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1巻
1-1
しおりを挟むプロローグ
巷には『真実の愛』と言われるものがある。
初出は、世に流通しているベストセラー。
とあるパーティーに出席した男性は、政略的に婚約させられた敵役の女性ではなく、愛する別の女性をエスコートする。
そして、みんなの前で婚約者にこう告げるのだ。
『僕は真実の愛に目覚めた!』
これで感動する人が、世の中には多いと聞くけれど、私にはまったく共感ができなかった。
政略的なものとはいえ、どうして婚約者を放っておくのか。婚約者の気持ちは?
仮に婚約破棄をするにしても、ものごとには順序というものがある。
みんなの前で婚約破棄を言い渡すのは悪手だ。
婚約者に捨てられた女性の末路は悲惨。彼女は何も悪いことをしていないのに、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。
だから私はみんなが共感する『真実の愛』と言われるものが、よくわからなかった。
どうして私がこんなことを考えているのか――
それには理由がある。
なぜなら、今の私は物語の敵役のように孤独にされ、ひとりで時間が過ぎるのを待っている最中だったからだ。
「ディアナ様、かわいそう……」
「婚約者は何をしているんだ?」
「え? 婚約者がいるっていうのに、ひとりなのか? 信じられない」
私――ディアナの周りでは、みんなが声を潜めて話をしている。
シュミット侯爵家の令嬢として生まれた私は、今年で十八歳になった。
黒色の髪を三つ編みでくくり、縁なしの大きめの眼鏡をかけている私は、みんなから地味で目立たない令嬢と見られているだろう。
聞こえないふりをして、私は視線を前に向ける。
今日は学園のパーティー。
基本的に貴族はこの年頃になると、学園に入学しなければならない。それは王族とて例外ではない。
令嬢たちが男性の誘いを受けてダンスに興じ、楽しい時間を過ごしている様は、とても華やかだった。
今の私みたいにひとりでいることは、よほど周りから人気がなかったり疎まれていたりする人間くらいだろう。
実際、周りを見渡してみても、女性でひとりなのは私だけ。
だからといって、イジめられているわけではない。
パーティー会場にいる男性が誰も私に声をかけてこない理由。
それは、私に正式な婚約者がいるからだ。婚約者がいる人間に声をかけるほど、ここの生徒たちは愚かではない……一部を除いてだけどね。
私の婚約者の名前はフリッツ。
年齢は私と同じ十八歳で、フィンロスク子爵家の長男だ。
ふんわりと優しく包み込むような印象の瞳が特徴的で、貴族らしい品位も兼ね備えている。
そんな彼だけど、いつまで経っても私をエスコートしてくれるどころか、会場に姿すらない。
一体、どこにいるのかしら。
これ以上周囲から好奇の視線にさらされるのは耐えられなかった。私はパーティー会場を出て、フリッツを捜すことにする。
満月が夜空を照らし、会場の中とは違って落ち着いた時間が流れていた。
しばらくフリッツを捜して歩いていると、中庭でひと組の男女が目に入る。
周りが暗いせいで、ふたりが誰なのかわからない。ここにいるってことは、私と同じ学生だと思うんだけど……
男性が女性の肩に手を置き、お互いにじっと見つめ合っていた。ふたりの間にはロマンティックな空気が流れ、そこはまるで聖域のよう。
「愛している」
男性が愛をささやき、そっと口づける。
本来なら、こんなところで足を止めている場合ではない。こういった場面を盗み見することは、あまり褒められた行為ではないことも知っている。
だが、このときの私は嫌な予感がして、目が離せなくなっていった。
――まさか。
私は無意識に息を潜めてコソコソと近づく。
「あ……」
ふたりの顔がはっきりと見えてしまい、思わず声を漏らしてしまう。
その声でようやく気づき、男性の顔がゆっくりとこちらを向いた。
「ディ、ディアナ! どうしてここに!?」
彼――フリッツが私に顔を向ける。
そう、今「愛している」と言って、目の前の女に口づけをしたのは、あろうことか私の婚約者。
「フ、フリッツ……」
失望と怒りでわなわなと震えてしまう。
「ち、違うんです! わたしが悪いんです!」
フリッツに口づけされた女が慌てて、そう主張する。
そこで初めて、私は彼女の正体がわかった。
彼女はリーゼ。
貴族しか入れないはずの学園にとある理由で例外的に平民ながら入学を許された少女である。
ああ、そういうことね。
今まさに浮気の現場を目撃してしまったわけだが、驚きよりも「やっぱり」という感情が浮かんできた。
桃色で艶のある髪は見る者を虜にする。
細身な体格の私と比べて、リーゼは女の子らしい丸みを帯びた体をしている。
ふとした仕草も愛嬌たっぷりで、自分の可愛さを自覚しているタイプだろう。
そういったこともあり、彼女は平民ながら、男性からの人気は高い。
一方、女性は男に色目を振りまくリーゼを「はしたない」と言い、彼女のことを嫌っている者も多かった。
平民であるから仕方がないと思いつつも、私自身も彼女の行動に眉をひそめることはしばしば。あまりいい印象を抱いていない。
倒れてしまいそうになるのをこらえ、私はなるべく冷静になろうと努める。
「わたしが悪い、とは?」
「フリッツ様からの誘いを、どうしても断りきれず……許されないことをやってしまいました」
「ち、違うっ! リーゼ、元はといえば、君から声をかけてきたんじゃないか! ディアナ! これは違うんだ!」
ふたり揃って違う違うなど、それしかしゃべれないんだろうか?
「この際、どちらからというのは問題ではありません。少なくとも、私の目にはフリッツのほうから、リーゼに口づけたように見えたのですが?」
「……!」
何も言い返せないのか、フリッツが口をつぐむ。
やっぱり、私の見間違いじゃなかったみたいね。
悲しかった。フリッツが好きだったから。
しかし私をほったらかしにして、婚約者でもなんでもないリーゼとふたりの時間を過ごす?
しかもこんなところで口づけを?
まだ私だったから良かったものの、ほかの人に見られたらどうなる?
醜聞は瞬く間に広がり、家にも迷惑がかかってしまうじゃない。
これでは百年の恋も冷めるというものだ。
「さようなら。私のことはいいので、あなたはそこの尻軽女と仲良くしてくださいませ」
「そ、そんな……いくらディアナ様でも、尻軽女だなんてひどいです」
しくしくと泣く……真似をするリーゼ。
これ以上ふたりの仲睦まじい姿は見たくなかった。彼らに背を向ける。
「ま、待ってくれ! ディアナ、話し合おう! これには重大な誤解がある!」
重大な誤解って、なんなのよ!
さっき、リーゼとキスしていたことを問いただしても、何も答えが返ってこなかったじゃないの!
どうせここで足を止めても、フリッツの言い訳を聞かされるだけ。
そんなのはもうこりごりだ。
着ているドレスの裾を持ち上げ、私はその場を足早に去った。
第一章 地味で目立たない自分、さようなら
幼い頃から勉強漬けの毎日だった。たまに逃げ出したくなったけれど、これも立派な貴族になるためだと乗り越えてきた。
そのおかげで、胸を張って前に出られる令嬢になれたと思う。
そんな私に十六歳のとき、婚約者ができた。
それがフリッツである。
彼の家柄は私のシュミット侯爵家より格下になるゆえ、最終的に子爵家が侯爵家に頭を下げる形で婚約が成立した。
婚約するまでフリッツとは会ったことがなかったので、最初は愛のない婚約だった。
だが、それでも良かった。
貴族って、そういうものだと思ってたから。
だけど、愛のない婚約を強いてしまった、一見そういうふうに見える婚約からか、フリッツは当初、私に負い目を感じていたようだ。
フリッツは常に私のことを気遣い、不自由にさせないようにと一生懸命頑張ってくれた。
今まであまり女性と接したことがないらしく、デートの際はしどろもどろ。だけど、必死に私をリードしようとするフリッツは可愛かったし、好印象だった。
記念日には、祝いごとを欠かさなかった。誕生日のときに花のブローチをもらったのは、今でも大切に取ってある。
そんな彼のことを、いつしか本気で好きになっていた。
順風満帆な人生。大人になったら彼と結婚し、幸せな家庭を築いていくんだろうなとぼんやりとイメージできた。
雲行きが怪しくなったのは、学園に入学してからだ。
まず、学園に入学する前、フリッツは私にこう言った。
『君は美しい女性だ。きっとほかの男から注目されるだろう。だから……せめて学園にいる間は、目立たない格好をしてくれないかい?』
最初は何を言ってるんだと思ってしまった。
しかし私がほかの男にうつつを抜かさないか、フリッツは心配だったのだろう。
思うところはあったが、これはフリッツも私のことを本気で好きだからに違いない、そう自分に言い聞かせた。
だから私は彼の希望を叶え、なるべく地味な格好をすることにした。
まず、もともと赤色だった髪を黒に染めた。
よく目立つルビーのように赤い髪はお母様譲りで、私の誇りだったけど。
視力は良かったので必要なかったが、わざわざ度が入っていない眼鏡もかけた。
それだけではない。学園内では、極力男性に近づかないようにした。
これはほかの男としゃべっていたら、フリッツが不安がるからだ。
クラスの中心から外れ、いつも教室の片隅で本を読んでいるような令嬢。
私はそれに徹した。
その結果、教室では『地味で目立たない』という評価を受けている……と思う。
また、私とフリッツの関係がおかしくなった理由が、もうひとつある。
それがリーゼの存在である。
学園の貴族たちにとって、平民リーゼの存在は新鮮だった。
リーゼはどうやら学園に入学するまでは――当たり前かもしれないが――まともに貴族としての教育を受けておらず、眉をひそめる場面も多かった。
それでも彼女は持ち前の愛嬌で、男性たちを虜にした。ちょっと失礼なことがあっても、「平民だから」という理由で許されてきた。
一方、彼女には悪い噂がある。
それは女子生徒たちの愛する人を寝取っているというものだ。
貴族の中には家を存続させるため、早くから婚約者を作っている人も多い。そうじゃなくても、ゆくゆくは婚約者へ――という考えから、恋人として付き合っている男女もいる。
ゆえに男女の恋愛は、この学園内において慎重を期すべき事項である。
男女間の仲での解れがあったら、家にまで迷惑をかけてしまうからだ。
しかし平民のリーゼは「知ったことか」と言わんばかりに、たとえ婚約者がいる男相手でも、気軽に話しかけた。
話しかけるだけなら、まだマシだ。
場合によっては、ふたりでデートに出かけるといった、耳を疑うような噂も聞く。
無論、女子生徒たちは婚約者や恋人へ軽率な行動をやめるようにと注意する。
だが、彼らはそれを嫉妬として受け取ったみたい。リーゼとの交流をやめようとしなかった。
中にはそれが原因で婚約破棄にいたった人たちもいるらしい。
いつしかリーゼには『稀代の悪女』という異名が付けられることになった。女子生徒の間のみだけど。
どれだけ彼女たちがリーゼの愚行を訴えても、大半の男子生徒は耳を傾けなかった。男どもは皆、リーゼに心奪われているのである。
こうして男子には評判がよく、女子からは嫌われる典型的な腹黒女の完成ってわけ。
そしてリーゼの毒牙にかかったのは、私の婚約者フリッツとて例外ではない。
フリッツが休み時間にリーゼと親しそうに話している姿を目にしたのは、一度や二度じゃない。
だけど私は彼のことを信じた。
きっと何か用事があったのだろう。
フリッツはほかのバカな男と一緒じゃない……って。
けれど私がぐっと我慢している間に、事態は好転するどころか、さらに悪化していくことになる。
ほかの女子生徒の証言で、フリッツとリーゼがデートに出かけていたことが判明した。
そんなバカな……と思い、フリッツを問いただしたら、本当だったらしい。
私は彼に問いつめた。
『どうしてそんなことをなさるのですか』
『あなたには私という婚約者がいるではないですか』
『リーゼとふたりきりで出かけたら、周りの人からなんと言われると思いますか?』
そんなことを、一気にまくし立てたと思う。
しかしフリッツは少しむっとした表情をして、こう言った。
『彼女とは街まで服を買いにいっただけなんだ。どうやら彼女、制服以外にまともに服を持っていないらしくってね。いつも服の商人を家に呼んでいるから、僕自身も社会勉強になるし』
『そのあとちょっと食事をして帰っただけだ。なんにもないよ? 同級生と一緒に出かけただけなのに、どうしてそんなことを言われなきゃならない』
極めつけはこうだ。
『もしかして、君はリーゼが平民だからって差別しているのかい? そういう差別意識はよくないと思う。改めるべきだ』
呆れた。
私はリーゼが平民だからと文句を言っているのではない。
婚約者がいるのに、ほかの女とふたりきりで出かける軽率さを責めているわけだ。
これが平民同士の恋愛なら許されたかもしれない。
しかし私たちは貴族だ。
常に周りの目を意識する必要がある。
それなのにそのときは「ちょっと婚約者への束縛が激しかったかな」と私もなぜか反省し、それ以上はぐっとこらえた。
そして今日、私の我慢は限界を超えた。
学園のパーティーで婚約者を放って、リーゼとふたりでいる? しかも口づけ?
あの光景を見て、彼への愛情が一気に冷めた。
今まで私はやりたいことも我慢して、フリッツの要望になるべく応えてきた。
でも、今となっては、すべてがバカバカしい。
目が覚めた気分だ。
もういい。
これからは良い子にするのはやめよう。
フリッツとの婚約は破棄しよう。これ以上、彼と婚約関係を続けられる気がしない。
理由を説明したら、両親もきっと私の味方になってくれる。
フリッツの浮気が原因なんだから、あちらの責任になる。
私の大事な時間を奪ったのだ。そのツケ、必ず払ってもらう。
好きに生きよう。
◆
翌朝。
私は軽く外見を整えてから、居間に向かった。
「あら、ディアナ。おはよう。なんだかすっきりした顔をしているのね? 昨日はパーティーから帰ってきたあと、部屋に閉じこもってたみたいだけど……何かあったの?」
居間ではお母様が話しかけてきた。
お父様は椅子に座って新聞を読んでいるが、私のことが気になるのか、新聞から目線を外してちらちらとこちらの様子を窺ってくる。
「はい。お母様とお父様に話したいことがあります」
「話したいこと?」
「実は……」
学園のパーティーで起こったことを説明し始めた。
お母様は口を挟まず、適度に相槌を打つだけで聞いてくれる。
そしてフリッツがリーゼと口づけを交わした場面まで話したとき、お父様が新聞からバッと顔を上げる。
「な、なんだって!? 婚約者をほったらかしにして、エスコートしないだけでも失礼なのに……こともあろうに、ほかの女性にうつつを抜かしているとは! ふざけているっ!」
そう言って、お父様は呆れたように頭を押さえた。
「……あなたの見間違いじゃないのね」
次に、そう口を開いたのはお母様である。
「はい。現に彼に問いただしても、まともな答えが返ってこなかったので」
「そう……辛かったわね。ディアナ」
お母様はそう言って、私を優しく抱いてくれた。
いつも私のことを温かく見守ってくれるお母様。厳しいときもあるが、それも私のことを大切に思っているから。
お母様のおかげで、私は胸を張って貴族だと言える。
「昨日、ビックリしたの。だってディアナ、すごい顔して帰ってくるんだもの」
「ご心配をおかけしてすみません」
「いいのよ。一番辛いのはディアナだわ。思い出すだけでも辛いでしょうに、私たちにちゃんと話してくれてありがとうね」
お母様が柔らかく微笑む。
「それで……ディアナはこれからどうしたい?」
「婚約破棄だ! そんな浮気者に、我が家の大切な娘を渡すわけにはいかない!」
私が答えるよりも早く、お父様が怒声を上げた。
しかし「ディアナの気持ちを優先してあげて」とお母様がお父様を睨むと、ばつが悪そうに体を縮こまらせた。
ふふっ、お父様ったら。いつも頼りになるのに、お母様には頭が上がらないんだから。
だけどそれもふたりの信頼関係あってのこと。
私も両親みたいな夫婦関係を築きたかったなあ。今となっては遅いけど。
「私もお父様と気持ちは同じです。それにフリッツの不貞行為は今回だけではありません。彼とはこの先、良い関係を続けていけると思えません」
「となると……」
「婚約を破棄させていただきたいと思います」
毅然とそう言い放つと、お母様は力強くうなずいた。
「そうね。私もそれでいいと思うわ。だけどディアナ、大丈夫? フリッツに未練はない?」
「はい。これっぽっちも」
昨日、あの場面を見たときは私もショックだった。
だって、フリッツのことが好きだったもの。
だけど一晩寝て、心のもやもやも完全に消え失せた。
あんな男、きっぱりと捨ててやるわ。
「ディアナがそう言うなら、すぐに婚約破棄の手続きに入ろう。フィンロスクのやつめ、シュミット侯爵家をこけにしおって……」
お父様は新聞紙をグッと握ってわなわなと震えており、青筋が立っている。
もともと、この婚約はフィンロスク子爵家がシュミット侯爵家に頭を下げる形で実現したもの。
爵位が下の貴族が、自分の不貞行為が原因で婚約を台無しにした……その意味をフリッツは理解しているんだろうか?
フィンロスク子爵家の未来は暗い。
「今日が休日で良かったわね。学園に行って、フリッツと顔を合わせなくてもいいんだから」
「そうですね」
お母様の言葉に、私はそう答える。
「お母様、私にひとつ考えがあります」
「考え? 婚約破棄以外に?」
「はい」
うなずき、昨晩考えていたことをお母様に伝える。
するとお母様は明るい顔をして、パンと手を叩いた。
「まあ! それは良いわ! 正直、ディアナに今の格好は似合わないと思っていたのよ」
「私も同じです。今までフリッツの意見を尊重していましたが……もう気にする必要はありません。私は自分の思うがままにしたいと思います」
「うんうん、それが正しいわ。だったら忙しくなるわね。私も手伝わせてもらうわ」
「ありがとうございます」
そう頭を下げる。
ふふふ、みんなの驚く顔が楽しみね。
◆
休日明け。
お父様は「一週間くらいは休んでもいいんじゃないか?」と言ってくれたけれど、それは固辞した。
だって、早くみんなにこの姿を見てもらいたかったんだもの。
校門をくぐった瞬間、周囲からの視線を感じた。
私はそれに気づかないふりをして、教室まで向かう。
教室の扉を開ける。さっきまで騒がしかった教室が一瞬で水を打ったように静かになった。
そして、みんながこそこそ話しだす。
「だ、誰だ……?」
「もしかして転校生?」
「こんな時期に? それに庶民の学校じゃないんだぜ。留学生じゃない限り、転校生なんて滅多にいない」
「じゃあ、あの赤髪のキレイな人は誰よ」
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