器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス

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第一部

第二十三話 お約束的な…厄介な誤解と見解の相違

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 おかしい…?
 情報屋の総括から、闇ギルド関連を聞くという話なのに…?
 何故俺はこんな場所にいるんだ⁉︎
 この娼館は、王都でも一番と謳われる最高級の娼館施設だった。

 「次は、魅惑な豊満ボディのミノタウロスのモーラティス嬢です!」

 舞台の上が魔法で床が移動する仕掛けになっており、舞台にいる娼婦がVIP席で酒と料理を楽しんでいる俺達の前で、自分の魅力をアピールする為にセクシーなポーズを披露していた。
 総括は堪らなく興奮していたが、俺の反応は微妙だった。
 今迄…舞台が流れながら現れた娼婦は三名。
 ナーガ族のインスピア、アルラウネ族のサフィラ、そしてミノタウロスのモーラティスだったのだが?

 「これでもお気に召しませんか!では次は、この店のイチオシの牙象族のレファンナ嬢です!」

 牙象族の子が舞台で流れてやって来た。
 だが、総括は滅茶苦茶興奮しているが、俺は呆れていた。

 「旦那、この子もお気に召しませんか?」
 「いや…話を聞きたいのだが?」
 「話ならコレが終わればいくらでもしますよ。今は楽しみましょう‼︎」

 何というのか…ナーガ族は白い大蛇で、体をくねくねと動かしているだけだった。
 アルラウネ族は、体に纏っている葉を一枚ずつ捲って薄着になっていくアピールをしていた、素肌になったと思ったら、ただの葉脈と繊維だった。
 ミノタウロス族は、自らの肉体美を披露していた。
 そして牙象族は、二足歩行する…まんま象だった。
 コレをみて…俺は何に興奮しろと?
 側から見ていて、ただの魔物が舞台の上にいるとしか見れなかった。
 総括は、帽子を取るまで分からなかったが…狼のような耳がある獣人だった。
 獣人から見れば、今までの子達は魅力的に見えるのだろうか?

 「お客様は手強いですね!では、この店の最高の娼婦を披露致しましょう!ウルキャット族のミーニャ嬢です!」

 舞台袖のアナウンサーが高らかに声を上げた。
 ウルキャット族というのは、要は猫人族だ。
 猫人族というと…普通は人の体に耳と尻尾が生えている子を想像するが、この子は黒い艶のある体毛に長い手足で顔は猫…?のまんまだった。
 つまり、ただの黒豹が舞台の上で踊っていた訳なのだが?

 「旦那、彼女は裸ですよ!うぉぉぉぉぉ、最高だよ、ミーニャちゃん‼︎」

 普通に考えて、黒豹が服を着ていたらおかしいだろ。
 種族間の違いというのは、面白いと感じた。
 俺にはペットを購入する為の御披露目会にしか見えなかった。
 見解の相違だな、俺は何も魅力を感じなかった。

 「こんな事よりも、さっさと話をしたいのだが…?」
 「旦那、どの子と楽しみますか?」
 「おい、俺はいつまでこの茶番に付き合えば良いんだ?」

 俺は手に雷の球を出現させた。
 総括は青い顔をして言った。

 「は…話の前に、旦那に楽しんで欲しかったんですよ。コレからお話しするのは、かなり鬱な話になりますので…」
 「緊張をほぐす為の前座だったというわけか?」
 「その通りで‼︎」

 それから総括は話し始めた。
 内容を聞いていて、確かにこれは鬱になりかねない情報だった。
 ギザリスとクルーシスは大した事がないように思えたが、それよりも厄介なのは闇ギルドの連中だった。
 闇ギルドはボスと呼ばれる存在から、八人の幹部がいて其処から複数のチームに分かれて行動をする。
 それぞれ役割と担当が決まっていて、実行犯と呼ばれる者達はSクラス相当の手練れという話だった。
 更に下っ端ですらAランクレベルの者達がゴロゴロとしており、そしてギザリスはとある伝から大金を入手して、俺に闇ギルドの総力を向かわせるという者だった。
 追放したのが向こうなのに、それで上手くいかなくなったのは俺の所為ではないのに…子供のレベル程度に対処すれば良いと思っていたが、事情は思ったよりも深刻そうだった。
 まぁ、貴族というのは何よりもプライドが高い奴らばかりだからな。
 些細な事でもいつまでも根に持ち、その恨みを晴らす為には手段を問わずで、自分さえ良ければ相手の事など知った事がないという連中だった。

 「その伝というのがしっくり来ないが…実家の伯爵家でも襲ったのか?」
 「その様で…両親を殺してメイドと兄妹は全て奴隷商に売ったとか。」
 「俺を始末する為に良くもそこまで出来たものだな?あ、廃嫡されているからか…」
 「後、子爵家も…」
 「大金の出処は、その二つの貴族を襲ったからか。確かに貴族が貯め込んでいた量を考えれば、闇ギルドの連中も動くよな。」
 「しかしほぼ全軍ですよ?旦那が強いと言っても、さすがにその数では…」
 「あぁ、死ぬだろうな。だが、ギザリスとクルーシスの二人は、それだけの人数を揃えないと立ち向かう事ができないと感じたんだろ?過大評価をしてくれるのは嬉しいけどな。」
 「んで、どうしやす旦那?」
 「助けてくれ…と言ったら、助けてくれるのか?」
 
 総括は目を閉じながら考え込んでいた。
 情報屋の中にも実行部隊はいるが、一般冒険者ならともかく…闇ギルドに対抗出来るほどの戦力は無いはず。
 即答で無理と言われるよりは、気遣いが嬉しかった。
 だが、巻き込む訳は行かないよな。

 「すいやせん旦那、仲間と相談しねぇと…あっしだけでは決められねぇんで。」
 「いやいや、構わないよ。その代わりと言っては何だが…一つだけ頼みを聞いてくれないか?」
 「何でしょう?」
 「此処に金貨千枚があるので、もしも俺が死んだら妹に渡してくれないか?」
 「あっしを信用するので?持ち逃げすると考えないのですかい?」
 「もしも持ち逃げしたら…死んだ後にリッチになって毎晩魘されて眠れない日々を送る呪いを掛けてやるからな。」
 「レイスなら分かりやすが、リッチって…なまじ旦那が言うと冗談に聞こえねぇですぜ!」
 
 俺と総括は笑い合うと、総括は真面目な顔をして言った。
 
 「仲間達と相談し、無理だった場合は申し訳ありやせん。」
 「構わないさ、闇ギルドが相手なら尚更な。」

 俺はそう言ってVIPルームを出た。
 そして店からも出て歩いていると、知り合いの二人に出会った。
 それは序列一位の勇者アーヴァインと序列二位のティルティアだった。

 「おや、お二人さん…デートか?」
 「クエストの帰りでばったり会っただけだ!」
 「テクトこそ、こんな場所で何を?」

 アーヴァインとティルティアは、俺が出て来た店を見て…ティルティアは手で口を抑えて「フケツ…」と言い、アーヴァインは俺の肩に腕を回して言って来た。
 
 「テクトよ、何も言わなくても良い。お前も男だからな、気持ちは分かるが…せめて変装くらいはしろよ!」
 「だからちっげぇーよ!そんなんじゃねぇ‼︎」
 「お前の今のパーティーは、妹と幼馴染なんだろ?知り合い同士のパーティーでは、下手におちゃらけることが出来ないからな。色々溜まるんだろ?」
 「アーヴァイン、お前殴るぞ!俺は別に何もしてねぇよ‼︎」
 「またまた~娼館に入っておいて何も無い訳ねぇだろ?それで…どの子がタイプだった?」

 アーヴァインの奴、マジで殴ってやろうか?
 でもまぁ、娼館から一人で出て来て何もなかったと言ったところで信じる訳がないよな?
 
 「本当に俺は何もしてねぇし、やってもねぇ!」
 「テクトよ、お前に一つ良い事を教えてやる。」
 「何だ?」
 「人間、やましい事があったり犯罪者は皆そう言うんだよ。」
 「アーヴァイン、お前マジで殴るぞ!」
 「テクト…君の妹は、テクトの事を尊敬出来る素晴らしい兄だと言っていた。」
 「ティルティア、お前も誤解をしているぞ。」
 「こんな場所から出て来て、何が誤解だと言うんだ‼︎」

 だめだ、二人共まともに取り合おうとはしない。
 まぁ、娼館から出て来た時点で男ならこういう反応をするし、女は蔑んだ表情で見てくる。
 事情を話せれば…いや、事情を話して協力を要請…は出来ねぇな。

 「アーヴァイン、ティルティア…よく聞け!」
 「ん?」「うん?」
 「アルラウネは、素肌がピンク色で舐め回したくなる程の美しさだった!」
 「おぉ、他種族娼館か!」
 「お前は何の話をしている⁉︎」

 俺はそれだけ話すと、すぐにその場を立ち去った。
 俺は誰も巻き込みたくは無いし、ましてやあの二人の勇者は冒険者時代から一緒にやってきた仲だからだ!
 アイツらを巻き込む訳にはいかねぇよ。

 ~~~~~総括は?~~~~~

 「皆、居るか?」

 総括はそう言うと、壁や天井から仲間達が姿を現した。
 
 「あれが旦那だ!オレは旦那の要望を叶えてやりてぇ…」
 「総括はテクトの旦那を気に入っているんですよね?」
 「あぁ、あの人はこんな所で死んで良い人じゃねぇ!」
 「その意見には賛成だ!あの人は俺が成し遂げられなかった事をやってくれた。」
 「旦那は、僕等の仲間を救ってくれた。」
 「その為には、総括には悪いが俺達は旦那を助けに行くぜ‼︎」
 「闇ギルドが相手でもか?」
 「あぁ、死ぬ覚悟は出来てる‼︎」
 「俺もだ!」「僕等も!」「私達も!」
 
 総括は仲間達を見回して言った。

 「お前らは馬鹿だな…そして最高の仲間だ!戦力としては頼りないが…旦那を手助けするぜ‼︎」
 「「「「「「おぉ‼︎」」」」」」

 ~~~~~アーヴァインとティルティア~~~~~

 「アイツが心の内を明かさないと言うことは、相当切羽詰まっているんだな。」
 「私達に迷惑をかけない様にの処置か、あの時の様に…」
 「アイツは確かに強い…だが、個人の強さなんか高が知れている。」
 「その為に私達がいるというのにな…頼られないというのは悲しいものだ。」

 そう話していると、娼館から出て来た総括をアーヴァインは捕まえた。

 「よぉ、アダン!一人で珍しいな?」
 「おやおや…旦那達ですかい?どうしたんで?」
 「お前が娼館から出てきて、少し前にテクトが出て来たと考えると…お前のクライアントはテクトか?」
 「な…何の事で?」
 「アダン、お前が嘘をつく時は…耳が左右別に動くんだよ。」
 「分かりやした…本来なら守秘があるのですが、今回は特別です。実は、テクトの旦那が………」

 アーヴァインとティルティアは、アダンの話を聞いて怒りの表情をしていた。
 アーヴァインは地面を殴り、ティルティアは壁を殴った。

 「あの馬鹿野郎!何で俺達を頼らねぇんだよ‼︎」
 「一人で戦って勝てる数じゃ無いことくらい分かっているだろ‼︎」
 「それじゃあ、お二人は?」
 「あの馬鹿の助けをしてやるよ!後でたっぷり要求してやるからな‼︎」
 「私達に気を遣っての事みたいだが、私等をあまり舐めないでほしい物だな!」

 アーヴァインとティルティアは、アダンに詳しい日時を聞いた。
 そして…テクトはその場所に行くと、大勢の者達に囲まれていたのだった。
 
 テクトはどうなるのだろうか?
 そして、テクトに手助けをしてくれる者達は?
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