【完結】まずは結婚からで。〜出会って0日、夫夫はじめました〜

小門内田

文字の大きさ
31 / 72
第ニ章

day.31

しおりを挟む
そこから俺達は、浩二と俺とでがんばってスマホで予約したアトラクションに乗ったり、空いてる時間に別のアトラクションに並んだり、浩二による見所ワンポイント講座を聞きながら園内を散策したりした。

「ジェットコースター、やべぇ!!すっげぇ楽しい!これ何回でも乗れるな!」

「だろ~!これは人気なんだぜ。」

初めての感覚に、テンションが上がったまま、るんるんで歩いていると、浩二が突然ピタッと足を止めた。

「浩二?」

「そういや、もうすぐパレードの時間なんだけどさ、純也はどうしたい?因みに、俺はパレード見たい派。」

俺はきっと、パレードを見ても、キャラがあんまりわかんねぇから、楽しめないかもしれない……。

みんなが見たいなら仕方ねぇけど、一応主張だけしてみよ。

「あ~、俺はパレードより、まだアトラクション乗りたいかも。」

どうする?と隣りにいる冬悟をちらっと見ると、どちらでも構わんと返ってきた。

「私はパレードが見たいですわ。」

その瞬間、はっと閃いた。
これは、浩二と小百合さんを仲良くさせるいい機会かも!
そう思った俺は、ある提案をする。

「じゃあさ、俺と冬悟でまだ周ってくるから、浩二と小百合さんでパレード見てきなよ!」

えっ!?という顔をした浩二に、小さなガッツポーズで、がんばれ!と伝える。
すると、浩二は一瞬わたわたしたが、腹を括ったように、小さくコクッと頷いた。

「お、おっけー!一旦別れて、後で合流しようぜ!」

そして、ささっと4人のグループLINNEを作成する。

「何かあったらここで連絡な!じゃあ、また後で!冬悟行こうぜ!」

ふうっ、俺、いい仕事した。

にこにこしながら、2人と別れた俺と冬悟は、別のアトラクションを目指して歩いていた。

その途中で、ふとチュロスに目が留まり、ピタッと足を止める。
そして、冬悟の方を振り向き、そのワゴンを指差した。

「なぁ、あれ食わねぇ?」

「食いたいなら、買ってこい。」

すぐにいいと言ってもらえ、やった!と買いに走り、チュロス1本と隣で売ってた肉まんを手に持って、冬悟の元に戻る。

「はい、これ冬悟のな!」

ニカッと笑って、甘い物が苦手な冬悟には、肉まんの方を差し出す。

「…あぁ。」

それを俺の手から受け取った冬悟と一緒に、一口噛じる。

「これ、サクもちで甘くて美味いっ!」

「…よかったな。」

チュロスを食べながら、ふと周りを見渡してみると、あちこちにカップルがいて、みんな仲良さ気に手を繋いで歩いている。

俺も、冬悟と手を繋ぎたいな。

よく考えてみれば、冬悟と手を繋いで歩いたことなんてない。
この前の諏訪家騒動の時は、不可抗力だったし、そもそも、コイツと手を繋ぎたいなんて思う日がくること自体、いまだに嘘みたいだ。

じーっと冬悟の手を見つめ、そっと手を伸ばそうとする。
だけど、いざ繋ごうとすると、緊張から手は震え、指先が冷たくなっていった。

手を繋ぐことって、こんなにハードル高ぇんだ!

それに、もう一度周りを見てみると、手を繋いでいるのは、男女カップルだけだった。

あれ?
もしかして、男同士だと変に思われるのか?

いくら男同士で結婚できるようになったからといって、やっぱりそれは少数派で。

……そもそも、男同士で、手とか繋がないのかも。

そんな風に思ってしまった途端、周りの視線が怖くなってしまい、伸ばしかけた手を、すっと下ろした。

「どうした?」

こちらに振り返り、怪訝そうな顔をした冬悟にバレないように、何でもねぇと言って笑う。
だが、そんな俺を見て、軽く目を伏せた冬悟はふうっと息を吐いた。

「純也。」

「何?」

「…お前は俺と一緒なら、何でも楽しめるんじゃなかったのか?」

その言葉にハッとした。

そうだ。
俺は冬悟と楽しむために、今日ここに来たんだ。
誰かに迷惑を掛けているわけでもないのに、自分の気持ちを我慢して楽しくなくなったら、意味がない。

周りの目なんて、クソくらえだ。

「うん、楽しめる!」

……そう自分に言い聞かせてみたものの、今度は勇気が出なかった。

次は、冬悟に振り払われるんじゃないかという恐怖が、心に襲ってきたからだ。

そうだ、冬悟は俺と、手なんて繋ぎたくない筈だ。
俺は、冬悟を困らせたいわけじゃない。
コイツを楽しませたいんだ!

だから、別の楽しみを見つける。

「じゃあさ、あれも食べに行こうぜ!」

「…お前、アトラクションはどうした?目的が食い物巡りに変わってないか?」

冬悟は呆れながらも、俺の行きたいところについてきてくれ、先程指差したホットドッグを買ってくれた。

その後も、冬悟を俺の行きたいところへ連れ回していると、スマホが鳴った。

「浩二からだ。もしもーし?」

「純也ー?今どこいるよ?」

キョロキョロと辺りを見渡し、目印なりそうな物を探す。

「え~っと、何か可愛らしい家?みたいなんがいっぱいあるとこ!」

「すげぇ遠いとこいてるのな。じゃあ、そっちも適当に動いてていいからさ、お互いが近くに来たときに合流しようぜ~!」

「わかった!じゃ、またあとでな!」

スマホを切った後、冬悟にもそのことを伝える。
向こうの2人も仲良くなれていたらいいなと思いつつ、俺達はもう暫く2人で遊び倒すことにした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

嘘つき王と影の騎士

篠雨
BL
「俺の役割は、貴方を守ることだ。……例え、貴方自身からも」 国の平穏を一身に背負い、十二年間「聖王」という偶像を演じ続けてきたセシル。 酷使し続けた心身はすでに限界を迎え、その命の灯火は今にも消えようとしていた。 そんな折、現れたのは異世界からの「転移者」。 代わりを見つけた国は、用済みとなったセシルからすべてを剥奪し、最果ての地へと追放する。 死を待つためだけに辿り着いた冬の山。 絶望に沈むセシルの前に現れたのは、かつて冷徹に王を監視し続けていた近衛騎士団長、アルヴィスだった。 守るべき王も、守るべき国も失ったはずの二人が過ごす、狭い小屋での夜。 無価値になり、壊れかけた自分を、なぜこの男は、そんな瞳で見つめるのか。 なぜ、そんなにも強く、抱きしめるのか。 これは、すべてを失った「聖王」が、一人の男の熱に暴かれ、再生していくまでの物語。

俺の推し♂が路頭に迷っていたので

木野 章
BL
️アフターストーリーは中途半端ですが、本編は完結しております(何処かでまた書き直すつもりです) どこにでも居る冴えない男 左江内 巨輝(さえない おおき)は 地下アイドルグループ『wedge stone』のメンバーである琥珀の熱烈なファンであった。 しかしある日、グループのメンバー数人が大炎上してしまい、その流れで解散となってしまった… 推しを失ってしまった左江内は抜け殻のように日々を過ごしていたのだが…???

地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛

中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。 誰の心にも触れたくない。 無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。 その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。 明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、 偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。 無機質な顔の奥に隠れていたのは、 誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。 気づいてしまったから、もう目を逸らせない。 知りたくなったから、もう引き返せない。 すれ違いと無関心、 優しさと孤独、 微かな笑顔と、隠された心。 これは、 触れれば壊れそうな彼に、 それでも手を伸ばしてしまった、 不器用な男たちの恋のはなし。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華
BL
 高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。  けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。  ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。  けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。  それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。 「大丈夫か?」  涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。

【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗
BL
この世界には、二つの特別な称号を持つ者たちが存在する。 一つは、絶対的な権力を持つ王の称号――ルガル(lugal)。 もう一つは、ルガルと対をなし、その力を補う「番」――ムル(mul)。 ルガルは生まれながらに選ばれし存在。 国家からエリート教育と地位を与えられ、能力に応じて厳格なランク分けが行われる。 最上位のルガルは、政治さえも動かす絶対者だ。 一方で、ムルは生まれた瞬間にはその正体がわからない。 遺伝子検査や学力テストを経て候補が絞られるが、 最終的に「真のムル」かどうかを見極められるのは――ルガルだけ。 ムルが覚醒したとき、同じ場所に「紋章」が現れ、その瞬間から、ルガルとムルの力は共鳴し始める。 ムルの能力はルガルの力を最大限に引き出す。 ゆえにルガルたちは、自らのムルを求め、時には他人のムル候補を奪い合う。 そして、すべての出生データと遺伝情報を管理するのは、 巨大企業イルジオン――国家をも超える存在。 その頂点に立つ社長、一条レイ。 冷徹なルガルの頂点に君臨する彼が「自分のムル」と出会った。

処理中です...