器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス

文字の大きさ
8 / 39
第一部

第七話 お約束的な…厄介毎な展開

しおりを挟む
 「ゴードンは、もう動く要塞みたいだな?」
 「それはどういう意味だべか?」

 知り合いの鍛治職人の店から出て、冒険者ギルドに向かっている途中…他の冒険者からの視線を浴びていた。
 てっきり、俺が勇者パーティーから追放された事を聞いて、声を掛けるタイミングを伺っているのかと思ったが、視線の先はゴードンに集まっていた。
 それもその筈、ゴードンは身長210cmで筋骨隆々で更には右手にはグレートアックスに左手には全身を覆う様な巨大な大盾を装備し、身体はフルプレートに覆われていて、頭にはグレートヘルムを装備している。
 その容姿は、さながら古の昔話に出てくる巨人族の戦士の様な姿をしていた。
 これなら…ゴードンに視線が向くのも分かる気がする。

 「オラは嬉しいべ!こんなにピカピカの武具を揃えてくれたティクティノスに感謝だ!この代金はいずれ稼いで返すべな。」
 「それはゴードンにプレゼントしたものだ。金を返す必要はない。」
 「だども、それだと申し訳ないべ…」
 「活躍してくれればそれでチャラだ。期待してるぞ、ゴードン!」
 「あぁ、任せるべ!仲間はオラが死んでも守ってみせるだ‼︎」
 「意気込みで言っているのは分かるが、死んでもなんて言うな!ゴードンは大事な仲間で友達なんだからな!」
 「分かっただ、任せるだテクティノス!」
 「それと俺の名前はテクトで、マリアネートの名前はマリーだ。村でも言ったと思うが、俺とマリアネートは村以外では偽名を使うから、悪いがそれに慣れてくれ。」
 「分かっただ、テクト!」

 俺とゴードンは拳を合わせてから笑って見せた。
 すると、マリアネートとシーリアとクライヴも同じ様に俺達の拳に拳を合わせた。
 別にこれが俺達の村での挨拶という訳ではないが、俺とゴードンがやっているのを羨ましく思ったのか加わって来たのだった。
 そして俺達は冒険者ギルドに向かった。
 すると…案の定というべきか、ギルド内の注目はゴードン…ではなく、俺に集まって来た。
 そしてその勇者達の中には、クルーシス達の勇者パーティーもいたのだった。

 「テクト、今フリーだよな?僕達のパーティーに…」
 「お前抜け駆けするなよ!俺達のパーティーに来てくれ!」
 「テクト、君の力が必要だ!是非とも私達のパーティーに来て欲しい!」
 
 また…ゾロゾロとまぁ集まってくるもんだな?
 すると、クルーシスも他の勇者を掻き分けて来たのだった。

 「テクト、済まなかった。お前の事を役立たずと言って追い出してしまって…謝罪をするから戻って来てはくれないか?」
 「はっっっ、バッカじゃねーか!お前等パーティーの奴等は俺を追い出す時やパーティーにいる時になんて言ったか忘れたのか?それで、謝罪するから戻って来てくれだと?あんな暴言吐いておいて、謝罪で済む話じゃねーのくらい分かっているのか?」
 「うっ………お前が居なくなって自分達の実力の無さを思い知った。だから頼む!」
 「クルーシス、お前なら許すか?あれだけの暴言を吐いた人間をだ!」
 「俺なら…許す!」
 「そうか、なら意見の相違だな。悪いが俺は許す気はないから、さっさと失せろ!」
 「何故だ!謝罪ならすると言っただろ!何が不満なんだ⁉︎」
 「はぁ…分からないのか?流石クルーシスだ、ギルド規約を知らないとはな!まぁ、俺を追い出した他の勇者達も規約を知らずに一方的に追い出したから、知っている者が限られるんだろう。」
 「ギルド規約?」
 「パーティーに所属していた者には、仮に戦力外通告をして除名させる場合であっても、それまで参加していた者達には貢献した料金を支払う事を義務とする。これはギルド規約にちゃんと記されている項目だよ、お前はそれを無視して一方的に俺を追い出した。金も支払わずにだ!それで謝罪するから戻って来てくれだと?誠意が見えねぇんだよ!」
 「か…金の問題か?幾ら支払えば良い⁉︎」
 「そうだな除名金と違約金を含めて…白金貨500枚で手を打とう。」
 「白金貨500枚だと⁉︎」
 「俺の働きなら、それくらい貰ってもバチは当たらんよ。」
 「馬鹿な…そんな大金を持っている訳ないだろ‼︎」

 クルーシスに限らず、奴のパーティーメンバーは金遣いが荒かった。
 俺は何度も貯金をする必要はないが、手元には残しておけと何度も注意をしたが、全くといって良いほど聞き入れられず…金が尽きたら次のクエストの報酬で金が入ってくると言って残らない使い方をしていた。
 俺の意見を聞き入れていれば、白金貨500枚くらいならあってもおかしくない筈なのだが?
 まぁ、金が無いのを知っていて吹っかけているのだから支払えるはずも無い。

 「話は以上だ!金が支払えないのなら消えろ!」
 「下手に出ていれば調子に乗りやがって!おい!」

 頭に血が昇るとすぐに解りやすい行動に出るのがクルーシスで、そのパーティーメンバーも同類だった。
 クルーシスは剣を抜いて向かって来た。
 そしてその仲間達も武器を構えて向かって来た。
 俺は剣を抜いてから、クルーシスの剣をウェポンブレイクで破壊すると…騎士ガイネスは盾を構えて向かって来た。
 俺は盾を構えてガイネスの盾にシールドバッシュを喰らわせて弾き飛ばすと、ファラとミーリアにサイレントの静寂魔法を放ってから、クリスタルチェーンバインドという拘束魔法で拘束した。

 「お前達に一つ言っておくが…俺は強化と弱体魔法だけが取り柄だと思って掛かって来たみたいだが、俺はお前等よりも遥かに強い。それすらも見極めることが出来無いから、お前達にはさっさと消えろと言ったのだがなぁ。まぁ、これからは勇者では無く冒険者として稼いでいけ。」
 「何を言っている!俺は序列上位から落とされたが勇者だぞ‼︎」
 「もう違う!お前はこれから勇者の地位を剥奪されるんだよ。ギルド規約…冒険者ギルド内で武器を抜いて他の者に危害を加えようとした者には、ランク剥奪かもしくは、ランク降格が言い渡される。」
 「だが、ランクが降格されるだけで…」
 「いま話したのは冒険者の場合だ!だが、勇者の場合はまた別で…勇者が規約を破って行為に及んだ場合は、勇者の地位を剥奪し、そのパーティーメンバーも重い罪を背負う事とする。ギルド規約に書いてあるし、勇者になった時に聞いただろう?」
 
 まぁ恐らく…この馬鹿は覚えてないのだろうな。
 勇者の場合は、勇者になった時に重い責任が課せられる。
 それは軽んじても良い訳ではないし、蔑ろにするなんてもっての外だった。
 クルーシスとその仲間達は、ギルド職員に捕まって連行されて行った。
 これから奴等が待っているのは、長い懲罰だろう。
 冒険者になって…と言ってはみたが、冒険者として活動出来るかどうかは当分先になるだろうし、もう会う事もないだろう。

 「クルーシスの奴は…ギルド規約を知らなかったのか?」
 「だが、これで奴との方は付いたのだろう?なら改めて、俺達のパーティーに…」
 「いや、私達のパーティーに!」
 「僕達のパーティーに来て下さい!」

 俺はマリアネートの方を見ると、手続きが終わって手を振っていた。
 どうやらパーティー登録が完了したみたいだった。
 俺は両手を叩いて誘って来た者達を黙らせた。

 「悪いが…俺は新しい勇者のパーティーメンバーとして登録された。ここから先はギルド規約に違反する事になるが…皆は分かっているよな?」
 「新しい勇者ってあの子か?テクトはあの子のパーティーに誘われたのか?」
 「だが、彼女達も序列を上げればクルーシスや以前の勇者達の様に、同じ目に遭わされる可能性があるかもしれないぞ‼︎」
 「悪いがそれは無い!」
 「どうしてそう言い切れる⁉︎」
 「新人勇者マリーは俺の妹だ。そしてパーティーメンバーは、俺の幼馴染達だからだ。知り合いでも無い奴らだったらその可能性もあるかもしれないが、流石に肉親や幼馴染が俺を裏切る様な真似はしないさ。」

 俺を勧誘しようとしていた者達は、マリアネートとその仲間達を見た。
 すると、ガックリと肩を落として散って行った。

 「これで当分は静かになるだろう。」
 「テクティ…いや、テクトお疲れ様。」
 「兄ちゃん…四人相手にたった一人で歯向かえるなんて、兄ちゃんは強いんだな!」
 「俺が強いんじゃ無い、奴らが弱かっただけだ。それよりも…だ!」

 マリアネート…マリーが勇者になったので、これから鬼の様に面倒なクエストが待っている。
 俺達は冒険者ギルドを出てから、知り合いの食堂に行ってクエスト内容を確認する事にした。
 だが、以前の二人の勇者が請けたクエストとは違い、難易度が高いクエストが混じっていた。
 少なくとも新人パーティーがこなせられる内容の物ではないのだが…?
 
 とりあえずは、戦いにも慣れてもらう為に簡単なものから始める事にした。
 そして…難易度が高いクエストを始めた時には、かなり苦戦する内容のクエストだった。
 そのクエスト内容とは、またお約束な…
しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

処理中です...