器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス

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第一部

第二十四話 決戦日の数日前の出来事

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 俺はギザリスとクルーシスが待つ場所に一人で来ていた。

 「来たぞ、奴だ!」
 「喰らえ聖水だ‼︎」
 「魔法を唱えよ!」
 「「「ターンアンデット!」」」

 俺は呆れる程に引っ掛かっている事に笑いを堪えられずにいた。
 まさか…俺の事を本気でアンデットだと思っていたからだ!
 俺には全く効かないが、効いたフリだけでもしておくか。

 「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~!!!」

 我ながら酷い演技だ。
 だが、俺がアンデットだと信じている者達は…顔が緩んでいる様に見えていた。
 さて、何故奴等がこんな勘違いをしているのかというと、話は三日前に遡る。

 ~~~~~三日前~~~~~

 決戦までの日まで、俺は気が休まる日がなかった。
 総括と娼館で別れた翌日、俺は宿で目覚めると女将から手紙を渡された。

 【お前には常に監視の目が光っている。余計な者達を巻き込みたくなければ、指定された場所に一人で来い。】
 
 俺はこの手紙の内容を確認すると、すぐに宿を引き払った。
 奴等は所構わず侵入し、ターゲット以外に周りにいる者達でも平気で始末する暗殺集団だ。
 俺が居る場所で他人が死ぬのは見たくは無い。
 俺は街の外に行ってから、身を隠せる場所を探していた。
 だが、手紙の内容の通りに街の中でも外に出ても、視線と気配が付いてきた。
 監視されているというのは、あながち間違いではなさそうだ。
 俺は決戦の日まで、街に立ち入らない様にした。

 「さっきからずっと視線が鬱陶しいなぁ…だが、此処で襲って来る感じは無さそうだな。」

 さて、指定された場所までどうやって過ごすかねぇ?
 指定された日にちは三日後だから、三日後に下手すると死ぬ事になるのか…。
 俺だって冒険者だし、常に危険と隣り合わせの仕事だから死は覚悟はしているが…?
 諦めているわけでは無いが、もう少し長生きはしたかったと思った。
 だが、この時に面白い考えが浮かんだ。

 「そういえば、決戦の日にちの前に俺が死んだらどうなるんだ?」

 奴等の目的が俺の命だとすれば、対象者が死んだ場合はどうなるのだろうか?
 ターゲットが存在しない闇ギルドは解散か?
 ただ下手すると、妹や幼馴染達がターゲットに切り替わる可能性があるな。
 いや…いっそ聞いてみるか!

 『おい、俺を監視している奴等に聞くが…決戦の日にちの前に俺が死んだらどうなるんだ?』
 「「「「「!?」」」」」
 『それを踏まえて話がしたいから、姿を現せ‼︎』

 この問いに関しての答えが無かった。
 もしくは会話を禁止されていて監視のみの対応で応答が出来ないのか?
 幾ら待っても答えが返って来なかったし姿も現さないので、俺は次の行動に出た。
 俺は道具袋から小瓶を取り出した。
 これは以前、師匠から学んだ毒薬の小瓶で…服用すると身体中の水分が放出されて、カラカラのミイラの様になるという薬だった。
 放出された水分は暫くすると体内に戻るので、見た目は死んだ様に見えるが見た目だけで命に別状はない。
 だが、側から見ると死んだ様に見えるという薬品だった。

 『そうか…なら俺は三日後に殺されて死ぬくらいなら、今死ぬ事を選ぶ!二人の馬鹿勇者どもにそう伝えておけ‼︎』

 俺は小瓶の中身を一気に飲み干すと、その場で倒れてのたうち回り…そして最後は身体中の水分が外に放出されてミイラの様な姿になっていた。
 さて、監視者達はどう動くかな?
 ちなみにこの薬は、ひどい匂いがする上にこの世のものとは思えない程に不味い。
 なので、のたうち回ったのは別に演技でも何でもなくて、本当に苦しんでいたのだった。
 
 監視者達は、倒れた俺を確認すると姿を見せて近寄って来た。
 六人共、黒装束で顔はフードで隠しているという徹底ぶりだった。
 頼むから剣で刺したりして確認するのはやめてくれよ…と祈ってはみたが、案の定やりやがった。
 この状態になると痛みは無い…が、水分が戻った時に大量に出血するので、怪我は少ないに越したことが無い。
 だというのに、死んだ事を何度も確認する為にブッ刺して来る。
 マジで良い加減にしろよ!
 俺はこんな状態だが魔法は使えるので、俺から俺から1番近い奴に対して麻痺魔法と拘束の魔法を合わせた物を放って拘束した。
 流石に闇ギルドのメンバーだけあって、一人が捕まった時の対応が早かった。
 残りのメンバーはすぐに距離を取って警戒している。
 メンバー全員を捕らえる必要はないので、他は散らすか!

 「ふっふっふ…先程は我の体を良くも傷だらけにしたな‼︎」
 「馬鹿な、死体が動くとは⁉︎」
 「我は不死の王…アンデットマスターリッチだ!」
 「馬鹿な!上位ダンジョンのボス格だと⁉︎」
 「何を驚く?我は元々アンデットだ!貴様等を油断させる為に芝居を打ったんだ!」

 …という事にしておく。
 そして拘束して動けなくなった監視者を捕らえて魔法で眠らせて言った。

 「此奴を見捨てれば、他の者達は助けよう!どうするかね、諸君?」
 「貴様は本当にアンデットなのか?」
 「この姿を見てもお前達は人に見えるのか?」
 「チッ…引くぞ!」
 「お前達のしゅじ…いや、飼い主に伝えておけ!決戦の日は、大量の贄の提供に感謝するとな‼︎」
 
 監視者は一人を残して去って行った。
 これで決戦の日に対して、アンデットだと思って見当違いな攻撃をしてくれると有り難いが。
 さて、そろそろ体が戻るだろうし…先に回復魔法をかけておくか。
 それとコイツだが、恐らくは大した情報は持ってはいないだろう。
 俺は捕まえたコイツに魅了魔法を施してから、考えを読んだ。

 「なるほど、俺を殺した後は妹達を狙う気だったのか…なら、皆殺し確定だな!」

 最初から生かしておく気はないが、妹や幼馴染達が狙われるなら話は別だ!
 俺は捕まえたコイツにトドメを指してから、その場を後にした。
 決戦までの残り三日…果たして俺は?
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