散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス

文字の大きさ
20 / 32

第十九話 アルベルの頼み!・前編

しおりを挟む
 僕は現在、街から離れた草原にアルベルと一緒に居た。
 …というか、彼女達のパーティーメンバーは話をする時に街の中では無く、街の外に連れ出す習慣でもあるのか?
 こんな場所に来させてまで、何の話があるんだろうか?

 「この場所に呼んだのは他でも無い、アマンダの成長はディストよる物だよな?」
 「アマンダの成長?風呂の中で身体の変化でも見たのか?」
 「身体的な特徴では無い!パーティーでの活動の無い休日に、何度か街の外に出ていただろう?その頃から、アマンダの魔力量が少しずつだが、上昇している事を確認していてな…」

 まさか、アルベルにはバレているとは思わなかった。
 …って、そう言えばアルベルはパラディンだったか?
 パラディンだったら、固有魔法の関係で対象の魔力を感じる事が出来るんだったか。

 「頼む、ディスト…アマンダだけでは無く、オレにも…修業を頼めないか?」
 「アルベルにも……ねぇ?」

 そういえば、パーティー活動中に…アルベルが魔法を使っている姿を見た事が一度も無いな?
 リゼの支援攻撃とシュゼルの攻撃で、アルベルはタンクとして以外に活躍している姿を見た事が無かった。
 両手槍を装備していた時は、シュゼルと共に攻撃を仕掛けていたが…?
 剣と盾を装備する様になってからは、タンクとして攻撃を一手に引き受けていたしな。

 「オレ……あ、私は……」
 「一人称はオレで良いぞ。いちいち呼び直さなくても知っているから…」
 「じゃ、じゃあオレは……回復魔法はなんとか使えるんだが、聖属性魔法の攻撃魔法が苦手でな。」
 「パラディンの聖属性の攻撃魔法って、フォトンやバニッシュやホーリーランス……とかだろ?」
 「やはりディストは知っていたか…」
 「知っているどころか、使えるからなぁ?」

 僕は、手当たり次第……アルベルの前で聖属性魔法の一通りを、目の前にある巨大な岩に放って行った。
 その光景にアルベルは、目を丸くして驚いていた。

 「な、なんでディストは聖属性魔法を使えるんだ?」
 「あれ…?アマンダから、僕が魔法を使える話は聞いていなかったの?」
 「いや、アマンダからは一切聞かされて無い。」

 まずったなぁ…?
 だとすると、聖属性魔法を見せたのはまずかったか。
 まぁ、良いか…もう見せちゃったし。

 「なぁ、アルベルは攻撃系の魔法が苦手だと言っていたが、強化魔法はどうなんだ?」
 「聖属性魔法に強化魔法なんてあるのか?」
 「えーっと…そこからかよ、刀身に聖属性を纏うホーリーセイバー、身体に聖属性の光を纏って闇属性を退ける…セイントプロテクションとか?」
 「そんな便利な魔法があるんのか‼︎知らなかった…」

 もしかして、この時代では廃れた魔法なのか?
 僕が魔王時代の勇者パーティーにパラディンがいる時は、聖女よりも警戒対象だったのに……あ、だからか!
 この時代のパラディンの数が極端に少ないのは…人気が無い職業なんだなぁ。
 パラディンのホーリーセイバーやセイントプロテクションの魔法をアルベルですら知らない所を見る限りだと、需要が無いと思ってパラディンの資格を得てもなりたがる需要が無いと思って別の職業に転職するのか。

 「なぁ、ディスト…そう言った魔法は、オレだと幾つ位で覚える事が出来る?」
 「現在、アルベルのレベルは33だよね?ならば、とっくに覚えていてもおかしくは無い筈だけど…?」

 僕が魔王時代の時は、本人に使う意思があるかにもよるが…?
 レベルが上がれば、そのスキルや魔法は自然に覚えることが出来た。
 ただ…その時代は、一般に知られていた魔法やスキルは普通に使えるが、目新しい物に手を出す勇気があまりやる人がいなくて、発動する事はあまり無かった。
 …というのも、魔法やスキルは条件により発動するというものがあって…?
 試しに使える魔法やスキルもあれば、戦闘中にしか発動出来ない魔法やスキルも存在したからだった。
 戦闘中に目新しいスキルや魔法のどんな効果が発動するかが分からなくて、それに命を賭けるという勇気がある者があまり多く無かった為に、そう言ったスキルや魔法を発動することも少なかった事から…例え強力であったとしても、世に広まらなかったのだった。

 「だが、オレには使えないぞ!」
 「普通はね、他のパラディンが使い方を教える事により…それらを使う事が出来る様になる訳なんだけど…街にアルベル以外のパラディンなんて見た事ないしなぁ?他の街になら居なくもないけど、パラディン自体が今となっては希少な職業だからなぁ?」
 「なら、他のパラディンに会えないと覚えられないのか?」
 「いや…他に方法が無い訳ではない。アルベルが僕の条件に対して、首を縦に振れるかどうかになるけど…」

 僕の方法に関しては、アマンダも最初はかなり抵抗していたからなぁ。
 条件が条件だから、女性だとあまり気の乗らない方法ではあるのだけれど…?

 「どんな方法かはわからないけど、それでスキルや魔法が手に入るのなら…」
 「本当に良いの?」
 「あぁ、ただし…その条件を聞く権利はあるよな?」
 「それは勿論だよ、いきなり剣で身体を貫かれる…なんて事をする訳ないじゃないか。」
 「は?そこまでされる事なのか⁉︎」
 「それは、あくまでも例え話だ。やり方は非常にシンプルなんだよ、ただ…そのやり方がちょっと…」

 僕は空間魔法から、筆と鉢と水と鉱石を取り出した。
 アルベルは僕の用意した道具を見て、首を傾げていた。

 「これは、古の文献に書かれていた方法で…身体に絵の具で紋様を塗られて覚えるという、スキル・マジックペイントという手法なんだ。ホーリーセイバーは右腕だけ、セイントプロテクションは左腕だけなんだけど…」
 「あ、首を縦に振れるかどうか…という話はそういう事か!」
 「…そう、スキルや魔法によっては、胴体にも塗られないといけない事があって…アルベルが僕に裸を見られても問題が無いかどうかになるんだ。」

 …この方法は、男が男にやる分なら非常に楽なのだが、男が女にやるとなると話が違ってくる。
 これが、アマンダが抵抗したという理由だったのだ。

 「強力なスキルや魔法に関しては、身体に施さないと覚える事が出来ない。それを拒むのなら腕や足だけで問題は無いが、これより先の大陸に進むとなると…強力なスキルや魔法が必要になってくるから、覚えておいて損は無いよ。まぁ、尊厳は失うかもしれないけど…」
 「な、何をする気なんだ‼︎」
 「安心してよ、アマンダも既に僕にけがされて居るんだから…仲間が増えるだけだよ。」
 「アマンダもやったのか⁉︎」
 
 けがされて……というのは、少し大袈裟な言い方だったかも知れない。
 スキル・マジックペイントは、見た目的によごされるという感じがあるから、意味合い的には間違ってはいない。

 「さぁ、アルベル……覚悟を決めて、大丈夫だから安心してよ。天井のシミを数えている間に終わらせるから…」
 「変な意味合いの事を言うな!一体…オレに何をするつもりだ⁉︎」

 あれ?
 僕は緊張をほぐす為に、敢えてこんな言い方をしているだけなんだけどなぁ?
 なんか…別の意味に取ってないか?
 アルベルを見ると、身体を庇う様に身を翻している。
 アマンダの時と同じ様な仕草をしているなぁ。

 「ダークプリズン!」
 「⁉︎」

 僕とアルベルの周囲に、闇の結界を展開させた。
 このダークプリズンは、アマンダの修業の時に張った結界と同じ物だった。

 「さぁ、大人しく観念して……服を脱いで。」
 「本当に……変な事はしないんだよな‼︎」

 僕は無言で、鉢の中に鉱石を砕いてからすり潰していた。
 それから水で溶いてから、筆を浸けていた。

 さて、アマンダは結構暴れていたが…?
 アルベルは無事に済むだろうか?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。 王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。 なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。 自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。 11月14日にHOT男性向け1位になりました。 応援、ありがとうございます!

貴族に無茶苦茶なことを言われたのでやけくそな行動をしたら、戦争賠償として引き抜かれました。

詰んだ
ファンタジー
エルクス王国の魔法剣士で重鎮のキースは、うんざりしていた。 王国とは名ばかりで、元老院の貴族が好き勝手なこと言っている。 そしてついに国力、戦力、人材全てにおいて圧倒的な戦力を持つヴォルクス皇国に、戦争を仕掛けるという暴挙に出た。 勝てるわけのない戦争に、「何とか勝て!」と言われたが、何もできるはずもなく、あっという間に劣勢になった。 日を追うごとに悪くなる戦況に、キースへのあたりがひどくなった。 むしゃくしゃしたキースは、一つの案を思いついた。 その案を実行したことによって、あんなことになるなんて、誰も想像しなかった。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

処理中です...