【完結】まずは結婚からで。〜出会って0日、夫夫はじめました〜

小門内田

文字の大きさ
48 / 72
第ニ章

day.47(川崎視点)

しおりを挟む
「ない、ない、ないわ!」

純也が失くしたお客様の大事な指輪を、他のお客様にバレないようにして、客席をこっそりと探す。
あのコ、大丈夫かしら。
自分を追い込み過ぎないといいのだけれど。
あのコのためにも、先輩としてアタシが見つけてあげなきゃ。

「おい、川崎、お前一体何してんだ?」

驚きと呆れが混じった声が、背後から聞こえてきた。

「あら、大林。何って、アレを探してるに決まってるじゃない!」

声の主である大林へ振り返り、オホホと笑った後、見てわからない!?と睨みつける。
だが、返ってきたのは、シラケた視線だけだった。

「いや、それはねぇわ。だってよ、観葉植物の中にはさすがにねーんじゃねぇかな。」

客席を隅々まで確認したけれど、それらしい物は見つからなかった。
だから、自分もまさかとは思ったが、念のためと、観葉植物を必要以上に探してしまった。

「やぁねぇ!そんなの、わかってるわよ!一応よ、一応。」

ふぅ、危ない危ない。パニクってるのがバレちゃうわ。
この男にだけは、弱みを見せたくないのよ。

「この部屋は隅々まで見たけど、例の物は落ちてなかったわ。あと、確認できていない場所といえば………お客様の足元だけよ。」

「足元か……厄介だな。」

そう、お客様の足元を確認するなんて、至極難題なこと。
テーブルクロスを1枚1枚捲っていくなんて、できやしない。
ましてや、足元を覗くなんて、絶対に許されない。
さぁ、どうするべきか。
アタシがスケボーにでも乗って、滑り込むしかないのかしら。

考えあぐねていると、隣がスッと動いた気配がした。
それに気付いて、視線を横に向けると、大林が忽然と姿を消していた。

「大林?」

「ちょっと黙ってろよ。お客様にバレたら一環の終わりなんだからな。」

下から声が聞こえ、そちらに目線を落とすと、なんと、大林が床に這いつくばって足元を見ているじゃないの!?

「ちょっ、ちょっと!アナタ、何してるのよ!!」

周囲にバレないよう、コソコソと小声で話しかけるが、大林は真剣に足元を見続けている。

「ちょっと!!大林!?」

「うっせえな、黙れって!…………ッ!…見つけた。」

「なんですって!!??」

スッと立ち上がり、そっと耳打ちされた。

「3番テーブルの下だ。」

「3…番……ですって?」

嘘だと言って欲しかったが、大林はコクッと頷いた。
絶望感が襲ってくる―。

「そのお客様は………依頼者当人じゃない!!どうすんのよ!!??」

「更に残念なことに、女性の椅子の下だ。」

ヒュッと息を呑んだ。
まさかの、絶対にバレてはいけない方の椅子の下―。

「残念も何も、それ終わったも同然じゃない!!」

「万事休すだな……。」

2人で頭を突き合わせて策を練ろうとするも、何も思い浮かばない。
ここまでなの?
諦めそうになったその時―。

「…失礼。あの下の物が取れればいいんですね?」

超イケメン紳士に声をかけられた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛

中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。 誰の心にも触れたくない。 無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。 その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。 明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、 偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。 無機質な顔の奥に隠れていたのは、 誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。 気づいてしまったから、もう目を逸らせない。 知りたくなったから、もう引き返せない。 すれ違いと無関心、 優しさと孤独、 微かな笑顔と、隠された心。 これは、 触れれば壊れそうな彼に、 それでも手を伸ばしてしまった、 不器用な男たちの恋のはなし。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

おっさんにミューズはないだろ!~中年塗師は英国青年に純恋を捧ぐ~

天岸 あおい
BL
英国の若き青年×職人気質のおっさん塗師。 「カツミさん、アナタはワタシのミューズです!」 「おっさんにミューズはないだろ……っ!」 愛などいらぬ!が信条の中年塗師が英国青年と出会って仲を深めていくコメディBL。男前おっさん×伝統工芸×田舎ライフ物語。 第10回BL小説大賞エントリー作品。よろしくお願い致します!

突然現れたアイドルを家に匿うことになりました

雨宮里玖
BL
《あらすじ》 「俺を匿ってくれ」と平凡な日向の前に突然現れた人気アイドル凪沢優貴。そこから凪沢と二人で日向のマンションに暮らすことになる。凪沢は日向に好意を抱いているようで——。 凪沢優貴(20)人気アイドル。 日向影虎(20)平凡。工場作業員。 高埜(21)日向の同僚。 久遠(22)凪沢主演の映画の共演者。

不器用に惹かれる

タッター
BL
月影暖季は人見知りだ。そのせいで高校に入って二年続けて友達作りに失敗した。 といってもまだ二年生になって一ヶ月しか経っていないが、悲観が止まらない。 それは一年まともに誰とも喋らなかったせいで人見知りが悪化したから。また、一年の時に起こったある出来事がダメ押しとなって見事にこじらせたから。 怖い。それでも友達が欲しい……。 どうするどうすると焦っていれば、なぜか苦手な男が声をかけてくるようになった。 文武両道にいつも微笑みを浮かべていて、物腰も声色も優しい見た目も爽やかイケメンな王子様みたいな男、夜宮。クラスは別だ。 一年生の頃、同じクラスだった時にはほとんど喋らず、あの日以降は一言も喋ったことがなかったのにどうして急に二年になってお昼を誘ってくるようになったのか。 それだけじゃない。月影君月影君と月影攻撃が止まない。 にこにことした笑顔になんとか愛想笑いを返し続けるも、どこか夜宮の様子がおかしいことに気づいていく。 そうして夜宮を知れば知るほどーー

転生しても推しが尊い!〜京橋くんとの学園ライフが尊死案件〜オタクでよかった、君に出会えたから

中岡 始
BL
前世の俺は、社畜オタクだった。 唯一の救いは、“黒星騎士団”という漫画のキャラ、レオ様を推すこと。 だがある日突然── 事故で命を落とした俺は、目覚めたら高校生になっていた。 しかも隣の席にいたのは、前世で推してたキャラの激似男子⁉ 「え、レオ様…!? いや、現実!? ちょ、待って尊死するんだけど!?」 これは、転生オタク男子が “リアル推し” と出会ってしまった尊さ特化の学園ラブコメ。 推しに手が届きそうで届かない、心拍数限界突破の日々。 創作と感情の狭間で、「推し」と「恋」の境界がじわじわ崩れていく── 「これはもう、ただの供給じゃない。 俺と“君”の物語として、生きてるんだ」 尊死系BL/オタクあるある満載/文化祭・学園SNS・保健室…青春全部乗せ! 笑って泣ける、“愛”と“推し活”の二重螺旋ラブストーリー、開幕!

処理中です...