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第一章 First love
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想像以上におおがかりなマラソン大会は、校長先生の長い挨拶から始まった。
続いてPTA会長のあいさつ。
何故か親の姿も多くみんなおそろいのTシャツを着ている。
当然蜜の両親はくるはずがない。こんなことになっているのも知らないだろう。
でも正直、両親がこんなだったら恥ずかしくてずる休みをしたいところだ。
大会は全学年一緒に行われるようだった。
体育の時のタイムが早い人から前に並んでいる。
蜜は当然後ろの方からのスタートだ。太一も一緒だ。あれだけの美声を披露したけど、マラソンは別物なのだろう。
「そも歩いてもゴールできないと思うわ」
「人の走る距離じゃないしね」
うんうんと頷いて同意した。
途中で倒れるイメージしかできない。
でも運動の得意な裕二はもちろん先頭の方で張りきっているのだろう。検討を祈る。
「ではみなさんがんばってね♡よーいスタート!!」
違う意味で張り切ったのかミニスカートのお母さんがキャピっとした声でスタートを告げた。
それを受けて「うおー」と叫んだのはそばにいる父親軍団だ。
生徒以上に激しい盛り上がりを見せている。
湖畔一周のコースは山あり谷ありの起伏に富んだコースだった。
しょっぱなからの上り坂に蜜は泣きそうになりながら脇腹を押さえた。
「い……生きて帰れるかな……」
「お互いに倒れたら支え合おうぜ」
隣の太一もぜいぜいと呼吸が荒くなっている。
元気なのは太一の新規ファンたちで「ぼくたちがいます♡」と支える気満々だ。
「なんか、すごいことになってるね」
「あー……うん、ライブ来てくれればいいんだけどな」
ほぼ歩くのと同じくらいのスピードで2人は並走した。この程度ならば苦しくない。
太一とおしゃべりしながらえっちらおっちらと走っていたら、最初のエイドにたどり着いた。
スポーツドリンクがカップにつがれて置いてある。
それを用意しているのも保護者達らしかった。
「がんばれー」と血管が切れそうな勢いで応援してくれている。
その気力の一割も蜜は持ち合わせていない。なんだか申し訳ないくらいだ。
「ありがとうございます」
立ち止まって飲んでいると「ほらっ! 止まるな! 走れ!!」と血走った目で叫ばれた。ひいっと飛び上がりそうなくらいホラーだった。
「やべえ。こええ」
太一もビビったらしく飲んでいる途中で再び走り始めた。
振動で飲みにくい。
気管に入ったのかごほごほとむせた。
「大丈夫かよ」
「っ、う、うん。ごめん大丈夫…」
とんとんと胸を叩いて落ち着ける。
「つーかさ、蜜、最近ちょっと雰囲気変わったよな」
カップを用意されていたゴミ箱に捨てながら太一が言った。
「そう?」
「ん、なんとなく。柔らかくなったというか。学校に慣れたから?」
「それは……あるかも」
緊張しがちな蜜は慣れるのに時間がかかる。今回は太一や裕二、そして周防みたいな人がたくさん話しかけてくれたからすぐになじむことが出来た。
最初のハードルをクリアさせてくれたことにとても感謝している。
続いてPTA会長のあいさつ。
何故か親の姿も多くみんなおそろいのTシャツを着ている。
当然蜜の両親はくるはずがない。こんなことになっているのも知らないだろう。
でも正直、両親がこんなだったら恥ずかしくてずる休みをしたいところだ。
大会は全学年一緒に行われるようだった。
体育の時のタイムが早い人から前に並んでいる。
蜜は当然後ろの方からのスタートだ。太一も一緒だ。あれだけの美声を披露したけど、マラソンは別物なのだろう。
「そも歩いてもゴールできないと思うわ」
「人の走る距離じゃないしね」
うんうんと頷いて同意した。
途中で倒れるイメージしかできない。
でも運動の得意な裕二はもちろん先頭の方で張りきっているのだろう。検討を祈る。
「ではみなさんがんばってね♡よーいスタート!!」
違う意味で張り切ったのかミニスカートのお母さんがキャピっとした声でスタートを告げた。
それを受けて「うおー」と叫んだのはそばにいる父親軍団だ。
生徒以上に激しい盛り上がりを見せている。
湖畔一周のコースは山あり谷ありの起伏に富んだコースだった。
しょっぱなからの上り坂に蜜は泣きそうになりながら脇腹を押さえた。
「い……生きて帰れるかな……」
「お互いに倒れたら支え合おうぜ」
隣の太一もぜいぜいと呼吸が荒くなっている。
元気なのは太一の新規ファンたちで「ぼくたちがいます♡」と支える気満々だ。
「なんか、すごいことになってるね」
「あー……うん、ライブ来てくれればいいんだけどな」
ほぼ歩くのと同じくらいのスピードで2人は並走した。この程度ならば苦しくない。
太一とおしゃべりしながらえっちらおっちらと走っていたら、最初のエイドにたどり着いた。
スポーツドリンクがカップにつがれて置いてある。
それを用意しているのも保護者達らしかった。
「がんばれー」と血管が切れそうな勢いで応援してくれている。
その気力の一割も蜜は持ち合わせていない。なんだか申し訳ないくらいだ。
「ありがとうございます」
立ち止まって飲んでいると「ほらっ! 止まるな! 走れ!!」と血走った目で叫ばれた。ひいっと飛び上がりそうなくらいホラーだった。
「やべえ。こええ」
太一もビビったらしく飲んでいる途中で再び走り始めた。
振動で飲みにくい。
気管に入ったのかごほごほとむせた。
「大丈夫かよ」
「っ、う、うん。ごめん大丈夫…」
とんとんと胸を叩いて落ち着ける。
「つーかさ、蜜、最近ちょっと雰囲気変わったよな」
カップを用意されていたゴミ箱に捨てながら太一が言った。
「そう?」
「ん、なんとなく。柔らかくなったというか。学校に慣れたから?」
「それは……あるかも」
緊張しがちな蜜は慣れるのに時間がかかる。今回は太一や裕二、そして周防みたいな人がたくさん話しかけてくれたからすぐになじむことが出来た。
最初のハードルをクリアさせてくれたことにとても感謝している。
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