魔境育ちの全能冒険者は異世界で好き勝手生きる‼︎ 追い出したクセに戻ってこいだと?そんなの知るか‼︎

アノマロカリス

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最終章

第四話 近寄り難い雰囲気と禁句…?(リュカに何があったのか…?)

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 リュカ・ハーサフェイは、数日前に彼女に会いに異世界に向かった筈なのに…?
 帰って来た時には、全くと言って良い程に元気が無かった。
 いや、ただ元気が無いという感じでは無いな。
 何というか…声を掛け辛い雰囲気を醸し出している感じだった。

 「おい、シオン…ちょっとリュカに聞いて来いよ。」
 「え…あの状態のリュカさんにボクがですか⁉︎」
 「だって、気にならないか?行く前と帰って来た時の代わりよう…絶対に何かあったぞ。」
 「そりゃあ、何かあったかも知れませんが…それを尋ねるというのも、如何なものでしょうか?」
 「俺の予想ではな…たまにしか会えないリュカよりも、同じ世界で常に寄り添ってくれる男が現れて、リュカは不要だとこっぴどく振られたという線が強いと踏んでいるんだが?」
 
 確かにリュカさんのあの落ち込み様&声を掛けるなと言わんばかりを醸し出すオーラは、フラれたかどうかは別として…彼女さんと何かあった事は間違い無いとは思う。
 探究心が旺盛なボクとしては、非常に気になる内容だけど…果たして聞いても良いのだろうか?
 いや、嫌なら答えてはくれないか。
 あ~でも、気になるなぁ…?

 「それにな…今回の件の事は、妹に知られたらしいからな。今は近くにいないみたいだし…アイツはどうせ、あの時の腹いせに無神経に聞こうとしてくる筈だから、そうなると色々ややこしい事になって、仕舞いには聞けなくなる可能性があるからな。」

 …そう、前回のやり取りの後に、リュカは転移魔法で異世界に渡った…が、その時に話していた通り、魔剣アトランティカを一緒に持って行く事は出来なかった。
 なので地面に転がっている魔剣アトランティカをキッドさんが拾い、マジックバッグに預かる為に仕舞おうとしている所に、偶然リッカさんに見つかってしまい…ボクはリッカさんに激しく攻められる羽目になった。
 あまりもの剣幕に押され、その時にクルシェスラーファがポロっと口をこぼしてしまった為に、リッカさんに内容が全部伝わってしまったという話だった。

 「だったら、キッドさんが行って下さいよ。年功序列では、現在は違くても…転生前は年上なんですから!」
 「聞いて来ても良いが………聞いても内容はお前には話さないぞ。」
 「え?何でですか!」
 「自分は楽をして年上を動かしたんだ、そんな奴に聞く権利は無い。」
 「あ、ズルい!それが大人のする事ですか‼︎」
 「今の俺は、大人じゃ無いからな!現在は、シオンよりも年下だぞ~」

 キッドさんはそう言いながら、手をヒラヒラして離れて行った。
 それを見たボクは、リュカさんに聞きに行こうという決意が湧いたが、仮に聞けても絶対にキッドさんには教えないでやろうと思っていた。

 「リュカさん、一体何があったんですか?…明らかに、異世界に行く前と帰って来た後のリュカさんの様子がおかしいので…」
 「ごめんねシオン、心配を掛けさせてしまったみたいだね。今はまだ話せる状況では無いんだけど、いずれ話す…で納得してくれないかな?」

 リュカさんは申し訳なさそうに頭を下げながら言った。
 リュカさんがこんな顔して謝罪をしてくるという事は、これ以上は本当に聞いて欲しくはないという事なんだろう。
 リュカさん本人がいずれ話すと言っているので、その時を待つ事に……ん?
 ボクは強大な魔力反応がした方向を向くと、そこには怒り顔をしたリッカさんが飛んで来て…やっと見つけたリュカさんに近寄ろうとしていた。

 「これは…キッドさんが先程言った事になるよなぁ?」

 そんな事を言っているとリッカさんは、「やっと見つけたわよ、リュカ兄ぃ!」から始まって、先程クルシェスラーファから聞いた話の内容を質問攻めにした挙句、次に見るからに挑発する様な笑みを浮かべて、「フラれたんでしょ!別れたんでしょ!嫌われちゃったんでしょ!」という言葉を浴びせ続けて行った。
 リュカさんは壁に寄り掛かりながら、目を閉じて聞いている感じなんだけど…?
 それ以外は一切の言い訳も声すら発せようとしない。
 リュカさんが何も言い返さない事を良い事に、好き放題暴言を浴びせていると…?
 何かの言葉が禁句だったのか、リュカさんは目を開けてから睨みながらリッカさんを見た。
 ボクは、こんな恐い表情をするリュカさんは初めて見る。
 同時にリッカさんも恐らく、こんな表情をするリュカさんを見るのは初めてという感じで一瞬黙るが、それも一瞬で…リュカさんの態度が気に入らなかったのか、凄い剣幕で怒鳴り始めた。
 今までの二人のやり取りを見た結果、今回の騒動もリュカさんが折れるという感じで終わると思っていた。
 だけど、今回はどうやら…何かが違うみたいだった。

 「スキル・オートリレイズ…リプロダクション。」
 【Ok.Master!Reproduction All Green…】

 リュカさんが言葉を発すると、女性の様な声がリュカさんの身体から発せられた。
 女性の声……と言えば、間違いでは無いんだけど?
 感情がこもっていない感じの声だった。
 そしてリュカさんは、リッカさんの心臓に当たる位置に手を置いた。

 「オートリレイズをリッカに…譲渡。」
 【Ok.Master!Individual Rikka…Autoriraise Assignment.】
 「へ?」

 また再び、あの感情のこもっていない女性の声が聞こえると…リュカさんの身体が光ってから、その光が腕を伝ってリッカさんの身体に入って行き、その光の先がリッカさんの心臓の位置で消えて行った。
 リッカさんは一体何が起きたのかが分からずに、取り乱している様だった。

 「リュカ兄ぃ、さっきのオートリレイズがどうのって…一体何なのよ‼︎」
 「おめでとうリッカ、君もオートリレイズが使える様になったよ。今後の旅の危険性を考えると、あった方が良いからね。」
 「そりゃあ、あるに越した事はねぇ……でも、何で今なの?」
 「その理由を知りたい?」
 
 リュカさんは魔剣アトランティカを鞘から抜くと、目にも止まらないスピードでリッカさんの心臓を貫いた。
 そしてリッカさんの身体に蹴りを入れて、リッカさんからアトランティカを引き抜くと、リッカさんが意識が途絶える前に理由を言った。

 「人が黙っているからって相変わらず好き放題言っているけど、怒りを表面に出さないだけで、内心はすごく怒っているんだよ。それを調子に乗って…しかも、今回言ったことの内容に関しては、どうしても無視出来ない許せない発言があった。まぁ、死ぬ迄の束の間に良く反省をするんだね。」

 リッカさんが地面に背中から倒れると、リッカさんは荒い呼吸の後に血を吐いて死んだのだった。
 だけど、それもいっ時の時間で…胸の傷が治り、浅い呼吸音が聞こえ出すと…リッカさんが息を吹き返した。
 そして激しく咳き込むと、器官に溜まっていた血を吐くと、呼吸が穏やかに変わって行った。

 「どうやら、無事に成功した様だね。スキル譲渡は初めてだったから、この目で確信が得られるかどうかを確認するまで怪しかったんだけど…」
 「今回が初めてだったの⁉︎もしも、失敗して生き返らなかったら…どうするつもりだったのよ‼︎」
 「その時は、モードダークを使用して蘇生術を施したよ。それが無理だった場合は、カナイ村に転移魔法をして母さんに頼むとかね。」

 リッカさんは、自分の胸元を必死になって確認をしていた。
 だけど、傷らしき傷は無く…貫かれた場所だけ、血の跡が付いているだけだった。

 「あと、おめでとうリッカ…これで僕と一緒で、命がとても軽くなりました。これからは、死んでもすぐに生き返るから…精々言葉使いには気を付けないと、僕は容赦無くリッカの胸に剣を突き立てるからね。」

 リュカさんの声は笑って聞こえるのに、目や顔は決して笑っている感じではありませんでした。
 そしてリッカさんも今回の事で懲りたのか、二度とリュカさんに歯向かうような真似は………?

 「そういえば、シオンもキッドと僕に何があったのかが気になっていたみたいだね?いずれ話す…という言葉を待てずに、それでも聞き出そうとするならば……オートリレイズのスキルをシオンにも譲渡してあげようか?」
 「それは、どういう…?」
 「僕と一緒で、命がとても軽くなるっていう事だよ。だけど、僕はシオンの事は親友だと思っているから…僕にシオンの命を奪わせるような真似をさせないでね、すぐに生き返るからと言って…」

 リュカさんが小さい笑みをボクに向けると、ボクの身体は全身に冷たい物が駆け巡りました。
 時が来るまで…あの事は聞くな!
 ボクには、リュカさんの無言の圧力がそう語っていると感じました。

 「約束します!いずれリュカさんが話してくれるまで、話題には一切出さないようにします。その旨をキッドさんにもお伝えしておきます‼︎」
 
 リュカさんは無言で頷くと、その場を後にした。
 そして大木の根元に座り、背もたれしながら寄り掛かっていた。
 そしてボクはというと…?
 探究心の旺盛でもあるボクでも、あそこまで気押されては、それ以上を聞く気にはなれませんでした。
 その旨をキッドさんにも報告したのですが、キッドさんは軽く頷いただけでした。
 初めから分かっていたような感じで…。
 何だか、とんでも無く疲れました。
 いずれ話す…と言っている位ですから、その時を気長に待ちましょう。

 でも、気長に待つと思っていたので、かなり長い時を要すると思っていたのですが…?
 それは意外にも早く聞ける事になりそうです。
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