平穏なβ人生の終わりの始まりについて(完結)

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αの中のα ②

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《αのしょうとは、番を守り慈しむこと。京極の血が流れるαには そのαの性が最も強く現れる―――。》

しかしそれが京極の歴史の光の部分だとすれば、闇もまた存在する。
光が強ければ強いほど、闇もまた暗く濃かった。

京極のαが自分の“唯一”を見つけて番契約が結ぶことができれば、そのΩは掌中の珠のように慈しまれ幸福な生涯を送ることができた。

しかし、既に誰かの番であった場合。
それは例外なくΩにとって、いや周りをも巻き込んで悲惨な結果を招いた。
その性が最も強いが故に、唯一の番を奪われた事で理性を失い その獣性が顔を出すのだ。
過去、“αの中のα”によって何度も繰り返された悲劇。

奪われた“唯一”の番を取り戻すために 本来備えていたはずの並外れた自制心をかなぐり捨て、最上位のαとしての力を思うがままに振るう ───。
そこには躊躇も容赦もありはしなかった。
その番を時に恫喝し。 時に陥れ。
“唯一”本人が泣いて嫌がっても その手に収めた。
しかしそうしてまで手に入れたΩは、総じて短命だった。

本来の番と引き離されたΩは、ヒートを起こすたびに その最愛を奪った張本人のαに抱かれる。
当然 Ωは番以外との性交に 心も体も拒絶反応を起こす。
しかし、“唯一”と番うことができない絶望によって解放された京極のαの性は凄まじく、その交わりで“唯一”がどれほど苦しもうと構うことはなかった。
それは まるで獲物を食い散らかすように蹂躙された。

また、番契約を解消させることによって、性交時 Ωの肉体に拒絶反応が起こらなく無ったとしても、ヒートの度に 最愛の番を求める魂と αの種を貪欲に求めるΩの体との乖離に苦しむこととなった。
そうなると 京極のαがどれほど手を尽くしても、Ωはゆっくりと衰弱していき、その命を落としていったのである。

その悲劇を避けるために京極家は対策を練った。
その結果打ち立てられたのが 発情期前のΩを一所ひとところに集め、《京極の花嫁》をいち早く見出す事だった。
それこそが芳聖である。
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