聖女召喚に巻き込まれたけど、僕は聖者で彼女よりも優れた能力を持っていた。

アノマロカリス

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第十三話 今度こそ本当の…?

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 「セイン、今度こそ本当の初任務をお願いしたい…」

 今日、唐突にシュヴァからそんな事を言われた。
 手に持っているおにぎりを食べながら…

 「それは分かったが…何でおにぎりを食べているんだ?」
 「いや、これだけあるのだから…1個くらいは良いかと?」

 前回の初任務で、おにぎりを作って振る舞ったところ…様々な効果が発動する事が判明された。
 もしかしたら、僕が作らなくても…同じ材料なら聖者のしもべに作らせても、同じ効果が得られないかと試してみると、ただの変哲の無いおにぎりになるだけだった。
 どうやら、様々な効果を発動するのは僕が作らないとダメみたいで、今現在では…国民達にも食べさせてあげたいという国王様の頼みで、せっせと拵えて最中だった。

 「あれ…? 7つ減っているな…おい、シュヴァ!」
 「ノアールが、セインに貰ったと言っていたから、それなら自分も…と思って。」
 「僕はノアには、そんな許可を出した覚えはない。」
 
 こんなシンプルな物のどこが気に入ったのか…?
 城中の騎士やメイド達から、お金を払うからおにぎりを…という声が出ていた。
 老執事やメイド長からは、糠漬けの漬け物とお茶を。
 王妃様からは、鮭のおにぎりと油揚げの味噌汁を。
 国王とその子供達からは、ツナマヨと明太子マヨを所望された。
 やはり…子供の味覚は、マヨを欲しているのだろうか。

 「1個や2個なら良いが、一気に7つも持っていく奴があるか! あぁ…もうやる気が起きなくなった。」

 僕はそう言って、おにぎりを作るのをやめた。
 1日にトータルで150個ほど作っているだろうか?
 回復魔法が使えるから、火傷や腱鞘炎にはならないが…余計な茶々が入るとやる気がなくなる。
 まぁ、腐らない限り…おにぎりの特殊効果は無くなる事はない。
 それ以前に、一度食べた事がある人間は…再びその味を求めてくるので、腐る前に喰われている。

 「この1週間で、約1000個近く作っているが…国民って一体何人いるんだよ?」

 マーヴロス王国は、セイファームラート王国に比べたら小国だった。
 だから…あの金髪碧眼のイヤミったらしいクレイマンが、シュヴァに蔑む様な発言をしていたのを思い出した。
 …ただ、例え小国であっても、国民全体が1000人って事はないだろう。
 僕はあと何個作れば良いのだろうか?

 「頑張ってくれセイン、あと5…600個程で大丈夫だ。」
 「おいシュヴァ…しれっと自分が確保する分を入れてないか?」
 「そ…そんな事をする訳無いじゃないか。」
 「どーだかな…お、御苦労様。」

 聖者のしもべが、追加の漬け物や調味料を持って来てくれた。
 しもべ達は、一応魔法人形なのだが、手伝ってくれている以上…感謝は伝えなければ失礼にあたるだろう。
 しもべ達は、これと言った感情は持ち合わせてはいない…が、感謝を伝えるとどこかしら嬉しそうな感じだった。

 「初めて見た時は驚いたけど…ポリポリ、魔法人形って便利な物だな…ズズズ………」
 「沢庵食いながら、お茶を啜るな!」
 「仕方が無いだろう、沢庵もお茶も…この世界には無い物なんだから。」

 沢庵もお茶も、年寄りには人気がある物なので…若い人達には人気が無いと思っていたけど、口寂しい時にふと食べるのは変わらないんだな。
 そんなに僕の邪魔をしたいのなら、僕の好きな激辛のキムチを作って喰わせてやろうかなぁ?
 
 「んで、シュヴァ…話を戻すが、本当の初任務って何の話だ?」
 「ポリポリ……あ、そうだった。 セイファームラート王国との国境近くに、瘴気の発生している場所があると報告が上がって来たんだ。」
 「瘴気か…やっとおにぎり作りから開放されるな。」
 「いや、おにぎりを作り終えたら…で、大丈夫だ。」
 「いやいや…優先順位考えろよ、瘴気が発生しているというのに…おにぎりを作っている場合じゃ無いだろ?」

 あ…まだ小規模だから、すぐに動く必要が無いからか?

 「瘴気の発生源は、国境近くと言っても…セイファームラート王国側の方だから、無理してマーヴロスが出向く必要は無いんだ。 向こうにも聖女様が居るからなぁ…」

 あ、そういう事か!
 だから、おにぎりを作り終えてから…なんていう、ふざけた事が言えるんだな。

 「セインは、聖女様が心配なのかい?」
 「そりゃあ…なぁ。」
 「もしかしてセインは、聖女様に好意を?」
 「いや、それは全く無い…が、幼馴染で気の合う奴だったから、何かあると心配くらいはするだろ?」

 …そう、僕と聖華にはそう言った感情は殆ど無い。
 互いの特殊な趣味を共有しているという仲なだけで、恋愛感情なんかは微塵も感じた事はない。

 「それなら…妹は安心をするな。」
 「ん? 何か言ったか?」
 「いや…ただセイン、緊急性は無いが、一応頭の隅にでも入れておいてくれ。」
 「分かった…って、しれっと焼きおにぎりを持って行くな‼︎」

 この数日後に、国境近くの瘴気があり得ないほどに膨らんだという報告を受けることになり、僕達は出動する事になるんだけど…?
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