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二〇二五年、日本。かつて経済大国と呼ばれた国の土台は、静かに、そして確実に軋み、崩壊の淵にあった。外務省の片隅で無気力な日々を過ごす元エリート官僚・神崎黎。彼は、巨大な建造物が崩れ落ちる、その予兆だけを、ただ一人聞いていた。
そんな中、突如として国家を襲う、未曾有の金融危機。最後の頼みの綱として、日本政府が助けを求めたのは、同盟国であるアメリカ合衆国だった。
来日した、冷徹なエリート“顧問団”。彼らの目的は、救済か、それとも査定か。
国家の運命が値踏みされる冷たい会議室の末席で、神崎は、自らの魂と、この国の未来を天秤にかける、重大な岐路に立たされることになる――。
文字数 4,566
最終更新日 2025.06.21
登録日 2025.06.20
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