お人形令嬢の私はヤンデレ義兄から逃げられない

白黒

文字の大きさ
8 / 20

10歳と12歳(レイモンド)

しおりを挟む
僕はレイモンド・オルガ・ゼルランドール伯爵家の三男坊としてこの世に産まれた…。正確に言えば…僕は本当は父が他所の女の人との間に作った子で仕方なく引き取り育てられた。父は僕を愛して無かった。冷たい視線で僕を見ている。継母は父との間に兄を2人育てていたから僕は兄達と血が繋がっていない。

本当の母親の事を聞いて見たら別の男の人と逃げてしまったって。僕を孤児院に入れない事をありがたく思えって言われた。

兄達や継母から虐められ嫌われる日々でそれが当たり前だった。僕は皆のストレスなどの吐口に過ぎなかった。

使用人達も僕を疎んでいた。口を聞く者はいない。

ご飯は皆の後の残り物で屋根裏部屋でボソボソ食べた。服もお下がりのボロボロとほつれたものだだた。
暗くて埃ぽくて寒いそこが僕の場所だった。
身体も傷が痛く眠れずにいた。

屋根裏部屋でしくしく泣いた。

そんなある日に親が捕まった…。とても悪い事をしたらしい。領民の収めた税金を勝手に使っていたらしい。伯爵位を奪われゼルランドール家は取り潰しになるらしく僕の屋根裏部屋に居られない。兄達とこれから暮らすのか?成人手前の兄達は僕を面倒見る気は無いと思う。

そうしたらある日…ハリスさんと言うおじさんが僕を訪ねてきた。
僕は路地裏で蹲って物乞いをしていたんだ。

「やぁ、うちの子にならないか?レイモンドくん。色々調べさせてもらったよ。酷い扱いを受けてきたんだね」
とふわりと抱きしめられた。瞬間…この生活に終わりが来るんだと思ったら勝手に目から熱い水が次から次へと出てきた。嗚咽を上げ泣きじゃくりみっともない姿だかハリスおじさんは頭を撫でてくれた。

気付いたら馬車の中だった。眠っていたらしい。

「どこへ行くの?」
僕は一瞬どこかへ売られるのかと思った。

「さっきも行ったろ?うちはね?長男がいないんだ。だから君はうちの子になり私の後を継いでもらいたい。私はハリス・ド・カークフィールド侯爵だ」
と言うのでビクリとした。侯爵様だったなんて!
僕!大変な失礼を!?
と思っていたけど

「怖がらないでいいよ、レイモンド…。うちの子になってくれるかな?そうしたら妹ができるよ」

「いもうと…」
僕は義妹ができる…。そしてまたそこで虐められて屋根裏部屋に押し込まれ食事も粗末な残り物でボロボロな服で皆から嫌われて鞭で打たれて…
そんな日々がまた来るのだろう…。

僕は怖かった。ただ怖い。
そして馬車に揺られ眠りに落ちた。


気付いたら僕は綺麗な部屋のベッドに寝ていた。服も清潔で綺麗なもので身体もいつの間に拭かれたのか綺麗になっていた。魔法か何かと思ったけどこんな綺麗なベッドにいたら怒られると急いで降りて床に座った。

そうしたら使用人が来て

「まぁ!何をしているのですか?そんな床に…」

「ひっ!ごめんなさい!!床に座ってすみません!」
と謝ったら

「ええ?」
とキョトンとされた。
どうしよう打たれるのかな?

「どうしたんだアメリ。おや?目が覚めたかいレイモンド…。なら丁度いい、君の妹になる子を紹介しようと思う…おいで」
と手を出してきた。掴んでいいかわからない。
だから服の端を持った。

廊下も広く調度品はたくさんある。
ある部屋の前で止まり

「ここだよ。大丈夫だからね」
と優しく言われた。

そして僕は部屋の中にいたとても綺麗なお人形のような女の子に目を奪われた。
僕と同じような黒髪に蒼の瞳だけど所作が綺麗で綺麗な声にただ驚いた。

可愛い…。
こんな綺麗な子が僕の妹になるの?
どうしよう、胸が熱い。震える。僕はお人形に心を奪われた。妹に対する気持ちなど持てなかった。

だって僕は初めてこの子に嫌われたく無いと思ったんだもの。嫌われるのは当たり前だと言うのに。

ハリスおじさんは

「レイモンド…怖がらなくていいよ?ここには君を虐めるものはもう何もないのだからね?」
と言ってくれた。アリスと言う女の子も優しい目つきをしていた。

夕食の席ではとても美味しそうな大きなお肉がお皿に用意された。え、これ…僕のぶん?
僕が一人で食べていいの?思わず喉がゴクリとした。

そして

「さぁ、食べていいんだよ?」
と言われたが僕は主人より先に食べたらいけないものだと思っていた。するとアリスが

「…いただきますわ」
と食べ始めた。僕はそれを見た後で恐る恐る震える手でカタカタフォークを使い口に運んだ。とても美味しい味がした。今まで食べてた残り物と全然違う…。
一口食べて二人が食べるのを待っていると

「レイモンド…自由に好きな時に食べていいんだよ?私達を待たなくても…」
と言われた。僕はとんでもないと首を振った。
しかし…アリスは

「レイモンドお義兄さま…。明日一緒に遊びましょう!?この家に来たばかりだからいろいろ侯爵家を案内してあげるますわ!」
と言うので僕は信じられないと思い頭を下げた。
ハリスおじさんは苦い顔をして笑っていた。

僕はこの家の子になったのか?
綺麗な部屋で考えた。美味しい料理、とても綺麗なお人形みたいな女の子…優しいお義父様…。
嘘だ、僕は今夢を見ているの?

すると使用人がノックしてから

「坊っちゃま…お風呂が用意できましたよ?綺麗に洗って着替えましょう」
と言ってきたので青ざめた。
身体中の痣や傷跡を見られる!!?
無理だと泣き逃げ出そうとした。

「やだ!やだぁ!来ないで!来ないで!一人でやります!一人でやりますから!!お願いやだぁ!」
と喚いているといつのまにかそこにアリスがいた。

僕はアリスにお風呂に入るよう言われ一人で出来るからと身体の痣を隠すようにお風呂場へ続く脱衣所に逃げた。
バスタブにはお湯が張っていたけど入らなかった。汚したら怒られる!ささっとシャワーを浴びて直ぐに着替えて戻るとアリスに早過ぎると驚かれた。

ベッドで寝ていいと言われたけどあんな豪華なベッドに寝ていいのかな?と惑い断るとアリスは持っていたクマのぬいぐるみを僕になんとプレゼントしてくれたのだ。

信じられない!僕がプレゼントを貰うなんて!!初めてだ…。
そしてアリスは僕の頰にお休みのキスをくれた。僕は驚いてビクッとした。顔が熱い。
胸もドキドキしてしまう。

僕はアリスが行って一人になると身悶えた。
初めてキスをされた。頰に。
クマのぬいぐるみからアリスの匂いがした。

「アリス……」
僕はこの感情をまだ知らなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~

白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。 国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。 幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。 いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。 これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

最高魔導師の重すぎる愛の結末

甘寧
恋愛
私、ステフィ・フェルスターの仕事は街の中央にある魔術協会の事務員。 いつもの様に出勤すると、私の席がなかった。 呆然とする私に上司であるジンドルフに尋ねると私は昇進し自分の直属の部下になったと言う。 このジンドルフと言う男は、結婚したい男不動のNO.1。 銀色の長髪を後ろに縛り、黒のローブを纏ったその男は微笑むだけで女性を虜にするほど色気がある。 ジンドルフに会いたいが為に、用もないのに魔術協会に来る女性多数。 でも、皆は気づいて無いみたいだけど、あの男、なんか闇を秘めている気がする…… その感は残念ならが当たることになる。 何十年にも渡りストーカーしていた最高魔導師と捕まってしまった可哀想な部下のお話。

脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。

石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。 ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。 そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。 真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)

透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。 有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。 「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」 そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて―― しかも、彼との“政略結婚”が目前!? 婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。 “報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない

斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。 襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……! この人本当に旦那さま? って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

処理中です...