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キッドが旅立った後の兄妹達
第二話 スタンピード共同掃討作戦
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住んでいる島からサウシュヴァウント王国のある大陸に着いてから、騎士に誘導されて王城に行った。
王城内での国王陛下の話はこうだった。
近くのダンジョンにて、スタンピードの兆候が発見されたのでその対処に当たって欲しいという話だった。
そして今回参加する冒険者のチームは僕達以外では全部で4チームあり…Aランクチームが1組,Bランクチームが2組、Bランク最有力候補のCランクチームが1組で、僕達を入れて5組だった。
島から来たのは僕達と、馬鹿勇者2人にハズレと罵られたBランクのローファスのチームだけだった。
当然、今回の依頼はローファスにも通達されているので僕達の所在は伏せて貰っていた。
「久々に歯応えのある魔物との戦闘かぁ…」
「魔法をぶっ放して良いんだよね⁉」
「回復は私に任せてね!」
「なんか…やる気があってたのもしいね。」
そんな話をしていると、このスタンピード掃討作戦のリーダーが冒険者の各チームに召集を掛けた。
他の冒険者チームと共に列に並んでいると、ローファスさん以外のチームから変な目で見られたのだった。
『俺が今回のスタンピード掃討作戦のリーダーであるヴェイガストという、ランクはSランクだ! ここには、国から依頼されて集まってくれた者達にまずは感謝をする!」
僕は周りを見渡したが、僕達以外のチームは4チームしかいない。
スタンピードだと規模にもよるが…少なくても数百で多ければ1000を超す場合がある。
これだけのチームで足りるのだろうか…と考えていた。
『なお、現在はこの人数だが…後から招集に送れた者達のチームが合流する手筈になっている。 少数で苦しい戦いになるとは思うが、増援が来るまで持ち答えてほしい。 何か質問がある者はいるか?』
すると、早速Bランクのチームのリーダーが手を挙げた。
『お前は…ダスティンだったか?』
「はい、そうです。 ここに来てから気にはなっていたんですが…何故子供がいるんですか?」
『何か問題でもあるのか?』
「何か問題でもって…まだ子供ですよ?」
『それがどうかしたのか?』
「いや、だっておかしいでしょ⁉ 何故成人でもない子供が参加しているんですか⁉」
まあ…この意見にはもっともな理由だろう。
確かに…20代半ばの人達の中に成人にもなっていない子供のチームが参加していたら、違和感でしかない。
「自分はAランクチームのリーダーのレオンだ。 ダスティンと言ったか…子供だからってどうかしたのか?」
「いやだって、子供が参加するなんておかしいでしょ?」
「ダスティン、今回のスタンピード作戦内容は聞いているか?」
「勿論です、Bランク以上のチームは参加せよと。」
「それで、何か問題でもあるのか?」
「子供ですよ⁉」
「見た目や年齢の何の問題がある? この場にいるという事は、この少年達もBランク以上の実力があると認められてこの作戦に参戦しているんだ。 別におかしい事ではないだろう?」
ダスティンは周りを見ると、他の者達は頷いてみせた。
「まぁ、自分も最初は冒険者ギルドから派遣されたサポート役の要員だと思ったが…列に並んでいる所を見て違うと解ったんだがな。」
「少年よ、済まなかった。」
「いえ、良いんですよ…」
ダスティンは冷静になってから列に並んだ。
そして…それぞれの地点にチームが振り分けられると、作戦実行前にヴェイガストの元に各チームのリーダーが集められた。
「ヴェイガストさん、すいません…先程ダスティンさんが質問していたので聞けず仕舞いだったのですが、討伐した魔物の素材は持ち帰っても良いのですか?」
「当然だ! スタンピードの討伐作戦に参加して応戦で報酬以外に討伐証明部位を集める事により、討伐報酬とポイントが支払われる。 そしてそのポイントの総合数で報酬も多く支払われるという事になっているからな!」
「僕が言っているのは、討伐証明部位の話ではなく…討伐した魔物の肉を持ち帰っても良いものかと。」
「あ、そっちか? 無論…構わないが、スタンピードは魔素による暴走で魔物が一部魔獣化しているから、食用には向かないと思うが?」
「大丈夫です! 僕のチームの中には、呪いを浄化できるヒーラーがいますので!」
「それなら問題は無いな…しかし、凄いな! 呪いを浄化できるヒーラーなんて高位のプリーストでもない限り出来ないだろうに…」
ロットは、高位のプリーストの更に上位の聖女です。
なので、呪いを浄化なんて問題ありません。
すると、Bランク最有力候補であるCランクの男が言って来た。
「私は現在Cランクチームの…」
「ベクターだったよな? ジュストコールのギルドマスターが君の事を推していたという話だったな!」
「Sランクのヴェイガストさんに名前を憶えて戴けるなんて光栄です!」
そう言いながらベクターは横目で僕の事を睨んだ。
僕はこの時、ポイント争いのライバルとして対抗心を向けられていたのだと思っていた。
「このスタンピードの掃討作戦でポイントを集めて上位に食い込めれば、私達はBランクに上がれるでしょうか?」
「確実とは言えないが…条件次第では可能性はあるだろう。」
ベクターはそれを聞くと、拳を握って喜んでいた。
まぁ、ランクの低いチームはより上位のランクに上がりたいと思うものだから。
僕達にはその気持ちは殆ど無かったけど…
すると、またベクターが発言して来た。
「チームを地点ごとに分けられるのは良いのですが、この子供達の配属された地点が一番ポイントを獲得出来そうな気がしますが?」
「それがどうかしたか?」
「こう言っては何ですが…子供達では荷が重いのではないかと思ったのですが?」
「君達もダスティン同様に見た目で判断するか? 言っておくが…この子達は君達よりランクが高いんだぞ。」
「では、この子供達のランクは幾つなんですか?」
「詳しくは言えないが、君達よりは高い。 いまはそれで納得してくれ。」
「わかりました。」
ベクターはイマイチ納得していない様だった。
そして話が終了して、それぞれのチームは割り振られた地点に赴いたのだった。
「グレートホーンブルにブラドボア、アーマーバードか…大型の魔物と食材が大量に手に入りそうだな。」
「私達の所が魔物が強いとか、強い場所なの?」
「いや、Sランクのヴェイガストさんの所が一番強い奴等や数を引き受けている。」
「そうか、私達はランクを隠して参加しているんだもんね? 子供達だけで一番強い場所には属されたらさすがに怪しまれるか…」
「そういう事だ! とりあえず、この辺に沸いている魔物を全て掃討しよう! その後に食材を確保するんだ。」
「「「了解!」」」
僕と妹達は、スタンピードで数の増えた魔物達を掃討して行った。
スタンピードというだけあって、さすがに数が多く…片っ端から討伐しているのだが、後から後からと湧いて来て倒した後の討伐証明を回収出来る暇がなかった。
僕と妹達は割り振られた地点の魔物の討伐を終えると、元の地点に戻って来た。
そして討伐した魔物達の素材を解体している時にふと気付いたのだった。
「数えていた訳では無いんだけど…数が足りなくないかな?」
「それと、頭部のない魔物の死体もあるよね? お兄ちゃん、魔物の首は落とした?」
「致命傷を与える為に深く斬ってはいるが、落としてはいない。 別な魔物の仕業かな?」
「大型タイプ以外の魔獣や魔物なんていたかな?」
「とりあえず、食材を確保しよう!」
僕達は魔物を解体していった。
そして魔獣化している魔物は、ロットが浄化の魔法で呪いを除去していったのだった。
その後…スタンピード討伐作戦のテントに戻り、出張しているギルド職員に討伐証明部位を提出してから食事をして眠りに就いた。
翌日…スタンピードの掃討作戦のポイントの結果が発表された。
1位はCランクのベクターのチームだった。
Cランクのベクターのチームの地点は、確か昆虫系の魔物の地点の討伐だった筈…?
それにしては、魔獣の角の類も討伐証明の箱に入っている様だった。
「お兄ちゃん…あの角って?」
「僕も気付いたけど証拠が無いからね…」
「あれは絶対私達が討伐した魔獣の角だよね?」
「という事は持ち場を離れた時に持って行かれたんだわ!」
僕達のチームは4人のみ…
他のチームは大体6人近くか、それ以上の人数がいる。
それに担当地域に特定の魔物や魔獣が現れるとはいっても、スタンピード時では全てが全て同じ種という訳では無いから、もしかしたら別な魔獣も現れたのかもしれない。
僕と妹達は、納得は出来なかったが諦める事にした。
「では引き続き…昨日と同じ地域を担当してもらおうと思う。 では、皆生きて帰れよ!」
ヴェイガストがそう宣言すると、頷きながら皆昨日の地点に赴いたのだった。
すると僕達の所にギルドの制服を着た男性が2人合流したのだった。
「私達は冒険者ギルドの解体班です。 冒険者ギルドからの命で、少年達のチームの討伐した解体をする様にと命じられました。」
「それは…御苦労様です。 ですが、宜しいのですか?」
「他のチームの方々と違い、少数精鋭で事に当たっているので…解体をしている暇が無いと判断しての派遣ですのでお気になさらないで下さい。」
「わかりました、ではお願い致しますね!」
僕と妹達は、昨日と同じ様に魔物や魔獣の討伐をして行った。
そして討伐した魔物はギルド職員に渡して解体をして貰った。
ギルド職員の解体班は、見事に魔獣や魔物を解体していった。
暫くすると…森の奥の方から大量に魔獣達が攻めて来たので、ギルド職員をその場に残して地点から移動した。
そして討伐してから戻ってみると、ギルド職員の1人は言った。
「あれ? もう1人の方はどうしましたか?」
「別方向から来た魔物に同僚が連れて行かれました。 しかも、解体した魔物の残骸を持って…」
「すぐに後を追わないと!」
「いえ…大型の肉食魔獣でしたので、恐らくはもう…私もこの場を離脱しても宜しいでしょうか?」
僕は妹達の顔を見ると頷いた。
「わかりました、同僚の方が襲った魔獣がいるかもしれないので気を付けて離れて下さいね。」
「最後までお役に立てずに申し訳ありません…」
そう言ってギルド職員はその場を離れて行った。
僕は解体された物を見て疑問に思った。
「変だな?」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「いやぁ…解体された素材を見ると、大型獣の肉は手付かずで魔物の角や尻尾といった討伐証明部位が無くなっているんだよね。」
「確かにそうね? 魔物や魔獣は、魔物の角とかを食べる事でパワーが上がるとか?」
「魔物が強くなる条件は、他の魔物を殺す事で力を得るという話だから、角や尻尾を食べて強くなるとは思えないんだ。 それに…大型の肉食獣が、大型の獣の肉を無視して人間だけを連れて行くかな?」
「大型の肉食獣が現れて武器を構えたとか?」
「低ランク冒険者だったらその可能性もあるかもしれないけど、冒険者ギルドの職員がそんなミスをするかな? 冒険者ギルドの職員の半数以上は、元冒険者の人が大半だからね。」
「だとすると考え難いのかな?」
今回の討伐証明部位は、地点から離れた時に討伐した魔物や魔獣のみだったので、昨日より素材が少なかった。
そしてキャンプ地に戻り、冒険者ギルドの職員に討伐証明部位を渡してから、先程のギルド職員の安否を聞いた。
すると、意外な答えが返って来た。
「我々は冒険者の方々に手を貸す様な真似は致しておりませんが?」
「ですが、僕達が少数のチームなので解体まで手が回らないと言って、解体班を名乗る2人がきたのですが…」
「我々のメンバーはこの5人のみですし、他の者が来る事は聞いておりません。」
「だとすると…騙されたか。」
僕はモヤモヤした状態でその日は寝てから翌日…
集合して結果を聞くと、またもポイントの1番はCランクのチームだった。
そして討伐証明部位の入ったボックスの中には、昆虫系ではない魔獣の角や尻尾があった。
「これはやられたな…」
「おかしいわよ! そっちは昆虫系の魔物の討伐でしょ! それなのになんでブルの角やボアの牙があるの⁉」
「おいおい、変な言いがかりをするのは辞めて欲しいな! 自分達のポイントが少ないからって言いがかりは辞めろよ! それにこっちは昆虫系とはいっても、昆虫以外の魔獣だっていたんだ!」
僕はリットをなだめてから、Cランクのチームの討伐証明部位のボックスを見た。
すると明らかに、昆虫系の生態ではあり得ない角や牙が出て来た。
そして昨日討伐した、ブラステルティーガー尻尾が入っていた。
ブラステルティーガーは、Sランクのチームで同等、Aランクのチームでかなり苦戦する程の魔獣だ。
なので、どうみてもBランクに近い実力があるとはいっても、Cランクのチームに討伐出来る物ではない。
ただ、それを指摘した所で…子供が負けたのを理由に言い訳を言っている様にしか見えないだろう。
この中では、ローファスさんのチーム以外では僕達の事を知っている者は、多分ヴェイガストさん以外はいないし、仮にローファスさんが口添えをしても他の人には信じては貰えないだろう。
僕と妹達は、再び昨日と同じ地点に赴いた。
そして話し合いをしたのだった。
「さっき…討伐証明部位のボックスを見た時に、昨日僕等が倒したブラステルティーガーの尻尾が入っていた。」
「やっぱり! あのギルド職員を名乗った人はあいつ等の仲間だったんだね!」
「恐らくね…そして肉食魔獣に連れて行かれたというのも嘘だろう。 襲われたフリをして、この掃討作戦が終了するまで隠れているつもりなんだろうね。」
「子供の手柄を横取りして自分の手柄にするなんて…なんてセコイ大人達なの!」
まぁ、確かに…普通に考えたらかなりセコイ。
大の大人が子供の手柄を横取りするなんてね。
「それでね…今回も何らかの手を使って接触を図って来ると思う。」
「またギルド職員を名乗って近付いて来るとか?」
「昨日の夜の段階で、ギルド職員の数と顔を覚えたので…さすがに昨日と同じ手は使っては来ないだろう。」
「じゃあ、どんな手を?」
「考え付くとしたら…初日と同じ手だろう。 周囲に隠れて、僕達が討伐した魔獣を持って行くとか、討伐証明部位を持って行こうとする筈。」
「なら、守護結界でも展開する?」
「ロット…あまり大きな力を見せるなって国王陛下から言われたでしょ!」
「じゃあ、どうするの?」
僕はマジックバックを見てから妹達を見た。
「今回は僕は戦闘には参加しない。」
「じゃあ、私達だけで討伐して行けば良いの? 解体は?」
「解体は後回しにする事にして…今回は討伐した魔物や魔獣は、倒したその場から僕はマジックバックに回収していくからね。」
「確かにそれの方が面倒ではないけどね。 後で山の様に出してから解体していくから、その場で解体するよりも面倒くさいけど…」
「でも、かすめ取られるよりはまだ良いよ。」
僕達はこうして今回の作戦に望むのだった。
その翌日の結果は、僕達がポイントで1位を得るのだった。
今回1位を取れなかったベクターのCランクのチームは、僕達が不正をしたという言い掛かりを付けて絡んで来たのだが、ヴェイガストさんがその場を仕切ると後に分かりやすいくらいに接触をはかってくるのだった。
王城内での国王陛下の話はこうだった。
近くのダンジョンにて、スタンピードの兆候が発見されたのでその対処に当たって欲しいという話だった。
そして今回参加する冒険者のチームは僕達以外では全部で4チームあり…Aランクチームが1組,Bランクチームが2組、Bランク最有力候補のCランクチームが1組で、僕達を入れて5組だった。
島から来たのは僕達と、馬鹿勇者2人にハズレと罵られたBランクのローファスのチームだけだった。
当然、今回の依頼はローファスにも通達されているので僕達の所在は伏せて貰っていた。
「久々に歯応えのある魔物との戦闘かぁ…」
「魔法をぶっ放して良いんだよね⁉」
「回復は私に任せてね!」
「なんか…やる気があってたのもしいね。」
そんな話をしていると、このスタンピード掃討作戦のリーダーが冒険者の各チームに召集を掛けた。
他の冒険者チームと共に列に並んでいると、ローファスさん以外のチームから変な目で見られたのだった。
『俺が今回のスタンピード掃討作戦のリーダーであるヴェイガストという、ランクはSランクだ! ここには、国から依頼されて集まってくれた者達にまずは感謝をする!」
僕は周りを見渡したが、僕達以外のチームは4チームしかいない。
スタンピードだと規模にもよるが…少なくても数百で多ければ1000を超す場合がある。
これだけのチームで足りるのだろうか…と考えていた。
『なお、現在はこの人数だが…後から招集に送れた者達のチームが合流する手筈になっている。 少数で苦しい戦いになるとは思うが、増援が来るまで持ち答えてほしい。 何か質問がある者はいるか?』
すると、早速Bランクのチームのリーダーが手を挙げた。
『お前は…ダスティンだったか?』
「はい、そうです。 ここに来てから気にはなっていたんですが…何故子供がいるんですか?」
『何か問題でもあるのか?』
「何か問題でもって…まだ子供ですよ?」
『それがどうかしたのか?』
「いや、だっておかしいでしょ⁉ 何故成人でもない子供が参加しているんですか⁉」
まあ…この意見にはもっともな理由だろう。
確かに…20代半ばの人達の中に成人にもなっていない子供のチームが参加していたら、違和感でしかない。
「自分はAランクチームのリーダーのレオンだ。 ダスティンと言ったか…子供だからってどうかしたのか?」
「いやだって、子供が参加するなんておかしいでしょ?」
「ダスティン、今回のスタンピード作戦内容は聞いているか?」
「勿論です、Bランク以上のチームは参加せよと。」
「それで、何か問題でもあるのか?」
「子供ですよ⁉」
「見た目や年齢の何の問題がある? この場にいるという事は、この少年達もBランク以上の実力があると認められてこの作戦に参戦しているんだ。 別におかしい事ではないだろう?」
ダスティンは周りを見ると、他の者達は頷いてみせた。
「まぁ、自分も最初は冒険者ギルドから派遣されたサポート役の要員だと思ったが…列に並んでいる所を見て違うと解ったんだがな。」
「少年よ、済まなかった。」
「いえ、良いんですよ…」
ダスティンは冷静になってから列に並んだ。
そして…それぞれの地点にチームが振り分けられると、作戦実行前にヴェイガストの元に各チームのリーダーが集められた。
「ヴェイガストさん、すいません…先程ダスティンさんが質問していたので聞けず仕舞いだったのですが、討伐した魔物の素材は持ち帰っても良いのですか?」
「当然だ! スタンピードの討伐作戦に参加して応戦で報酬以外に討伐証明部位を集める事により、討伐報酬とポイントが支払われる。 そしてそのポイントの総合数で報酬も多く支払われるという事になっているからな!」
「僕が言っているのは、討伐証明部位の話ではなく…討伐した魔物の肉を持ち帰っても良いものかと。」
「あ、そっちか? 無論…構わないが、スタンピードは魔素による暴走で魔物が一部魔獣化しているから、食用には向かないと思うが?」
「大丈夫です! 僕のチームの中には、呪いを浄化できるヒーラーがいますので!」
「それなら問題は無いな…しかし、凄いな! 呪いを浄化できるヒーラーなんて高位のプリーストでもない限り出来ないだろうに…」
ロットは、高位のプリーストの更に上位の聖女です。
なので、呪いを浄化なんて問題ありません。
すると、Bランク最有力候補であるCランクの男が言って来た。
「私は現在Cランクチームの…」
「ベクターだったよな? ジュストコールのギルドマスターが君の事を推していたという話だったな!」
「Sランクのヴェイガストさんに名前を憶えて戴けるなんて光栄です!」
そう言いながらベクターは横目で僕の事を睨んだ。
僕はこの時、ポイント争いのライバルとして対抗心を向けられていたのだと思っていた。
「このスタンピードの掃討作戦でポイントを集めて上位に食い込めれば、私達はBランクに上がれるでしょうか?」
「確実とは言えないが…条件次第では可能性はあるだろう。」
ベクターはそれを聞くと、拳を握って喜んでいた。
まぁ、ランクの低いチームはより上位のランクに上がりたいと思うものだから。
僕達にはその気持ちは殆ど無かったけど…
すると、またベクターが発言して来た。
「チームを地点ごとに分けられるのは良いのですが、この子供達の配属された地点が一番ポイントを獲得出来そうな気がしますが?」
「それがどうかしたか?」
「こう言っては何ですが…子供達では荷が重いのではないかと思ったのですが?」
「君達もダスティン同様に見た目で判断するか? 言っておくが…この子達は君達よりランクが高いんだぞ。」
「では、この子供達のランクは幾つなんですか?」
「詳しくは言えないが、君達よりは高い。 いまはそれで納得してくれ。」
「わかりました。」
ベクターはイマイチ納得していない様だった。
そして話が終了して、それぞれのチームは割り振られた地点に赴いたのだった。
「グレートホーンブルにブラドボア、アーマーバードか…大型の魔物と食材が大量に手に入りそうだな。」
「私達の所が魔物が強いとか、強い場所なの?」
「いや、Sランクのヴェイガストさんの所が一番強い奴等や数を引き受けている。」
「そうか、私達はランクを隠して参加しているんだもんね? 子供達だけで一番強い場所には属されたらさすがに怪しまれるか…」
「そういう事だ! とりあえず、この辺に沸いている魔物を全て掃討しよう! その後に食材を確保するんだ。」
「「「了解!」」」
僕と妹達は、スタンピードで数の増えた魔物達を掃討して行った。
スタンピードというだけあって、さすがに数が多く…片っ端から討伐しているのだが、後から後からと湧いて来て倒した後の討伐証明を回収出来る暇がなかった。
僕と妹達は割り振られた地点の魔物の討伐を終えると、元の地点に戻って来た。
そして討伐した魔物達の素材を解体している時にふと気付いたのだった。
「数えていた訳では無いんだけど…数が足りなくないかな?」
「それと、頭部のない魔物の死体もあるよね? お兄ちゃん、魔物の首は落とした?」
「致命傷を与える為に深く斬ってはいるが、落としてはいない。 別な魔物の仕業かな?」
「大型タイプ以外の魔獣や魔物なんていたかな?」
「とりあえず、食材を確保しよう!」
僕達は魔物を解体していった。
そして魔獣化している魔物は、ロットが浄化の魔法で呪いを除去していったのだった。
その後…スタンピード討伐作戦のテントに戻り、出張しているギルド職員に討伐証明部位を提出してから食事をして眠りに就いた。
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1位はCランクのベクターのチームだった。
Cランクのベクターのチームの地点は、確か昆虫系の魔物の地点の討伐だった筈…?
それにしては、魔獣の角の類も討伐証明の箱に入っている様だった。
「お兄ちゃん…あの角って?」
「僕も気付いたけど証拠が無いからね…」
「あれは絶対私達が討伐した魔獣の角だよね?」
「という事は持ち場を離れた時に持って行かれたんだわ!」
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他のチームは大体6人近くか、それ以上の人数がいる。
それに担当地域に特定の魔物や魔獣が現れるとはいっても、スタンピード時では全てが全て同じ種という訳では無いから、もしかしたら別な魔獣も現れたのかもしれない。
僕と妹達は、納得は出来なかったが諦める事にした。
「では引き続き…昨日と同じ地域を担当してもらおうと思う。 では、皆生きて帰れよ!」
ヴェイガストがそう宣言すると、頷きながら皆昨日の地点に赴いたのだった。
すると僕達の所にギルドの制服を着た男性が2人合流したのだった。
「私達は冒険者ギルドの解体班です。 冒険者ギルドからの命で、少年達のチームの討伐した解体をする様にと命じられました。」
「それは…御苦労様です。 ですが、宜しいのですか?」
「他のチームの方々と違い、少数精鋭で事に当たっているので…解体をしている暇が無いと判断しての派遣ですのでお気になさらないで下さい。」
「わかりました、ではお願い致しますね!」
僕と妹達は、昨日と同じ様に魔物や魔獣の討伐をして行った。
そして討伐した魔物はギルド職員に渡して解体をして貰った。
ギルド職員の解体班は、見事に魔獣や魔物を解体していった。
暫くすると…森の奥の方から大量に魔獣達が攻めて来たので、ギルド職員をその場に残して地点から移動した。
そして討伐してから戻ってみると、ギルド職員の1人は言った。
「あれ? もう1人の方はどうしましたか?」
「別方向から来た魔物に同僚が連れて行かれました。 しかも、解体した魔物の残骸を持って…」
「すぐに後を追わないと!」
「いえ…大型の肉食魔獣でしたので、恐らくはもう…私もこの場を離脱しても宜しいでしょうか?」
僕は妹達の顔を見ると頷いた。
「わかりました、同僚の方が襲った魔獣がいるかもしれないので気を付けて離れて下さいね。」
「最後までお役に立てずに申し訳ありません…」
そう言ってギルド職員はその場を離れて行った。
僕は解体された物を見て疑問に思った。
「変だな?」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「いやぁ…解体された素材を見ると、大型獣の肉は手付かずで魔物の角や尻尾といった討伐証明部位が無くなっているんだよね。」
「確かにそうね? 魔物や魔獣は、魔物の角とかを食べる事でパワーが上がるとか?」
「魔物が強くなる条件は、他の魔物を殺す事で力を得るという話だから、角や尻尾を食べて強くなるとは思えないんだ。 それに…大型の肉食獣が、大型の獣の肉を無視して人間だけを連れて行くかな?」
「大型の肉食獣が現れて武器を構えたとか?」
「低ランク冒険者だったらその可能性もあるかもしれないけど、冒険者ギルドの職員がそんなミスをするかな? 冒険者ギルドの職員の半数以上は、元冒険者の人が大半だからね。」
「だとすると考え難いのかな?」
今回の討伐証明部位は、地点から離れた時に討伐した魔物や魔獣のみだったので、昨日より素材が少なかった。
そしてキャンプ地に戻り、冒険者ギルドの職員に討伐証明部位を渡してから、先程のギルド職員の安否を聞いた。
すると、意外な答えが返って来た。
「我々は冒険者の方々に手を貸す様な真似は致しておりませんが?」
「ですが、僕達が少数のチームなので解体まで手が回らないと言って、解体班を名乗る2人がきたのですが…」
「我々のメンバーはこの5人のみですし、他の者が来る事は聞いておりません。」
「だとすると…騙されたか。」
僕はモヤモヤした状態でその日は寝てから翌日…
集合して結果を聞くと、またもポイントの1番はCランクのチームだった。
そして討伐証明部位の入ったボックスの中には、昆虫系ではない魔獣の角や尻尾があった。
「これはやられたな…」
「おかしいわよ! そっちは昆虫系の魔物の討伐でしょ! それなのになんでブルの角やボアの牙があるの⁉」
「おいおい、変な言いがかりをするのは辞めて欲しいな! 自分達のポイントが少ないからって言いがかりは辞めろよ! それにこっちは昆虫系とはいっても、昆虫以外の魔獣だっていたんだ!」
僕はリットをなだめてから、Cランクのチームの討伐証明部位のボックスを見た。
すると明らかに、昆虫系の生態ではあり得ない角や牙が出て来た。
そして昨日討伐した、ブラステルティーガー尻尾が入っていた。
ブラステルティーガーは、Sランクのチームで同等、Aランクのチームでかなり苦戦する程の魔獣だ。
なので、どうみてもBランクに近い実力があるとはいっても、Cランクのチームに討伐出来る物ではない。
ただ、それを指摘した所で…子供が負けたのを理由に言い訳を言っている様にしか見えないだろう。
この中では、ローファスさんのチーム以外では僕達の事を知っている者は、多分ヴェイガストさん以外はいないし、仮にローファスさんが口添えをしても他の人には信じては貰えないだろう。
僕と妹達は、再び昨日と同じ地点に赴いた。
そして話し合いをしたのだった。
「さっき…討伐証明部位のボックスを見た時に、昨日僕等が倒したブラステルティーガーの尻尾が入っていた。」
「やっぱり! あのギルド職員を名乗った人はあいつ等の仲間だったんだね!」
「恐らくね…そして肉食魔獣に連れて行かれたというのも嘘だろう。 襲われたフリをして、この掃討作戦が終了するまで隠れているつもりなんだろうね。」
「子供の手柄を横取りして自分の手柄にするなんて…なんてセコイ大人達なの!」
まぁ、確かに…普通に考えたらかなりセコイ。
大の大人が子供の手柄を横取りするなんてね。
「それでね…今回も何らかの手を使って接触を図って来ると思う。」
「またギルド職員を名乗って近付いて来るとか?」
「昨日の夜の段階で、ギルド職員の数と顔を覚えたので…さすがに昨日と同じ手は使っては来ないだろう。」
「じゃあ、どんな手を?」
「考え付くとしたら…初日と同じ手だろう。 周囲に隠れて、僕達が討伐した魔獣を持って行くとか、討伐証明部位を持って行こうとする筈。」
「なら、守護結界でも展開する?」
「ロット…あまり大きな力を見せるなって国王陛下から言われたでしょ!」
「じゃあ、どうするの?」
僕はマジックバックを見てから妹達を見た。
「今回は僕は戦闘には参加しない。」
「じゃあ、私達だけで討伐して行けば良いの? 解体は?」
「解体は後回しにする事にして…今回は討伐した魔物や魔獣は、倒したその場から僕はマジックバックに回収していくからね。」
「確かにそれの方が面倒ではないけどね。 後で山の様に出してから解体していくから、その場で解体するよりも面倒くさいけど…」
「でも、かすめ取られるよりはまだ良いよ。」
僕達はこうして今回の作戦に望むのだった。
その翌日の結果は、僕達がポイントで1位を得るのだった。
今回1位を取れなかったベクターのCランクのチームは、僕達が不正をしたという言い掛かりを付けて絡んで来たのだが、ヴェイガストさんがその場を仕切ると後に分かりやすいくらいに接触をはかってくるのだった。
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異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
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会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
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美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
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港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
最強の異世界やりすぎ旅行記
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最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
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【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
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辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
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