【完結】まずは結婚からで。〜出会って0日、夫夫はじめました〜

小門内田

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第ニ章

day.30

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とうとう待ちに待ったこの日がやって来た。
あれから、いろいろ浩二と決めて、小百合さんと冬悟との日程調整をし、漸くこの日曜日に決まった。

冬悟の車の窓から、そびえ立つ山から落ちていくジェットコースターや、何かのお城の屋根を遠くに見つけ、ワクワクと胸が高鳴る。

「なぁなぁ!冬悟!見えてきたぞ!」

「…そうだな。もう少しで着く。」

「車だと案外近いんスね~。」

後座席に座っている浩二も、窓の外を眺めているようだ。

「それにしても、やっぱ車は快適ッスね~。俺も免許取ろっかな。」

「俺は冬悟に乗せてもらうから、いいや。」

「………。」

浩二と俺がわいわい騒いでいるのをBGMにして、車はどんどん目的地に近づいていく。

そしてとうとう―。

「着いたー!!」

車から降りると、入場ゲートに向かってダッシュした。

「冬悟も浩二も早く来いよ!!」

後ろから歩いて来る2人に、ブンブンと大きく手を振る。

入場ゲート前に辿り着くと、朝早くにも関わらず、沢山の人で賑わっている。
見たことのあるキャラクターを形どった草花や、そもそも大きなエントランスに、目をきらきらと輝かせる。
漸く追いついてきた冬悟と浩二の方に、そのままパッと振り返る。

「なぁ!すっげーんだけど!!ここだけでもテンション上がるな!」

「お前は、朝からずっと上がりっぱなしだろうが。」

「アハハ。想像できるわぁ~。」

そうだ、と俺は鞄からゴソゴソとスマホを取り出した。そして、冬悟の服の裾をクイッと引っ張る。

「…何だ?」

「写真一緒に撮ろ?」

「あまり写真は好きではないんだが。」

お願いと懇願するように見上げると、冬悟は少し迷ったように目をスッと逸らしたが、やがて、はあっと溜息を吐き、身長を合わせるようにして、少しだけ屈んでくれた。

自分からお願いしたクセに、初めての2人の写真にドキドキする。
俺、変じゃないかな。
大丈夫かな。

緊張しながらも、そっと顔を寄せると、すぐ近くにその綺麗な顔がある。
冬悟の方をちらっとも見ることもできず、早々にインカメでカシャと撮影した。

「い、いい感じに撮れた!」

照れたのを隠すように、急いで画面を確認していると、ニヤニヤした浩二が俺の肩をぽんと叩いた。

「あのさ、お熱くてなによりなんだけど、俺もいること忘れんなよ?」

「わ、忘れてねぇよ!!浩二も一緒に撮ろーぜ!」

危ねぇ、一瞬2人の世界にいっちまってた。
それを誤魔化すように、浩二と2人でイェーイと写真を撮っていると、向こうからクスクスという笑い声が聞こえてきた。

「楽しそうですわね。遅くなってしまってごめんなさい。」

「小百合さん!全然大丈夫!俺らが早く着いただけだから!」

待ち合わせ時間ぴったりにやって来た小百合さんは、いつものスカートではなく、珍しくパンツスタイルで現れた。

「…小百合さん、この馬鹿に付き合ってもらってしまったようで、申し訳ない。」

「あら、冬悟さん。お久しぶりですわ。お気になさらないでくださいな。私も久しぶりで楽しみにしておりましたの。」

冬悟と小百合さんが軽く会話をしているのを横目に、浩二にコソッと耳打ちする。

「浩二、あれが小百合さん。」

「………。」

「浩二?」

全く反応の無い浩二の目の前で、おーいと手を振る。
すると、はっ!とした浩二が、急に俺の肩をガシッと掴んだ。

「諏訪さんって、何であんな美人じゃなくてお前を選んだんだ!?」

「いきなり失礼だな!?それに、前話しただろ!?」

「そういや、そうだったな…。」

珍しい浩二のボケに目を丸くしたが、すぐにピーンと閃いてしまった。
今度は俺がニヤニヤする。

「もしかして、タイプ?」

「………どストライクッス。」

恥ずかしそうに、両手で顔を隠した浩二の肩をぽんっと叩き、グッと親指を立てる。

「後で4人のグループLINNE作ってやるよ。これで貸しチャラな。」

そして、そのまま浩二を小百合さんの前に引っ張っていく。

「小百合さん~!コイツが俺の友達の浩二!今日一緒に周るから、よろしくな!」

「中山 浩二です…。今日はよろしくお願いします。」

カチコチに緊張している浩二が物珍しくて、思わず笑いそうになってしまう。

「西園寺 小百合です。本日はどうぞよろしくお願いいたしますわ。」

ニコッと微笑む小百合さんを見て、少し頬を赤く染める浩二に、ニヤニヤが止まらない。

「ん゙ん゙っ。ほれほれ、さっさと入るッスよ~。」

俺のニヤニヤに咳払いをした浩二は、ぽんっと俺と冬悟の肩に手を置いて、そのまま俺らの背中を押していった。
そして、生まれて初めて、ネズミーランドに足を踏み入れる。

「うわぁ~、すっげ~。」

周りの建物や雰囲気によって、まるで自分がおとぎ話の中に入り込んだような感覚になる。

「気に入ったようでなにより。さ、遊び倒すぞー!」

「おー!!」

「…転ぶなよ。」

「ふふっ。元気ですこと。」

こうして、4人でのダブルデートが幕を開けた。
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