402 / 422
第2章 いよいよ開幕!――物語は“影”の深層へ!
394
しおりを挟む2026年明けましておめでとうございます。
皆様にとって今年も素敵な1年になりますように。
2026年もご愛読よろしくお願いします。
あんり
――🎍――🎍――🎍――🎍 ――🎍――🎍――🎍――🎍――
(セルジュside)
外の空気が心無しかひんやり感じる。
夜明けの静けさが不気味だ。
そこに、静けさを消し去るように慌ただしい足音が私の元へやってきた。
「セルジュ隊長、んぐっ……ご報告が……」
焦って肩で息をし、早口になった部下。
どうした?何があった?
「なんだ?」
「先程、……マーシュ領入口の門が……開きました。」
「こんな夜更けにか?」
「はい……っ、み、見回りから……報告です。
門から………はぁっ……大量の兵士が……侵入してきています……!」
「第5騎士団が……っ、今、様子を見ています。
奴らは……はぁ……弓矢を構えて狙いを定めています。
こちらが出れば……すぐ打ってくる体勢です……!」
「分かった。お前たち日頃の訓練の成果を今発揮する時だ、いいな。奴らより、私たちがこの土地に詳しいんだ。奴らを囲め。誰一人も私たちの包囲網から逃すな――行けっ!」
「「「「「「はっ」」」」」」
私は報告すべく、騎士団本部へと走る。
ドアの前で深呼吸だ!
トントン!
「第5騎士団長、セルジュです」
「入れ」
中からハンス総括副団長の声がする。
この声は寝起きの声ではない、この夜明け前のこの時間に起きていたという事だ。
「失礼します」
「セルジュ団長!」
セバス様、カイト坊ちゃん?
何をしているんだ?
ハンス様と、セバス様、カイト坊ちゃん。
3人して地図を広げなにやら話しあっていたようだ。
「カイト坊ちゃん、お久しぶりです。」
「うん、どうしたの?」
「はい、見回りの者からの報告によると、マーシュ領の門から大量の兵士が侵入した模様。報告に上がりました。」
「セルジュ達も情報が上がってるなら話が早い」
「ここに来てくれるか?今、その件でカイト坊ちゃんから作戦を聞いているところだ」
ん?作戦?子どもにか?いや、この子は神童。私も認めた逸材。まずは話を聞こうじゃないか?
「はい」
私は拡げられた地図を見る。
「じゃ、もう一度説明するね。ケンブルクの兵士はね、弓を使うの。ボクが襲われた時もそうだった。あと剣も持っていたけど、そんなに強くないと思う。みんなやせ細っていたからね。だから、持久戦はかなり向こうは不利だと思う。」
「ボクの作戦はこうだよ」
トン!
そこには瓶に詰められた灰色の粉があった。
「風の魔法を操れる人はいる?」
「はい、何名かいます」
「これはね、胡椒と言って、本来は料理に使うんだけど、今回これを使おうと思うの。」
「これを、‥ですか?」
料理に使う物を、戦さに使うだと‥‥?
しかも、何に使うんだ?
ま、まさか、人間を料理しようって恐ろしい事を考えているわけじゃ‥ないよな。
「これを風に乗せて、やつらの方に放つの。細かい粉を吸うでしょ?喉が辛みでやられてかなり咳き込むよ、目に入ると痛くて目を開けられないの」
にわか信じられない、こんな粉で何ができる?
「たぶん、初めて見る粉だから予想がつかないよね、だから、少し舐めてみて」
カイト坊ちゃんに促されて、ほんの数粒手のひらで受け止めた。
「1度吸い込むと、呼吸が乱れて、しばらく戦えなくなるの。」
匂いを嗅ぐ。
「――あっ」
カイト坊ちゃんが一声あげると同時に私はその胡椒を吸い込んでしまった。
「うっ、わっ‥‥グェ」
ゲホゲホゲホッ
なんだ、この刺激は、鼻の奥にツンと刺すようなかなりの刺激。
私が咳き込んだはずみで、手にある全ての灰色の粉が宙を舞う。
目にピリピリとした強烈な痛み。
「うがぁ――ぁぁぁ」
「グッ……ッ!目が……!喉………がっ!鼻が……ッ、焼けち……ま……う」
これはたまったもんじゃない。
ほんの数粒でこうなんだ。
あの瓶のまま奴らにぶちまけば、奴らはのたうち回るに違いない。
その後は、
弓矢には盾を。
剣には長剣を。
網を使い、足に引っ掛けてしまう。
大網は投げて絡めとろう。
大網には兵士をほふく前進で近づき足を切りつけて歩けなくしてやる。
その作戦は、エゲツない。
しかし、勝利は見えている。
奴らは、後悔するだろう。
この子は敵に回すと厄介だ。
しかし――
味方である限り勝利はこちら側にある。
「風の魔法は私が引き受けましょう」
私は名乗り出ていた。
勝利しかない。
ふっと、笑みがこぼれた。
346
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
【完結】令嬢憧れの騎士様に結婚を申し込まれました。でも利害一致の契約です。
稲垣桜
恋愛
「君と取引がしたい」
兄の上司である公爵家の嫡男が、私の前に座って開口一番そう告げた。
「取引……ですか?」
「ああ、私と結婚してほしい」
私の耳がおかしくなったのか、それとも幻聴だろうか……
ああ、そうだ。揶揄われているんだ。きっとそうだわ。
* * * * * * * * * * * *
青薔薇の騎士として有名なマクシミリアンから契約結婚を申し込まれた伯爵家令嬢のリディア。
最低限の役目をこなすことで自由な時間を得たリディアは、契約通り自由な生活を謳歌する。
リディアはマクシミリアンが契約結婚を申し出た理由を知っても気にしないと言い、逆にそれがマクシミリアンにとって棘のように胸に刺さり続け、ある夜会に参加してから二人の関係は変わっていく。
※ゆる〜い設定です。
※完結保証。
※エブリスタでは現代テーマの作品を公開してます。興味がある方は覗いてみてください。
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
水神飛鳥の異世界茶会記 ~戦闘力ゼロの茶道家が、神業の【陶芸】と至高の【和菓子】で、野蛮な異世界を「癒やし」で侵略するようです~
月神世一
ファンタジー
「剣を下ろし、靴を脱いでください。……茶が入りましたよ」
猫を助けて死んだ茶道家・水神飛鳥(23歳)。
彼が転生したのは、魔法と闘気が支配する弱肉強食のファンタジー世界だった。
チート能力? 攻撃魔法?
いいえ、彼が手にしたのは「茶道具一式」と「陶芸セット」が出せるスキルだけ。
「私がすべき事は、戦うことではありません。一服の茶を出し、心を整えることです」
ゴブリン相手に正座で茶を勧め、
戦場のど真ん中に「結界(茶室)」を展開して空気を変え、
牢屋にぶち込まれれば、そこを「隠れ家カフェ」にリフォームして看守を餌付けする。
そんな彼の振る舞う、異世界には存在しない「極上の甘味(カステラ・羊羹)」と、魔法よりも美しい「茶器」に、武闘派の獣人女王も、強欲な大商人も、次第に心を(胃袋を)掴まれていき……?
「野暮な振る舞いは許しません」
これは、ブレない茶道家が、殺伐とした異世界を「おもてなし」で平和に変えていく、一期一会の物語。
『まて』をやめました【完結】
かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。
朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。
時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの?
超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌!
恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。
貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。
だから、もう縋って来ないでね。
本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます
※小説になろうさんにも、別名で載せています
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
• 『社交界の華は、影に咲く毒。〜私を捨てた世界、すべてお返しいたします〜』
ヨォコ
ファンタジー
「その黄金の瞳……なんて気持ち悪いの。我が家に化け物は必要ないわ」
名門伯爵家の娘として生まれたエレーナ。しかし、彼女に宿った未知の能力を恐れた継母イザベラは、実父の留守中を狙い、幼い彼女を雪の降る町に捨て去った。
死を覚悟した彼女を拾ったのは、帝国の裏社会を支配する「皇帝の弟」ヴィンセント公爵。
彼はエレーナの力を「至宝」と呼び、彼女を公爵家の実の娘として迎え入れた。
それから数年。
エレーナは、二人の過保護な兄と、五人の精鋭部下に囲まれ、美しくも最強の工作員へと成長していた。
すべてを暴く『黄金の瞳』、すべてを操る『魅了』、そして伝説の師匠たちから授かった至高の淑女教育を武器に。
一方、継母イザベラは父を捨て、さらなる権力を手に入れるため、悪名高い侯爵の妻として社交界の頂点に君臨していた。
「お久しぶりです、お母様。……化け物と呼ばれた私からの、お返しを受け取ってくださいね」
捨てられた少女による、優雅で残酷な復讐劇。
今、その幕が上がる。
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる