達は押し黙った。
 何度もランクアップ試験を受けても、全く合格する事がないのなら…?
 いつかこういう風に言われるとは思わなかったのかな?

 「僕はね、早く別の街に行きたいという目的があって、シュゼル達に付き合って来た。だけど人にアドバイスを求める割に、その通りに実行する気が無いんだったら…一緒に居ても無駄じゃ無いか。」
 「確かに、そう言われても……」

 これで、シュゼル達が考えを変えてくれるなら良し。
 その気が無ければ、その時は…?

 「わ、分かった。」
 「その分かったという意味は、パーティーを離脱しても良いという分かった?」
 
 シュゼル達は顔を見合わせてから頷くと……?

 「いや、ディスト武具を使ってランクアップ試験を受けるという意味だ。」
 「今…ディスト君に抜けられるのは痛いからね。」
 「この先、ディスト無しでは成長は望めないと思うし…」
 「なるほど、それなら…離脱は考えないでおくよ。」

 こうしてシュゼル達は、僕の作った武具でランクアップ試験に臨んで行った。
 流石に1度で合格という訳にはいかなかったが…合格にあと一歩という成績を残す事が出来、3度目の試験で見事合格を掴む事が出来た。
 これで…別の街に向かう事が出来る!
 …そう考えていたんだけど、いつかのアマンダに目撃された件について…アマンダに街の外に呼び出されたのだった。
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