聖女召喚に巻き込まれたけど、僕は聖者で彼女よりも優れた能力を持っていた。

アノマロカリス

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第二話 なんだか結構な扱いみたいです。

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 …あれからの話をしよう。
 僕は、黒髪イケメンのシュバルツ王子殿下に手を引かれて城の中庭に停まっていた馬車に乗せられた。
 そして現在は、その馬車で移動中なのだが…?
 一向に話しかけられる事はないのが少々困っている。
 まぁ、あの城の中に居て、城の者達が戻って来たら…僕はどうなっていたかを考えると、連れ出してくれた事には感謝をしている。
 だけど、いい加減に説明をしてくれよ。
 僕をどうするつもりなんだ⁉︎

 「先程、聖女様の事をセイカーと呼んでいたけど、聖者様にも名が有らせられますよね?」
 「別に敬語は不要です。 僕はこの世界では…異世界から誘拐された奴隷の様な身分ですからね。 そのまま外に放り出されてもおかしくは…って、名前でしたね。 僕は凱旋寺がいせんじ ひじりと言います。」
 「ガイ…センジー………ヒジリー?」

 …やっぱり、異世界人に日本の名前って発音が難しいんだろうな。
 特に僕と…聖華の苗字も呼び難いしなぁ。

 「僕の名前は、本名では非常に呼び難いので…セインで良いですよ。」
 「では、自分の事もシュヴァとお呼び下さい。」

 この人…シュヴァは一応王子様だよなぁ?
 何でこの人は、僕なんかに敬語で接するんだ?
 あ、異世界人だからかな?

 「それにしても、クレイマンの奴は…セインの存在を知ったら悔しがるだろうな。」
 「クレイマ…あぁ、あのイケすかない金髪碧眼の奴か。 僕は無視されていたみたいでしたけどね…」
 「明らかに、あの女の子…セイカが鑑定水晶に触れた時に聖女と鑑定をされましたが、セインが触れた時の様に強い光を発してはおりませんでした。」

 …確かに、聖華は僕が鑑定水晶に触れた時ほど光らなかったなぁ。
 聖華は、聖女としては選ばれたが…僕の聖者に比べると、格段に性能が低い…という事にならんかなぁ?
 まぁ、別に…聖華がどうなろうと別にいっか。
 聖女と呼ばれて浮かれまくって、僕の存在を無視した奴に…。

 「…んで、この馬車は何処に向かっているんですか?」
 「隣国にある、我が国…マーヴロス城に向かっておるのです。」
 「では、お城に着きましたら…どなたかに魔法の指導をして貰えませんか? ありますよね、この世界に魔法って…」
 「確かにありますが、異世界人は魔法が使えないというのに…良く御存知でしたね。」
 「聖者や聖女の話があり、瘴気云々の話が出ていて浄化という話になれば、その瘴気を祓うのに魔法が関係しているという事は、オタクの知識としては当然ですからねぇ。」
 「オタクの知識?」
 「あ~~~推理したという話です。」
 「そうですか、異世界では推理の事をオタクと言うのですね!」

 ヤベェ…とんでも無い大嘘をこいてしまった。
 まぁ、どうせすぐに忘れてしまうんだから、別にいっか。

 「とりあえず、マーヴロス城に着いたらセインにはゆっくりと寛いで貰ってから…」
 「いやいや、とりあえずは魔法のさわりでも教えて欲しいですね。 あの鑑定水晶の光り方で、僕に力がある事は証明はされた…かも知れませんが、実際に使えるかどうかを確認してみない事には何とも言えませんからね。」
 「何というか…セインは真面目な性格なんだね。」

 あれだけ大袈裟な光を放っておいて、実際には使えないから放り出された…なんていう話は、異世界ラノベの定番の話だ。
 このシュヴァに関しては大丈夫だと思うが、見限られて放り出されたら…この世界で生きて行ける気がしない。

 「自分は、異世界人との話をしてみたかったんだけどね。 異なる世界の文化が気になっていてね…」
 「それは…シュヴァが僕に嫌気を差して城から放り出す…という事がない限り、いつでもお話し致しますよ。 ただ、今は…僕があるべき意味を証明する事が先にしておきたくて…」

 これが、あの憎らしい金髪碧眼だったら…?
 聖華の様な聖女がいるだけで問題は無いだろうが、多分あの手の男は同性を毛嫌いするタイプだろうからな、使えないと分かれば遠慮無しに切りに掛かるだろう。
 なので、使える者だというアピールが必要になって来る。
 僕はそんな事を考えながら、馬車に揺られていた。
 …というのもあるが、車とは違ってガタガタするし、居心地は最悪だったので気持ち悪かったので黙るしか無かった。
 暫くしてからマーヴロス城に到着をしたのだが、僕は降りてから物影で盛大に吐いた。
 
 僕のオタク知識を活用して、馬車を改造しない限り…もう乗りたくも無い!
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