魔境育ちの全能冒険者は異世界で好き勝手生きる‼︎ 追い出したクセに戻ってこいだと?そんなの知るか‼︎

アノマロカリス

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最終章

第五話 リュカのもう1つの人格の正体(まさかの…)

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 「実は、皆に大事な話があるんだ。」

 僕はそう言って、リッカとキッドとシオンを集めた。
 3人は恐らく…僕の彼女との事が聞けると思っているみたいだけど、実際はその話では無い。
 …いや、まるっきり関係ないという訳でもないんだよねぇ。

 「何だか…これから話す内容が、僕の彼女の事と思っているかもしれないけど、その話ではない。僕が意識を失った時に現れる、第三者の存在が判明したんだ。」
 「第三者か…そう言えばお前の人格には、かつての魔王サズンデス以外にもう1人いるという話だったな?」
 「そう、その存在なんだけど…ヴェルシアンフォーゲンという彼女がいる世界で、そこを支配している大魔王サバリスという奴と戦っていた時に現れた。しかも、その世界では…その第三者は、意識がハッキリしている状態で。」

 大魔王サバリスに関しては、僕がモードダークを使っても歯が立たない程の存在だった。
 その時の戦いで、僕が疲弊した時に意識を失った瞬間に第三者の意識が目覚め、あと一歩という所まで大魔王サバリスを追い詰める事が出来た。
 …なんだけど、またも時間切れになってしまい、僕はミーナと同じ異世界の知り合いに大魔王サバリスのトドメを任して帰って来たのだった。
 そして、このセヴンスガルドに帰って来た後でも、第三者の意識はハッキリとしていたらしく…ダークは、その第三者と話したんだけど…?
 まさか、第三者があの人物だったとは、夢にも思わなかった。

 「それで、その第三者というのは誰だったんだ?」
 「ダークの話によると、その第三者というのは…英雄ダン、ダン・スーガーという話らしいんだよ。」
 「「「はぁ~?」」」

 まぁ、そういう反応になるだろうね。
 世間での常識では、英雄ダン・スーガーは…100年前に地球という異世界からこの世界にやって来た人物で、今から20年前に80代半ばで老衰に為にこの世を去ったという話だからだ。
 だけど、この話には少し不可解な点があり…真実はまた違う話らしい。

 「皆は…ダンの書の禁忌の章は読んだよね?大魔王サズンデスとの戦いの少し前の所…」
 「確か、勇者パーティーの賢者の賢斗が錬金術と魔導錬成を用いて、ホムンクルスを創り出したという所だよね?」
 「その話を見た時は驚いたよ。慱君は、異世界で車を作れるという話で驚いていたけど、賢斗君はホムンクルスを創り出したとはね。」
 「そのホムンクルスに英雄ダン・スーガーの魂を移し、元の人格である洲河慱は元の身体に収まった…というのが、ダンの書に書かれていた内容なんだけど…その話には続きがあるらしいんだ。」
 「どんな内容だ?」

 本来、英雄ダン・スーガーのホムンクルスの肉体は、半永久的に活動出来ると言う前提で創り出された…筈だった。
 70年を過ぎた辺りから、ホムンクルスの肉体に所々に不具合が見つかり始める様になった。
 天才と謳われた英雄ダン・スーガーだったが、流石にホムンクルスの肉体の補修をする事は出来ず。
 そして新たなホムンクルスを創り出すことは叶わなかった。
 なので英雄ダン・スーガーは、耐用年数…ホムンクルス体の寿命が来るまで使用し続けて、動かなくなったと同時に死んだと言う事にして、当時の弟子達に世界に向けて発表する様にした。
 それが英雄ダン・スーガーは、享年80代半ばという理由だった。

 「じゃあ、ホムンクルスの肉体に問題無ければ、今も生きていたという事になっていたのか?」
 「そうなるね。そして…英雄ダンの魂なんだけど、魂は無傷のままで…新たなホムンクルス体が完成したら、そこに移す予定だったという話だった。」
 「なるほど、以前にアーシア様の部屋にあったガラスケースに入った人間の様な物が、その代わりという訳だったんですね。」
 「シオンは、かー祖母ちゃんに気に入られていたから…ソレを見せて貰えたんだね。だけど、魔導具師でもあり、父さんに錬金術や魔導錬成を叩き込んだかー祖母ちゃんでも、ホムンクルスを創り出すというのは容易では無いらしく、父さんも奮闘したらしいんだけど、いまだに完成には至らないって。」
 「…となると、賢者の賢斗様の創り出されたホムンクルスって、相当に凄い物だったんですね。」

 …そう、賢者の賢斗が創り出した…とされてはいるが、実は賢者の賢斗と洲河慱との共同開発で出来た物だとされている。
 それ位に、二人の頭脳は飛び抜けていたという話だった。
 賢斗が地球に帰る際にも、一応手記として残してあったのだが…?
 英雄ダンの弟子達であった天才と称されたカーディナルやアーシアでも、そのあまりなの難解さにお手上げの状態という話だった。

 「それで、これから話されるだろうけど…何故に慱君の魂がお前の中にあるんだ?」
 「そうだね、その話をした方が良いかもしれない。僕は過去に…7歳くらいの時だったかな?死んでから半年くらい、意識が覚めない時があったんだよ。」
 「そう言えば…リュカさんが以前に話していましたね。」
 「その時の僕は、もう意識が目覚める事はないのかもしれない…という結論になって、僕の葬儀が取り行われたんだ。」
 「トリシャの蘇生でもダメだったのか?」
 「うん、母さんの蘇生魔法でも僕は生き返られなかったって。」
 「母さんの高確率蘇生術でも生き返らないって…」

 …そう、母さんの蘇生魔法は、高確率で蘇生させる事ができる蘇生魔法。
 もちろん、失敗する場合もあるけど…それでも複数回を実行すれば生き返れる。
 ただ、この時だけはどうしても生き返れる事は出来なかった。

 「それで…ここから先は、ちょっと胸糞悪い話になるんだけど…」
 「胸糞悪い話?」
 「葬儀が終わり、僕の遺体は屋敷の修練場に置かれていた。母さんが、僕がお骨になるまで一緒にいると離れなかったらしい。」
 「まぁ、色々問題があったとしても…我が子を最期までというのは、分かる気がするな。」
 「だけど、そう思わなかった人間が約2名いたの。」
 「これまでの話を考えると、その2名って…カーディナルとアーシアか?」

 僕は無言で頷いた。
 そして、ここから先が胸糞悪い話になる。

 「何年掛けても完成しないホムンクルス計画だったけど、目の前には血縁者の遺体がある。これが赤の他人の遺体なら、使用する事は許される話では無いが、血縁者だったら…」
 「ま、まさか…?」
 「シオンの思っている通り、僕の遺体をホムンクルスの代わりとして、英雄ダンの魂を憑依させようとしたんだよ。猛反対している母さんを無理矢理眠らせてね。」
 「そこまでやるか、あいつらは…」
 「それで、英雄ダンの魂が僕の身体に入る事に成功はした…んだけど、ある問題が起きたんだ。」
 「問題……拒否反応が出たとかか?」
 「違う、その時の英雄ダンが話していたんだけど…僕の意識の奥深くで、まだ僕の意識が目覚めていないだけであるという事だった。」
 
 英雄ダンの肉体がホムンクルスじゃなければダメな理由…?
 それは、他人の魂との共存ができない為に、人の身体ではあってはならないという点だった。
 
 「英雄ダンからその話を聞いた祖母達は、僕の身体から英雄ダンの魂を取り出す為に急いで魂を引き剥がそうとしたんだけど、僕の意識が目覚めてしまい…英雄ダンの魂はそのまま融合……では無いんだけど、共存する事になった。」
 「まぁ、そうなるんだろうな。」
 「ただ、共存しているとは言っても…ダークの様に、任意で話すことは出来なくて…あくまでも僕が意識を失った際に目を覚ますという話だった。」
 「それなら、お前が意識を失っている間は、アトランティカやダークが話をしているんじゃ無いか?」
 「いや、僕の身体の中にいる英雄ダンの意識は、暴走状態で誰からの声も遮断してしまうみたいなんだ。だから、そんな状態だったから…誰も話す事は出来ずに、正体が判明しなかったんだよ。」
 「でも、今回はそれが可能だったんだろ?」
 「そう、ミーナのいる世界…ヴェルシアンフォーゲンは、セヴンスガルドと磁場かマナが違うのか…英雄ダンが暴走状態にならずに活動出来るという話みたいなんだ。」
 「なら、この世界では…お前が気を失うと、暴走した慱君が目覚めるという事なのか?」
 「それが…ヴェルシアンフォーゲンで何かコツを掴んだのか、僕が意識を失っても、暴走状態にはならないみたいなんだけど…」
 「どうした?」
 「僕が意識がある状態では、英雄ダンと話す事が出来ないんだ。僕が意識を失って、英雄ダンが目覚めるという感じで…ダークの様に、頭の中で会話は出来ないみたいなんだ。」

 ダークにこの話を聞かされた時は、物凄いショックを受けた。
 僕は英雄ダンを尊敬してい………いや、尊敬なんてものじゃ無いな、崇拝している。
 僕だけが話す事は出来ずに、他の皆は僕が意識を失っている時に、英雄ダンと会話が出来るんだから。
 なんか、物凄く悔しい。

 「だけど、その…ホムンクルスが完成すれば、慱君の魂をホムンクルスに移せば…お前も会話が出来る様になるんじゃ無いか?」
 「それはそうだけど、とーかー祖母ちゃんですら作れなかった物を、僕なんかが作れるとは思えないんだよね。」
 「なら、一生話すことは出来ないだろうな。素直に諦めるんだな。」
 「ひ、ひどいキッド!僕の気持ちを分かっていて、そんな事を言うなんて…」
 「ホムンクルスですが、そんなに不可能な話なんですか?」
 「シオンの頭脳は、英雄ダンや賢者の賢斗と同じ位の頭脳はある?」
 「う……無理ですね。キッドさんに見せてもらったシルフィンダーでしたっけ?とても、作れる気がしません。」
 「僕は、以前にダンの書を参考にして、ブースタンという乗り物を作った事があるけどね。キッドの話だと、ブースタンは地球ではバイクと呼ばれる部類の乗り物だって…」
 「あ、あれか…あ、なら…シオンとリュカが共同でホムンクルスの研究をしてみたらどうだ?」
 「ボクとリュカさんで…ですか?」
 「リュカは、錬金術や魔導錬成を使えるんだろう?賢斗君が持っていたスキルを…」
 「確かにありますが…」
 「後は、お前が気を失っている間に、慱君からホムンクルスの製法を聞き出して紙に記しておくから、ソレを参考にしてみたらどうだ?」

 確かに、キッドなら英雄ダンと面識があるし…同郷だから、そう言った話も通じるか。
 後は…ホムンクルス製作が創りやすい物なら良いんだけど?

 「…という訳で…だ!」
 「キッド、なんで剣を構えている?」
 「大丈夫だ、峰打ちで攻撃するし…殺したりはしないから。」
 「いや、キッドの魔剣って両刃ですよね⁉︎」
 
 僕が後退りをすると、シオンが闇鎖で縛って来た。
 更には、リッカのホーリーチェーンバインドも重ね掛けされている。
 シオンとリッカは、キッドとアイコンタクトで合図をしているんだけど…?
 いつの間に、そんな仲になったんだろう。

 「ちょ…シオンもリッカも、拘束を解いてくれ!」
 「ボクは、英雄ダンと話をしてみたかったんですよ。」
 「私も、グランマからグランパの話は聞いていたけど、実際に話したことが無いから…」

 その所為か、何かいつもより拘束がキツくて…ディスペルでも解けないのはそういう事か。
 僕だって、話したくても話せないというのに…

 「ダークの話では、お前が死んでしまっては駄目という話だからな。長く気を失う事になるが、死にはしないから安心しろ。ただ…意識が覚めた時に、死ぬほど痛い苦痛が待っているけどな。」
 「それはそれで、死ぬより辛いんですが‼︎」
 「お前の為なんだから、我慢しろ!紅蓮院流剣術・秘技…閻刃蒼龍斬!」

 キッドのあまりにも速すぎる攻撃に対し、僕はなす術もなく気を失い…次に目覚めたのは、あれから4日が過ぎていた。
 目の前に積まれたメモの束を見ると、どうやら無事に話を聞けたみたいだった。
 それとは別に、キッドの嬉しそうな顔や、シオンとリッカの満足そうな顔を見ると、物凄く腹が立った。
 僕も英雄ダンと話をしてみたい…と思って、積まれているメモを読んで見ると…?

 「な、何だこれ…?確かにこれでは、祖母ちゃん達が未だに完成しないのが分かる気がする。」

 全部が全く分からないと言うわけではない。
 所々は理解出来る部分もあるが、それでも半分以上は全くもって難解だった。
 
 果たしてこれって、完成するんだろうか?
 ……………あれ?あの話以外に、キッドにもう1つ聞きたい事があった様な…?
 …何だっけ?
 
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