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職業 《 勇者 》
42話 カーミラの休日という名のメーシャの修行
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──チャピと出会って1週間。
オークの被害を日毎に聞き焦る気持ちを抑えつつ、メーシャは日夜魔法の修行にはげんでいた。
カーミラが仕事の時は朝と寝る前に付き合ってもらい、昼間は貰った本を読み込んで座学。カーミラが休みの日は朝から夜まで実技訓練だ。
少ない魔力で炎を作って5分維持してみたり、リズミカルに水を放出してみたり、星形や丸型など色んな形の石を作り出したり、ジャンク品の電子機器を充電したり、一定の高さに光の玉を出現させて机を照らしてみたり、その光の玉を闇で包み光の加減を調節したりと、メーシャは7種の属性をまんべんなく練習していった。
全てを使えるようにして戦闘で臨機応変に対応するためなのと、魔法に触れて日が浅く魔法を扱いきれていない今の状態では、中級や上級に飛ばして致命的な暴発に繋がりかねないとの判断だ。
ちなみに魔本には最低でも8~10歳以上から中級魔法、16歳から上級魔法の習得がが望ましいと書いてあった。基本的なものであり例外もあるが、魔力の成長期が上記の少し前であり、その時期は出せる魔力が不安定になりがちなので、慣れているものならともかく新しい魔法を使えば高確率で暴発してしまうのだとか。
16歳ごろにほとんどの人は魔力と生命力、そしてそれの元となるマナを生み出せる量が成長しきり最大になる(ただしモンスターや、一部の才能がある者はこれ以上に成長することもある)。
なので、成長しきって安定し1番暴発しないタイミングで上級魔法を習得するのである。
「──"初級雷魔法"!」
メーシャの詠唱に応え、魔力が電気に変質して正面にある岩を攻撃する。
──バチンッ。
岩の端っこを少し削ると、電気は勢いを失いふわりと消えた。威力は正直に言えば微妙だが、これも細かな制御をするためにはめたチャピの指輪の効果だ。
ここはアレッサンドリーテの騎士団詰め所の近くにある自然公園。自然公園とは言っても主な使用理由は騎士の模擬戦やサバイバル訓練である。
ここには岩場や小規模ながらも鬱蒼とした森、穏やかな平原、砂利やクレーターのできた悪路、沼や川など色々な条件が揃っていて訓練にピッタリなのだ。
「おお! メーシャちゃん、良いよ! 成長してるよ! おめでとう! これで連続80回成功達成だね! あと20回やろう!それが終わったら風精霊がいない状態で100回成功目指そうか!」
「ふもっふ!」
カーミラはフーリを抱きかかえながら飛び跳ねて喜んだ。カーミラの訓練はなかなかのスパルタだ。
余談だが、フーリはのほほ~んとした表情をした半透明のタヌキ型精霊で、高さは40cmほど重さもぬいぐるみレベルとなかなか抱きかかえやすいサイズである。
「くぁ~っ! つ、疲れたー! ──"ゴロ" 、"ゴロ"、"ゴロ"、"ゴロ"!」
疲れたと言いつつもメーシャは連続で魔法を放つ。それにともなって岩もポロポロと表面が崩れていく。
「良い削りっぷりですね! このまま削ってお嬢様の石像でも建てちゃいますか!?」
ヒデヨシはハンカチをレジャーシート代わりにして、ピクニック気分で小さなおにぎりを食べながら観戦していた。
今回選んだ場所は岩場と平原の境目でメーシャはポツンとある岩を目の前に、他のみんなは少しだけ離れて青々とした草っぱに腰をおろしている。
「いや、それはさすがに無理っしょ! 無茶ブリにもほどがあるって! ──"ゴロ"、"ゴロ"、"ゴロ"! ……でも、石像ってちょっと良いかも?」
メーシャはヒデヨシとおしゃべりしながらも魔法を撃つ。
「風が気持ちいいね……。オフといってもいつもは気になって書類整理とか、必要なもの買い出しとか忙しくしちゃうけど、こんな穏やかな休日も良いかも。でも、オーク討伐作戦も近くなってきているし、今日が終わったらこんな日はしばらくお預けかな……。でも、今は楽しい」
カーミラは嬉しい気持ちと切ない気持ちとの板ばさみで気持ちが乱高下していた。
カーミラは騎士団に入って常に駆け抜けてきた。毎日鍛錬は欠かさず、任務前は下準備を入念に行い失敗はドラゴン=ラードロ戦まで一度もなかった。
だからこそ騎士団長の座を手に入れ、騎士内での1対1の戦闘能力も最強といわれ、ピエール王からの信もあつい。
だからこそ、仲間はいても友達も初めてだったし、こんな穏やかな日は子供の頃以来なのだった。
「もっふ?」
「……ドラゴン=ラードロの件が落ち着いたら、ちょっとお暇もらおうかな? 色んなところに遊びに行ってもいいし、美味しいもの食べてもいいしあと…………ふふっ」
カーミラが少し恥ずかしそう笑う。
いつもはキリッとして頼りがいのありそうな金色の猫目も、今日ばかりはお昼寝前の子猫のようだ。
黒のセミロングの髪は落ち着いた色のリボンを使って後ろで結っており、気を許しているのか前髪も上げて小さなツノも見えている。
服装はノースリーブの柔らかな生地のトップスとゆったりとしたスカートで、靴はオシャレなあみあみのサンダルと、お休みもしっかり楽しもうという意思を感じられた。
「よっしゃー!」
「むっふふ!」
どうやらメーシャが雷魔法100回終わったようだ。
「じゃあ一回おやすみだね、フーリ。ありがとう。メーシャちゃん一旦おつかれさま」
「もふふ。むふぁー」
フーリはみんなに挨拶をすると、そよ風のようにふわっと姿を隠した。
「フーリもカーミラちゃんもありがと! ……っし、こっからは自分の(指輪あり)チカラで魔法の練習だし!」
「がんばってくださいお嬢様!」
『まあ、あんだけ練習したんだし精霊の助けが無くても初級魔法くらい余裕っしょ!』
「メーシャちゃんがんばって! 私サンドイッチ作ってきてるから、それが終わったら食べよう!」
「サンドイッチ!? どんなの?」
「タマゴとハムチーズとお魚のフライ」
「おお! 巻きでいくかんね、待っててよ~!」
──そしてこの日を境にメーシャは初級魔法を習得し、来たるキマイラ戦とオーク軍団戦に向けて新技も編み出していくのだった。
オークの被害を日毎に聞き焦る気持ちを抑えつつ、メーシャは日夜魔法の修行にはげんでいた。
カーミラが仕事の時は朝と寝る前に付き合ってもらい、昼間は貰った本を読み込んで座学。カーミラが休みの日は朝から夜まで実技訓練だ。
少ない魔力で炎を作って5分維持してみたり、リズミカルに水を放出してみたり、星形や丸型など色んな形の石を作り出したり、ジャンク品の電子機器を充電したり、一定の高さに光の玉を出現させて机を照らしてみたり、その光の玉を闇で包み光の加減を調節したりと、メーシャは7種の属性をまんべんなく練習していった。
全てを使えるようにして戦闘で臨機応変に対応するためなのと、魔法に触れて日が浅く魔法を扱いきれていない今の状態では、中級や上級に飛ばして致命的な暴発に繋がりかねないとの判断だ。
ちなみに魔本には最低でも8~10歳以上から中級魔法、16歳から上級魔法の習得がが望ましいと書いてあった。基本的なものであり例外もあるが、魔力の成長期が上記の少し前であり、その時期は出せる魔力が不安定になりがちなので、慣れているものならともかく新しい魔法を使えば高確率で暴発してしまうのだとか。
16歳ごろにほとんどの人は魔力と生命力、そしてそれの元となるマナを生み出せる量が成長しきり最大になる(ただしモンスターや、一部の才能がある者はこれ以上に成長することもある)。
なので、成長しきって安定し1番暴発しないタイミングで上級魔法を習得するのである。
「──"初級雷魔法"!」
メーシャの詠唱に応え、魔力が電気に変質して正面にある岩を攻撃する。
──バチンッ。
岩の端っこを少し削ると、電気は勢いを失いふわりと消えた。威力は正直に言えば微妙だが、これも細かな制御をするためにはめたチャピの指輪の効果だ。
ここはアレッサンドリーテの騎士団詰め所の近くにある自然公園。自然公園とは言っても主な使用理由は騎士の模擬戦やサバイバル訓練である。
ここには岩場や小規模ながらも鬱蒼とした森、穏やかな平原、砂利やクレーターのできた悪路、沼や川など色々な条件が揃っていて訓練にピッタリなのだ。
「おお! メーシャちゃん、良いよ! 成長してるよ! おめでとう! これで連続80回成功達成だね! あと20回やろう!それが終わったら風精霊がいない状態で100回成功目指そうか!」
「ふもっふ!」
カーミラはフーリを抱きかかえながら飛び跳ねて喜んだ。カーミラの訓練はなかなかのスパルタだ。
余談だが、フーリはのほほ~んとした表情をした半透明のタヌキ型精霊で、高さは40cmほど重さもぬいぐるみレベルとなかなか抱きかかえやすいサイズである。
「くぁ~っ! つ、疲れたー! ──"ゴロ" 、"ゴロ"、"ゴロ"、"ゴロ"!」
疲れたと言いつつもメーシャは連続で魔法を放つ。それにともなって岩もポロポロと表面が崩れていく。
「良い削りっぷりですね! このまま削ってお嬢様の石像でも建てちゃいますか!?」
ヒデヨシはハンカチをレジャーシート代わりにして、ピクニック気分で小さなおにぎりを食べながら観戦していた。
今回選んだ場所は岩場と平原の境目でメーシャはポツンとある岩を目の前に、他のみんなは少しだけ離れて青々とした草っぱに腰をおろしている。
「いや、それはさすがに無理っしょ! 無茶ブリにもほどがあるって! ──"ゴロ"、"ゴロ"、"ゴロ"! ……でも、石像ってちょっと良いかも?」
メーシャはヒデヨシとおしゃべりしながらも魔法を撃つ。
「風が気持ちいいね……。オフといってもいつもは気になって書類整理とか、必要なもの買い出しとか忙しくしちゃうけど、こんな穏やかな休日も良いかも。でも、オーク討伐作戦も近くなってきているし、今日が終わったらこんな日はしばらくお預けかな……。でも、今は楽しい」
カーミラは嬉しい気持ちと切ない気持ちとの板ばさみで気持ちが乱高下していた。
カーミラは騎士団に入って常に駆け抜けてきた。毎日鍛錬は欠かさず、任務前は下準備を入念に行い失敗はドラゴン=ラードロ戦まで一度もなかった。
だからこそ騎士団長の座を手に入れ、騎士内での1対1の戦闘能力も最強といわれ、ピエール王からの信もあつい。
だからこそ、仲間はいても友達も初めてだったし、こんな穏やかな日は子供の頃以来なのだった。
「もっふ?」
「……ドラゴン=ラードロの件が落ち着いたら、ちょっとお暇もらおうかな? 色んなところに遊びに行ってもいいし、美味しいもの食べてもいいしあと…………ふふっ」
カーミラが少し恥ずかしそう笑う。
いつもはキリッとして頼りがいのありそうな金色の猫目も、今日ばかりはお昼寝前の子猫のようだ。
黒のセミロングの髪は落ち着いた色のリボンを使って後ろで結っており、気を許しているのか前髪も上げて小さなツノも見えている。
服装はノースリーブの柔らかな生地のトップスとゆったりとしたスカートで、靴はオシャレなあみあみのサンダルと、お休みもしっかり楽しもうという意思を感じられた。
「よっしゃー!」
「むっふふ!」
どうやらメーシャが雷魔法100回終わったようだ。
「じゃあ一回おやすみだね、フーリ。ありがとう。メーシャちゃん一旦おつかれさま」
「もふふ。むふぁー」
フーリはみんなに挨拶をすると、そよ風のようにふわっと姿を隠した。
「フーリもカーミラちゃんもありがと! ……っし、こっからは自分の(指輪あり)チカラで魔法の練習だし!」
「がんばってくださいお嬢様!」
『まあ、あんだけ練習したんだし精霊の助けが無くても初級魔法くらい余裕っしょ!』
「メーシャちゃんがんばって! 私サンドイッチ作ってきてるから、それが終わったら食べよう!」
「サンドイッチ!? どんなの?」
「タマゴとハムチーズとお魚のフライ」
「おお! 巻きでいくかんね、待っててよ~!」
──そしてこの日を境にメーシャは初級魔法を習得し、来たるキマイラ戦とオーク軍団戦に向けて新技も編み出していくのだった。
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