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本編~2ヶ月目~
第36話~引っ越し~
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~新宿・歌舞伎町~
~居酒屋「陽羽南」~
テーブルを元に戻し、お客さんが再び着席し、また再び陽羽南の営業が再開される。
先程までの騒動のお詫びとしてお煮しめの小鉢をサービスで提供して回りながら、僕はチラリとカウンターに座るバンフィ一家を見やった。
母親のミラセルマ・バンフィと、娘のラウラ・バンフィ。アンバスの妻と娘の話は、チェルパにいた頃からよく話を聞かされていた。
妻の美麗さと娘の可愛さを、アンバスはことあるごとに自慢してきたものだが、なるほどその気持ちは分かる。
ミラセルマは僕の目から見ても美しい人だと思うし、ラウラの可愛さは幼さゆえのものばかりではない。
こうして無事に、離れ離れになっていた家族が再会できて、本当に良かったと思うが、しかし。
「……そんな、それじゃ私達はモランド村には帰れないというの?」
「おとーさん、もうあたし、ジョルジャやローランといっしょにあそべないの?」
「……すまねぇ」
ミラセルマがアンバスに縋りつくようにしながら、悲痛な声を上げた。
ラウラも悲しそうにまなじりを下げる。二人の言葉に、アンバスは項垂れるしかなかった。
そう、それは僕達も直面した事実だ。
地球からチェルパに帰れない以上、あちらでの生活を捨てざるを得ない。
それは、知人や友人との別れを意味する。もしかしたら今日のようにいつかは再会できるかもしれないが、もしかしたらの話でしかない。
僕も転移直後はその事実に打ちひしがれて、暫くの間アンバスと一緒に酒に逃げていたものだ。
その過程で日本のアルコールのバリエーションの多さとクオリティの高さに、別の意味で打ちのめされてもいたのだが。
がっくりと肩を落とすミラセルマの前に、澄乃がコトリとお煮しめの小鉢を置いた。
小鉢を見つめるミラセルマに、澄乃が小さく首を傾けながら優しく語り掛ける。
「気持ちは分かるよ、いきなり別の世界に、別の社会に放り込まれてしまったわけだからね。それまでの生活もあったわけだから、戸惑いや混乱もあるのは当然さ。
だが、それでも生きていかなきゃいけないわけだ。そうしないと無事に帰るってことも叶わなくなるからね。
幸い、君達二人にはアンバス君がいるし、住まいについてはうちの会社が保証してやれる。会社が契約している保育園もあるから、ラウラちゃんについても心配することは無いさ」
「ホイクエン……ですか?」
いまいち話の意図が飲み込めなかったらしいミラセルマに、澄乃は頷いて説明を始めた。
この日本という国はとかく生活にお金がかかること。子供を育てるためには両親が二人とも働かないとお金が足りなくなること。親が働いている最中に子供の面倒を見てくれる施設があること。
そのことを知らされたミラセルマは、眉間にしわを寄せつつ考え込み始めた。直面した現実にどう対応するべきか、悩んでいるのだろう。
「まぁ、ミラセルマさんの仕事状況によっては入所が出来ない場合もあるけどね。ラウラちゃん、何歳?」
「ごさい!!」
澄乃の声に、焼き立てふわふわの出汁巻き玉子を頬張っていたラウラが片手を上げた。
それを見てふっと表情を緩めた澄乃が、再びミラセルマに視線を投げる。
「5歳かー、それだとしたらしばらくはミラセルマさんと一緒に家にいてもらって、小学校入学まで待った方がいいかもね。
在宅学習でこの世界についてや日本語について勉強してもらうのがいいかな。
で、住まいについてだけど……アンバス君」
「うん?」
唐突に話を振られ、それまで黙って話を聞いていたアンバスが顔を上げた。
澄乃がピンと指を立てる。
「君が今住んでいるメゾン・リープは単身者向けの寮なんだよね。あの部屋に家族三人はさすがに狭いと思うんだ」
「あー……そうっすね、ベッドも一つしか置けねぇっすから」
澄乃の言葉にアンバスが後頭部をポリポリと掻いた。
確かにメゾン・リープの部屋は澄乃の住む101号室を除いて、いずれも広さ12平方メートル。一人で住むにも小ぢんまりとしているのに、あそこに家族三人で住むのはさすがに無理がある。
「北新宿にマンションタイプのファミリー向け社員寮があるんだ。部屋が空いていないか確認を取ってみるよ。
部屋が決まるまで、ミラセルマさんとラウラちゃんは私の部屋で寝起きしてもらう形にするけど、いいかな?」
その提案に、アンバスはすぐさま頷いた。
澄乃の部屋は彼女の家族が住むことも考えて広く作られている。澄乃の夫は長期出張中との話だし、スペースはあるだろう。寮で食事も取れるから都合がいい。
パスティータがビールのジョッキを運びながらアンバスに声をかける。
「なにー、アンバス引っ越しするのー?」
「おう、まぁそうなるな……あのアパートじゃ家族で住めねぇからな」
「そっかー」
そうあっけらかんと言葉を投げて、パスティータは自分の仕事を再開させる。
その背中を見送りながら、アンバスは小さく言葉を零した。
「……引っ越し、か」
ぽつりと呟いたアンバスに、僕はカウンター越しに声をかける。
「大丈夫か?人手が必要になるなら手伝うけど」
「あぁ大丈夫だ、剣と鎧が嵩張るくらいで、後は服と食器がいくらかあるくらいだからな。一人で運べるよ」
手をひらりと振ったアンバスの姿を見て、僕は小さく息を吐くのだった。
翌日、澄乃から政親に話を持っていったところ、とんとん拍子に新たな住居は決まった。
都合よく北新宿の寮に空きが出たらしく、週末にはそこへ住居を移す手配も済んだ模様。
そしてミラセルマには僕達が入社直後に渡された日本語学習用の教材が渡され、ラウラには絵本が数冊プレゼントされた。
ミラセルマの仕事については日本語と日本での生活に慣れてから探そうという話になったが、どうやらこのままリンクスに雇用されそうな雰囲気である。
かくして、引っ越し当日。
大きな荷物は既にアンバスの手によって運ばれて、家族の最低限の荷物を積み込んだワゴンの運転席から澄乃が顔を出した。
「アンバス君、忘れ物はないよね?まぁ、あってもすぐに届けられるけど」
「大丈夫だよ、店長。それじゃお前ら、職場でな」
「皆さん、お世話になりました」
「おねーちゃんたち、ばいばーい!」
僕達に軽く手を上げたアンバスに続いてミラセルマが頭を深々と下げ、ラウラがその小さな手を大きく振った。
僕達四人は全員、笑顔になりながらバンフィ一家へと声をかける。
「落ち着いたら連絡してくれ、挨拶に行くからさ」
「ラウラちゃん、また一緒に遊びましょうね」
「澄乃や私がいなくなるからって不摂生するんじゃないぞ、アンバス」
「あたしがいないからって泣いちゃだめだよー?」
「ばっ、不摂生しねーし泣いたりもしねーし!パスティータてめぇふざけんな!」
パスティータの軽口に反応したアンバスが掴みかかろうと手を伸ばした。
それをかわして逃げるパスティータ。その様子を見て笑う僕とエティ、ため息をつくシフェール。
こんなやり取りも、引っ越してからはしにくくなるだろうが、時々暇を見ては新たな家に遊びに行こう。僕はそう思うのだった。
「ほら、そろそろ出発するよ!アンバス君も早く乗りな!」
パスティータとじゃれあうアンバスの背に澄乃の声がかかる。
ワゴンに乗り込んでドアをバタンと閉めたアンバスは、その姿が小さくなるまで窓を開けて僕達に手を振り続けていた。
~第37話へ~
~居酒屋「陽羽南」~
テーブルを元に戻し、お客さんが再び着席し、また再び陽羽南の営業が再開される。
先程までの騒動のお詫びとしてお煮しめの小鉢をサービスで提供して回りながら、僕はチラリとカウンターに座るバンフィ一家を見やった。
母親のミラセルマ・バンフィと、娘のラウラ・バンフィ。アンバスの妻と娘の話は、チェルパにいた頃からよく話を聞かされていた。
妻の美麗さと娘の可愛さを、アンバスはことあるごとに自慢してきたものだが、なるほどその気持ちは分かる。
ミラセルマは僕の目から見ても美しい人だと思うし、ラウラの可愛さは幼さゆえのものばかりではない。
こうして無事に、離れ離れになっていた家族が再会できて、本当に良かったと思うが、しかし。
「……そんな、それじゃ私達はモランド村には帰れないというの?」
「おとーさん、もうあたし、ジョルジャやローランといっしょにあそべないの?」
「……すまねぇ」
ミラセルマがアンバスに縋りつくようにしながら、悲痛な声を上げた。
ラウラも悲しそうにまなじりを下げる。二人の言葉に、アンバスは項垂れるしかなかった。
そう、それは僕達も直面した事実だ。
地球からチェルパに帰れない以上、あちらでの生活を捨てざるを得ない。
それは、知人や友人との別れを意味する。もしかしたら今日のようにいつかは再会できるかもしれないが、もしかしたらの話でしかない。
僕も転移直後はその事実に打ちひしがれて、暫くの間アンバスと一緒に酒に逃げていたものだ。
その過程で日本のアルコールのバリエーションの多さとクオリティの高さに、別の意味で打ちのめされてもいたのだが。
がっくりと肩を落とすミラセルマの前に、澄乃がコトリとお煮しめの小鉢を置いた。
小鉢を見つめるミラセルマに、澄乃が小さく首を傾けながら優しく語り掛ける。
「気持ちは分かるよ、いきなり別の世界に、別の社会に放り込まれてしまったわけだからね。それまでの生活もあったわけだから、戸惑いや混乱もあるのは当然さ。
だが、それでも生きていかなきゃいけないわけだ。そうしないと無事に帰るってことも叶わなくなるからね。
幸い、君達二人にはアンバス君がいるし、住まいについてはうちの会社が保証してやれる。会社が契約している保育園もあるから、ラウラちゃんについても心配することは無いさ」
「ホイクエン……ですか?」
いまいち話の意図が飲み込めなかったらしいミラセルマに、澄乃は頷いて説明を始めた。
この日本という国はとかく生活にお金がかかること。子供を育てるためには両親が二人とも働かないとお金が足りなくなること。親が働いている最中に子供の面倒を見てくれる施設があること。
そのことを知らされたミラセルマは、眉間にしわを寄せつつ考え込み始めた。直面した現実にどう対応するべきか、悩んでいるのだろう。
「まぁ、ミラセルマさんの仕事状況によっては入所が出来ない場合もあるけどね。ラウラちゃん、何歳?」
「ごさい!!」
澄乃の声に、焼き立てふわふわの出汁巻き玉子を頬張っていたラウラが片手を上げた。
それを見てふっと表情を緩めた澄乃が、再びミラセルマに視線を投げる。
「5歳かー、それだとしたらしばらくはミラセルマさんと一緒に家にいてもらって、小学校入学まで待った方がいいかもね。
在宅学習でこの世界についてや日本語について勉強してもらうのがいいかな。
で、住まいについてだけど……アンバス君」
「うん?」
唐突に話を振られ、それまで黙って話を聞いていたアンバスが顔を上げた。
澄乃がピンと指を立てる。
「君が今住んでいるメゾン・リープは単身者向けの寮なんだよね。あの部屋に家族三人はさすがに狭いと思うんだ」
「あー……そうっすね、ベッドも一つしか置けねぇっすから」
澄乃の言葉にアンバスが後頭部をポリポリと掻いた。
確かにメゾン・リープの部屋は澄乃の住む101号室を除いて、いずれも広さ12平方メートル。一人で住むにも小ぢんまりとしているのに、あそこに家族三人で住むのはさすがに無理がある。
「北新宿にマンションタイプのファミリー向け社員寮があるんだ。部屋が空いていないか確認を取ってみるよ。
部屋が決まるまで、ミラセルマさんとラウラちゃんは私の部屋で寝起きしてもらう形にするけど、いいかな?」
その提案に、アンバスはすぐさま頷いた。
澄乃の部屋は彼女の家族が住むことも考えて広く作られている。澄乃の夫は長期出張中との話だし、スペースはあるだろう。寮で食事も取れるから都合がいい。
パスティータがビールのジョッキを運びながらアンバスに声をかける。
「なにー、アンバス引っ越しするのー?」
「おう、まぁそうなるな……あのアパートじゃ家族で住めねぇからな」
「そっかー」
そうあっけらかんと言葉を投げて、パスティータは自分の仕事を再開させる。
その背中を見送りながら、アンバスは小さく言葉を零した。
「……引っ越し、か」
ぽつりと呟いたアンバスに、僕はカウンター越しに声をかける。
「大丈夫か?人手が必要になるなら手伝うけど」
「あぁ大丈夫だ、剣と鎧が嵩張るくらいで、後は服と食器がいくらかあるくらいだからな。一人で運べるよ」
手をひらりと振ったアンバスの姿を見て、僕は小さく息を吐くのだった。
翌日、澄乃から政親に話を持っていったところ、とんとん拍子に新たな住居は決まった。
都合よく北新宿の寮に空きが出たらしく、週末にはそこへ住居を移す手配も済んだ模様。
そしてミラセルマには僕達が入社直後に渡された日本語学習用の教材が渡され、ラウラには絵本が数冊プレゼントされた。
ミラセルマの仕事については日本語と日本での生活に慣れてから探そうという話になったが、どうやらこのままリンクスに雇用されそうな雰囲気である。
かくして、引っ越し当日。
大きな荷物は既にアンバスの手によって運ばれて、家族の最低限の荷物を積み込んだワゴンの運転席から澄乃が顔を出した。
「アンバス君、忘れ物はないよね?まぁ、あってもすぐに届けられるけど」
「大丈夫だよ、店長。それじゃお前ら、職場でな」
「皆さん、お世話になりました」
「おねーちゃんたち、ばいばーい!」
僕達に軽く手を上げたアンバスに続いてミラセルマが頭を深々と下げ、ラウラがその小さな手を大きく振った。
僕達四人は全員、笑顔になりながらバンフィ一家へと声をかける。
「落ち着いたら連絡してくれ、挨拶に行くからさ」
「ラウラちゃん、また一緒に遊びましょうね」
「澄乃や私がいなくなるからって不摂生するんじゃないぞ、アンバス」
「あたしがいないからって泣いちゃだめだよー?」
「ばっ、不摂生しねーし泣いたりもしねーし!パスティータてめぇふざけんな!」
パスティータの軽口に反応したアンバスが掴みかかろうと手を伸ばした。
それをかわして逃げるパスティータ。その様子を見て笑う僕とエティ、ため息をつくシフェール。
こんなやり取りも、引っ越してからはしにくくなるだろうが、時々暇を見ては新たな家に遊びに行こう。僕はそう思うのだった。
「ほら、そろそろ出発するよ!アンバス君も早く乗りな!」
パスティータとじゃれあうアンバスの背に澄乃の声がかかる。
ワゴンに乗り込んでドアをバタンと閉めたアンバスは、その姿が小さくなるまで窓を開けて僕達に手を振り続けていた。
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