54 / 69
職業 《 勇者 》
54話 ハーレムってなんぞ?
しおりを挟む
メーシャはタコの足を譲ってもらい、店長に獲った方を紹介してもらう約束を取り付けた。ただ、今日は忙しいらしく会えるのは明日。それまで自由時間となったので観光、兼たこ焼きっぽい食べ物探しをする事にした。
そして、ワルターの厚意で1番信頼しているという人を呼んでくれたのだった。
「私は"アメリー"。ワルター率いる"ハーレムパーティ"の副リーダーで、魔法使いです。どうぞお見知りおきを」
アメリーは若いダークエルフの女性で、身長は170弱で肌は暗めの茶褐色、瞳は黒く、背中まで伸びた髪は銀色にきらめいていた。
上は紺色のローブで下は黒いタイトな長ズボンに茶色のブーツを履いている。戦闘時には、背中にある紫の宝石がはまっている短い杖を使って戦うのだろう。
「副リーダーのアメリーさんね。あーしは勇者のメーシャだよ、よろしくだし~!」
メーシャは元気よく挨拶をしてアメリーとこころよく握手をした。が、瞬間ふとアメリーの言葉が引っかかった。
「……ハーレムってなんぞ?」
メーシャは思わず武士みたいな口調になってしまう。
ハーレムといえば1人の男性を多くの女性が取り囲む、もしくはその逆の娯楽物語ではよくあるやつである。
「ハーレムはハーレムです」
アメリーはそう言うと、ちらっとワルターの方を見て小さく笑ってペラペラとメーシャに教えてくれた。
「……近接戦闘にも魔法にもこれと言って才能がなく、相手を傷つけることも好まない、むしろ落ちこぼれだった子供の頃のワルターはよく女子とおままごとやお絵描きをして過ごしていました。
そんなワルターは他の男子から『男らしくない』揶揄われたり、仲間はずれにされ孤立していきました。
そこに10年ほど前アレッサンドリーテの現ギルドマスターであるデイビッドさんと偶然出会い、師弟関係を築き、厳しすぎるくらいの修業をこなしていきました。そう、男らしくないと言われたのを気にしていたんです。私はワルターはワルターであれば良いと思いましたが、本人はそれだけでは足りなかった様ですね。
……とある日の修業後、デイビッドさんに相談したワルターは今に繋がる考えのひとつに至りました。
『女の子と遊ぶのが男らしくないんじゃない。女の子に隠れてコソコソしているのが男らしくない』のだと。──"初級地魔法"」
「ちょっ、アメリー! 俺ちゃん動けないんだけど……あ、ごめんって! 口までふさがないで……」
止めようとしたワルターの足元を岩魔法で固めてアメリーはもう少し語ってくれた。
「ただ、男らしいというのは自分らしいのか? そう私が問うと、ワルターは少し困った様でした。
そして数ヶ月後デイビッドさんが離れるという日に、ワルターは自分なりの答えを出してひとつ決心しました」
「なになに?」
「自分を慕ってくれる"プリティーベイベー"を守り抜く。それが漢らしさであり、理想の自分の在り方であると。そしてそのハーレムパーティを率いてビッグな存在になると宣言したのでした。
……ちなみに、プリティーベイベーはデイビッドさんの受け売りです。ハーレムというのも当時ワルターの周りに居たのが女の子だけだったので、そうしようとデイビッドさんと相談して決めた様です。……私は"月光の双翼"が良かったんですが、案を言いに行った時には決まっていました」
アメリーはいまだに心残りなのか、ワルターをジト目で見ながらつぶやいた。
「へぇ~。そのハーレムパーティって10年くらい? 結構ベテランだし数十人規模だって話だけど、初期は何人スタートだったの? やっぱり同じ故郷の初期メンバーの絆って強い?」
メーシャはアメリーと下半身が岩漬けにされたワルターに訊く。
「……ふたりです。初期メンバーはワルターと私のふたりだけです。他の女の子たちはそもそも戦いに興味がなかったので。……最初はワルターも弱いし、ふたりとも13、14くらいの子どもですし、ネーミングのせいで近寄りがたいしで2年くらい仲間に入ってくれる人はゼロでしたよ」
「アメリーめちゃくちゃ赤裸々に語るじゃん……。そう言えば、その頃ギルド名を"月光の双翼"に変えないかってアメリーから何度も提案されたっけ」
「駆け出しとは言え、月光の双翼なら入ってもいいと言ってくださった方が10人以上居ましたからね」
それほどネーミングはギルドにとって大切な要素なようだ。
「まあ、今じゃ入りたいってベイベーたちがいっぱいいるし良いんじゃん? ……って、ゴメン呼び出しだわ!」
ワルターのパルトネルに緊急の連絡が入ったようだ。
「私もいきますか?」
アメリーの表情が引き締まる。どうやら戦いのようだ。
「いや、これは俺ちゃんだけで片付けるからアメリーはメーシャちゃんと楽しんでおいで。俺ちゃんが離れてる間データ整理したり、面接したりメンバーの役割を決めたり、近隣で暴れるモンスターを倒したりでで忙しかったっしょ。俺ちゃんもオーク前にちょいと肩慣らししたいし、任せてよ」
ワルターは片手剣を使い、下半身を固めていた岩の脆い部分を器用に切り刻む。
「……分かりました。では、行ってきます」
アメリーは心配する素振りを見せず、むしろ穏やかな表情で挨拶を口にした。ワルターのことを信頼しているのだろう。
「ほいほい。アメリー行ってらっしゃい。メーシャちゃんも、ヒデヨシちゃんも灼熱ちゃんもトゥルケーゼを楽しんでね」
ワルターはそう言うと踵を返して背中を向け、親指をグッと立ててから敵ちへと走っていった。
「……みんな、あの頼もしい背中に憧れてギルドに入りたいと言ってくれるんですよ」
「ありゃ、漢の背中だもんなぁ」
灼熱さんが頷く。
「それで、どこか行きたいところはありますか?」
アメリーがメーシャたちに尋ねた。
「僕は色んな国の穀物を見てみたいです」
ヒデヨシは穀物が大好きで、特に豆には目がないのだ。
「あーしはたこ焼き……小麦粉の生地を丸く焼いたやつがあれば、それを売ってるお店に行きたいかも。あと、ご当地グルメ的なの。あとはなんか有名な観光スポットとかあればそれも」
たこ焼きっぽいものであってたこ焼きは存在しないので、メーシャは説明を少し工夫した。
「あっしは、武具屋を少々覗ければと。武器や防具は装備しねぇが見るのは好きでね。それに、炎の効果が上がるアクセサリーとかあれば買っときてぇ」
灼熱さんは次の戦を見据えているようだ。
「分かりました。ご期待に添えるかは分かりませんがご案内します」
アメリーはニコリと笑い、ついてくるよう手でジェスチャーをする。
「ふふっ。楽しみだな~」
メーシャが広がる町の景色を見て心を躍らせていると、アメリーがふと思い出したように足を止めて口を開いた。
「……そうだ。ハーレムギルドではありますが、男女の割合は6対4で結構男性も多いんですよ。ちなみに、最近ではゴブリンとその上位種のホブゴブリンも仲間に加わったんです」
「……ハーレムってなんぞ?」
メーシャが困惑してまたも武士っぽい口調になってしまう。
「私もそう思います。月光の双翼ななら変にならずに済んだんですけどね」
アメリーはそう付け加えつつも、楽しそうで少しも不満を感じさせなかった。
きっとそのチグハグ感の面白さやワルターとの仲がそうさせてくれるのだろう。
そして、ワルターの厚意で1番信頼しているという人を呼んでくれたのだった。
「私は"アメリー"。ワルター率いる"ハーレムパーティ"の副リーダーで、魔法使いです。どうぞお見知りおきを」
アメリーは若いダークエルフの女性で、身長は170弱で肌は暗めの茶褐色、瞳は黒く、背中まで伸びた髪は銀色にきらめいていた。
上は紺色のローブで下は黒いタイトな長ズボンに茶色のブーツを履いている。戦闘時には、背中にある紫の宝石がはまっている短い杖を使って戦うのだろう。
「副リーダーのアメリーさんね。あーしは勇者のメーシャだよ、よろしくだし~!」
メーシャは元気よく挨拶をしてアメリーとこころよく握手をした。が、瞬間ふとアメリーの言葉が引っかかった。
「……ハーレムってなんぞ?」
メーシャは思わず武士みたいな口調になってしまう。
ハーレムといえば1人の男性を多くの女性が取り囲む、もしくはその逆の娯楽物語ではよくあるやつである。
「ハーレムはハーレムです」
アメリーはそう言うと、ちらっとワルターの方を見て小さく笑ってペラペラとメーシャに教えてくれた。
「……近接戦闘にも魔法にもこれと言って才能がなく、相手を傷つけることも好まない、むしろ落ちこぼれだった子供の頃のワルターはよく女子とおままごとやお絵描きをして過ごしていました。
そんなワルターは他の男子から『男らしくない』揶揄われたり、仲間はずれにされ孤立していきました。
そこに10年ほど前アレッサンドリーテの現ギルドマスターであるデイビッドさんと偶然出会い、師弟関係を築き、厳しすぎるくらいの修業をこなしていきました。そう、男らしくないと言われたのを気にしていたんです。私はワルターはワルターであれば良いと思いましたが、本人はそれだけでは足りなかった様ですね。
……とある日の修業後、デイビッドさんに相談したワルターは今に繋がる考えのひとつに至りました。
『女の子と遊ぶのが男らしくないんじゃない。女の子に隠れてコソコソしているのが男らしくない』のだと。──"初級地魔法"」
「ちょっ、アメリー! 俺ちゃん動けないんだけど……あ、ごめんって! 口までふさがないで……」
止めようとしたワルターの足元を岩魔法で固めてアメリーはもう少し語ってくれた。
「ただ、男らしいというのは自分らしいのか? そう私が問うと、ワルターは少し困った様でした。
そして数ヶ月後デイビッドさんが離れるという日に、ワルターは自分なりの答えを出してひとつ決心しました」
「なになに?」
「自分を慕ってくれる"プリティーベイベー"を守り抜く。それが漢らしさであり、理想の自分の在り方であると。そしてそのハーレムパーティを率いてビッグな存在になると宣言したのでした。
……ちなみに、プリティーベイベーはデイビッドさんの受け売りです。ハーレムというのも当時ワルターの周りに居たのが女の子だけだったので、そうしようとデイビッドさんと相談して決めた様です。……私は"月光の双翼"が良かったんですが、案を言いに行った時には決まっていました」
アメリーはいまだに心残りなのか、ワルターをジト目で見ながらつぶやいた。
「へぇ~。そのハーレムパーティって10年くらい? 結構ベテランだし数十人規模だって話だけど、初期は何人スタートだったの? やっぱり同じ故郷の初期メンバーの絆って強い?」
メーシャはアメリーと下半身が岩漬けにされたワルターに訊く。
「……ふたりです。初期メンバーはワルターと私のふたりだけです。他の女の子たちはそもそも戦いに興味がなかったので。……最初はワルターも弱いし、ふたりとも13、14くらいの子どもですし、ネーミングのせいで近寄りがたいしで2年くらい仲間に入ってくれる人はゼロでしたよ」
「アメリーめちゃくちゃ赤裸々に語るじゃん……。そう言えば、その頃ギルド名を"月光の双翼"に変えないかってアメリーから何度も提案されたっけ」
「駆け出しとは言え、月光の双翼なら入ってもいいと言ってくださった方が10人以上居ましたからね」
それほどネーミングはギルドにとって大切な要素なようだ。
「まあ、今じゃ入りたいってベイベーたちがいっぱいいるし良いんじゃん? ……って、ゴメン呼び出しだわ!」
ワルターのパルトネルに緊急の連絡が入ったようだ。
「私もいきますか?」
アメリーの表情が引き締まる。どうやら戦いのようだ。
「いや、これは俺ちゃんだけで片付けるからアメリーはメーシャちゃんと楽しんでおいで。俺ちゃんが離れてる間データ整理したり、面接したりメンバーの役割を決めたり、近隣で暴れるモンスターを倒したりでで忙しかったっしょ。俺ちゃんもオーク前にちょいと肩慣らししたいし、任せてよ」
ワルターは片手剣を使い、下半身を固めていた岩の脆い部分を器用に切り刻む。
「……分かりました。では、行ってきます」
アメリーは心配する素振りを見せず、むしろ穏やかな表情で挨拶を口にした。ワルターのことを信頼しているのだろう。
「ほいほい。アメリー行ってらっしゃい。メーシャちゃんも、ヒデヨシちゃんも灼熱ちゃんもトゥルケーゼを楽しんでね」
ワルターはそう言うと踵を返して背中を向け、親指をグッと立ててから敵ちへと走っていった。
「……みんな、あの頼もしい背中に憧れてギルドに入りたいと言ってくれるんですよ」
「ありゃ、漢の背中だもんなぁ」
灼熱さんが頷く。
「それで、どこか行きたいところはありますか?」
アメリーがメーシャたちに尋ねた。
「僕は色んな国の穀物を見てみたいです」
ヒデヨシは穀物が大好きで、特に豆には目がないのだ。
「あーしはたこ焼き……小麦粉の生地を丸く焼いたやつがあれば、それを売ってるお店に行きたいかも。あと、ご当地グルメ的なの。あとはなんか有名な観光スポットとかあればそれも」
たこ焼きっぽいものであってたこ焼きは存在しないので、メーシャは説明を少し工夫した。
「あっしは、武具屋を少々覗ければと。武器や防具は装備しねぇが見るのは好きでね。それに、炎の効果が上がるアクセサリーとかあれば買っときてぇ」
灼熱さんは次の戦を見据えているようだ。
「分かりました。ご期待に添えるかは分かりませんがご案内します」
アメリーはニコリと笑い、ついてくるよう手でジェスチャーをする。
「ふふっ。楽しみだな~」
メーシャが広がる町の景色を見て心を躍らせていると、アメリーがふと思い出したように足を止めて口を開いた。
「……そうだ。ハーレムギルドではありますが、男女の割合は6対4で結構男性も多いんですよ。ちなみに、最近ではゴブリンとその上位種のホブゴブリンも仲間に加わったんです」
「……ハーレムってなんぞ?」
メーシャが困惑してまたも武士っぽい口調になってしまう。
「私もそう思います。月光の双翼ななら変にならずに済んだんですけどね」
アメリーはそう付け加えつつも、楽しそうで少しも不満を感じさせなかった。
きっとそのチグハグ感の面白さやワルターとの仲がそうさせてくれるのだろう。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる