407 / 422
第2章 いよいよ開幕!――物語は“影”の深層へ!
399
しおりを挟む
(ケンブルク兵士)
俺たちは勝つことだけを信じてきた。
10年前、俺たちの兄弟が殺られた。
あのイスカダルの第2王子、今のマーシュ領当主、あの“孤高の大魔神”と異名をもつ、憎きあやつにだ。
奴は化け物か?
何十人が同時に切りかかったが、あっさりと殺られちまった。
あの時は命からがら逃げきれたが、あの時の屈辱は忘れたことはない。
今、奴は王都にいるらしい。
だから、今がチャンスだ。
奴はこの10年の間、平和に暮らしていたんだ。あの時の勢いは、もうないだろうよ。
その間に、結婚して子供ができたらしいな。それは、最大の弱みだ。
そこを狙え――我らが王からの厳命。
しかし、しかしだ。
今、俺たちは第2王子の統治しているマーシュ領にいる。
完璧な対策を持って俺たちは攻めている。
――はずだった。
だが、しかし。なんだ?
マーシュ領の門を突破したのはいい。
だけど、俺たちがマーシュ領の騎士たちを囲うはずだったのだが、どうした?
後ろにも前にも、マーシュ領騎士がうじゃうじゃいるじゃないか。
ガン、ガク、キンッ。
俺たちの弓、剣も、全く歯が立たない。
なぜだ!?計画は“完璧”だったはずじゃなかったのか?
キンッ、キンッ、ドサッ、ドサッ。
攻めても、攻めても、奴らはへこたれねぇ。
武器も新品だぞ。今まで戦が無かったはずだ。なんだって、新しい武器を揃えてやがる?
矢を弾く盾だと?聞いたことないぞ。
……いや、聞いてない“はずがない”
なのに、俺たちは何も知らされていない。
お?奴ら急に逃げやがった。
逃がすか!
「おい!奴らが逃げるぞ。追えー!追えー!」
「「「「「「「おーっ!」」」」」」」
なんだ?壁か?
やつら逃げ込む気だな。そうはさせん。
なっ、なんだ?なんだ?
奴らが逃げ込んだ、あの道!
急にみるみるうちに岩が積み上がっている。
な、なんだ?理解が追いつかん。
「お…い…、やつらに、凄い魔法使いがいるのか?……聞いてないぞ」
「俺たちも………聞いてないっす」
「岩なんて登りゃいいんだ。野郎ども、行けーっ!登れ。奴らより先に登れっ」
「壁か?囲い込め。ここで叩き潰すぞ」
「「「「「「おーっ」」」」」」
「うわっ、……臭いっ」
「なんだ?これは…ウンコ?」
「ウンコだと?誰が、いったい」
「奴ら、いつの間にウンコを垂れ流したんだ?」
「おい、まだウンコ垂れてる奴らがいるかもしれん、そいつの尻に矢を突き刺してやれ」
「早く、何してんだ?登れ。早く登るんだー」
「いや、ウンコ触りたくないっ」
「誰だ?ぶっ飛ばされたいのか?気にするな、登れー!」
「そっ、そっ、そんな、馬鹿な命令…っ」
「やれって言ったらやれ!登れって言われたら登るんだっ」
「ひぃ……っ、分かりました」
ズルッ、ズルッ、ズルルッ
「だれも、登れないっす」
「だめです、滑って登れません」
「う、ウンコが、顔に、ついたーっ」
「ウ、ウンコまみれの俺、嫁に嫌われちまうぜ」
「やばいぞ、臭いが染み付いちまうぞっ」
「クソー、クソだけにクソー」
「お前、今、冗談言ってる場合じゃねーぞ」
「登れったって滑って、全然登れねぞ」
俺たちは焦っている、なんだ?思いどおりに行かねーなぁ。
「今だよ、風おこして」
ん?こんな所にガキの声?まさかな。
ん?風?どっからだ?上か?――粉?
「ん。なんだ、この刺激?やばいぞ、喉がやられたーっ、ゴホッ」
「目が痛え、痛てーよ、開けられん」
「うぎゃー、なんだこれは喉が焼けるぞ」
「へっ、へっ、へークションッ!」
くそっ!目が痛い、涙が溢れるぞ。
喉も、鼻の奥も痛すぎる。
なんだ?どんな兵器を隠してあった?
こんなもの、どこに隠してあった?
これも聞いてねー。情報が違いすぎる。
「今だよ、網投下!」
誰だ?なんだ?うわっ。
「「「「うわっ、絡まっちまう」」」」
なんだ?なんだ。俺たちは巨大な蜘蛛の巣に引っかかっちまったぞ、やべぇ。
食われちまうのか?
ジタバタもがくが、俺たちがもがけばもがくほど、網は余計に複雑に絡みつく。
くそっ、身動き取れねぇ…
脳裏に浮かぶ――惨敗!
そんなはずねぇ。もがくが、絡まりすぎて、うごけねぇ。
また、脳裏をかすめる――敗北!
「うぎゃ…」
「痛てーっ」
「ぎゃぁぁぁ…」
「あっ、…足がぁぁぁ…」
足を切られた仲間たちが痛みに騒いでいる。
これが、奴らの戦力。
圧倒的な戦術。
予想だにもしなかった技。
そんな馬鹿なっ!「なっ…!」
もがくが、私もとうとう動けなくなった。
認めたくない!――負けを。
否定するんだ!――まだ終わってなど、いないんだ。
俺たちは勝つことだけを信じてきた。
10年前、俺たちの兄弟が殺られた。
あのイスカダルの第2王子、今のマーシュ領当主、あの“孤高の大魔神”と異名をもつ、憎きあやつにだ。
奴は化け物か?
何十人が同時に切りかかったが、あっさりと殺られちまった。
あの時は命からがら逃げきれたが、あの時の屈辱は忘れたことはない。
今、奴は王都にいるらしい。
だから、今がチャンスだ。
奴はこの10年の間、平和に暮らしていたんだ。あの時の勢いは、もうないだろうよ。
その間に、結婚して子供ができたらしいな。それは、最大の弱みだ。
そこを狙え――我らが王からの厳命。
しかし、しかしだ。
今、俺たちは第2王子の統治しているマーシュ領にいる。
完璧な対策を持って俺たちは攻めている。
――はずだった。
だが、しかし。なんだ?
マーシュ領の門を突破したのはいい。
だけど、俺たちがマーシュ領の騎士たちを囲うはずだったのだが、どうした?
後ろにも前にも、マーシュ領騎士がうじゃうじゃいるじゃないか。
ガン、ガク、キンッ。
俺たちの弓、剣も、全く歯が立たない。
なぜだ!?計画は“完璧”だったはずじゃなかったのか?
キンッ、キンッ、ドサッ、ドサッ。
攻めても、攻めても、奴らはへこたれねぇ。
武器も新品だぞ。今まで戦が無かったはずだ。なんだって、新しい武器を揃えてやがる?
矢を弾く盾だと?聞いたことないぞ。
……いや、聞いてない“はずがない”
なのに、俺たちは何も知らされていない。
お?奴ら急に逃げやがった。
逃がすか!
「おい!奴らが逃げるぞ。追えー!追えー!」
「「「「「「「おーっ!」」」」」」」
なんだ?壁か?
やつら逃げ込む気だな。そうはさせん。
なっ、なんだ?なんだ?
奴らが逃げ込んだ、あの道!
急にみるみるうちに岩が積み上がっている。
な、なんだ?理解が追いつかん。
「お…い…、やつらに、凄い魔法使いがいるのか?……聞いてないぞ」
「俺たちも………聞いてないっす」
「岩なんて登りゃいいんだ。野郎ども、行けーっ!登れ。奴らより先に登れっ」
「壁か?囲い込め。ここで叩き潰すぞ」
「「「「「「おーっ」」」」」」
「うわっ、……臭いっ」
「なんだ?これは…ウンコ?」
「ウンコだと?誰が、いったい」
「奴ら、いつの間にウンコを垂れ流したんだ?」
「おい、まだウンコ垂れてる奴らがいるかもしれん、そいつの尻に矢を突き刺してやれ」
「早く、何してんだ?登れ。早く登るんだー」
「いや、ウンコ触りたくないっ」
「誰だ?ぶっ飛ばされたいのか?気にするな、登れー!」
「そっ、そっ、そんな、馬鹿な命令…っ」
「やれって言ったらやれ!登れって言われたら登るんだっ」
「ひぃ……っ、分かりました」
ズルッ、ズルッ、ズルルッ
「だれも、登れないっす」
「だめです、滑って登れません」
「う、ウンコが、顔に、ついたーっ」
「ウ、ウンコまみれの俺、嫁に嫌われちまうぜ」
「やばいぞ、臭いが染み付いちまうぞっ」
「クソー、クソだけにクソー」
「お前、今、冗談言ってる場合じゃねーぞ」
「登れったって滑って、全然登れねぞ」
俺たちは焦っている、なんだ?思いどおりに行かねーなぁ。
「今だよ、風おこして」
ん?こんな所にガキの声?まさかな。
ん?風?どっからだ?上か?――粉?
「ん。なんだ、この刺激?やばいぞ、喉がやられたーっ、ゴホッ」
「目が痛え、痛てーよ、開けられん」
「うぎゃー、なんだこれは喉が焼けるぞ」
「へっ、へっ、へークションッ!」
くそっ!目が痛い、涙が溢れるぞ。
喉も、鼻の奥も痛すぎる。
なんだ?どんな兵器を隠してあった?
こんなもの、どこに隠してあった?
これも聞いてねー。情報が違いすぎる。
「今だよ、網投下!」
誰だ?なんだ?うわっ。
「「「「うわっ、絡まっちまう」」」」
なんだ?なんだ。俺たちは巨大な蜘蛛の巣に引っかかっちまったぞ、やべぇ。
食われちまうのか?
ジタバタもがくが、俺たちがもがけばもがくほど、網は余計に複雑に絡みつく。
くそっ、身動き取れねぇ…
脳裏に浮かぶ――惨敗!
そんなはずねぇ。もがくが、絡まりすぎて、うごけねぇ。
また、脳裏をかすめる――敗北!
「うぎゃ…」
「痛てーっ」
「ぎゃぁぁぁ…」
「あっ、…足がぁぁぁ…」
足を切られた仲間たちが痛みに騒いでいる。
これが、奴らの戦力。
圧倒的な戦術。
予想だにもしなかった技。
そんな馬鹿なっ!「なっ…!」
もがくが、私もとうとう動けなくなった。
認めたくない!――負けを。
否定するんだ!――まだ終わってなど、いないんだ。
322
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
【完結】令嬢憧れの騎士様に結婚を申し込まれました。でも利害一致の契約です。
稲垣桜
恋愛
「君と取引がしたい」
兄の上司である公爵家の嫡男が、私の前に座って開口一番そう告げた。
「取引……ですか?」
「ああ、私と結婚してほしい」
私の耳がおかしくなったのか、それとも幻聴だろうか……
ああ、そうだ。揶揄われているんだ。きっとそうだわ。
* * * * * * * * * * * *
青薔薇の騎士として有名なマクシミリアンから契約結婚を申し込まれた伯爵家令嬢のリディア。
最低限の役目をこなすことで自由な時間を得たリディアは、契約通り自由な生活を謳歌する。
リディアはマクシミリアンが契約結婚を申し出た理由を知っても気にしないと言い、逆にそれがマクシミリアンにとって棘のように胸に刺さり続け、ある夜会に参加してから二人の関係は変わっていく。
※ゆる〜い設定です。
※完結保証。
※エブリスタでは現代テーマの作品を公開してます。興味がある方は覗いてみてください。
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
水神飛鳥の異世界茶会記 ~戦闘力ゼロの茶道家が、神業の【陶芸】と至高の【和菓子】で、野蛮な異世界を「癒やし」で侵略するようです~
月神世一
ファンタジー
「剣を下ろし、靴を脱いでください。……茶が入りましたよ」
猫を助けて死んだ茶道家・水神飛鳥(23歳)。
彼が転生したのは、魔法と闘気が支配する弱肉強食のファンタジー世界だった。
チート能力? 攻撃魔法?
いいえ、彼が手にしたのは「茶道具一式」と「陶芸セット」が出せるスキルだけ。
「私がすべき事は、戦うことではありません。一服の茶を出し、心を整えることです」
ゴブリン相手に正座で茶を勧め、
戦場のど真ん中に「結界(茶室)」を展開して空気を変え、
牢屋にぶち込まれれば、そこを「隠れ家カフェ」にリフォームして看守を餌付けする。
そんな彼の振る舞う、異世界には存在しない「極上の甘味(カステラ・羊羹)」と、魔法よりも美しい「茶器」に、武闘派の獣人女王も、強欲な大商人も、次第に心を(胃袋を)掴まれていき……?
「野暮な振る舞いは許しません」
これは、ブレない茶道家が、殺伐とした異世界を「おもてなし」で平和に変えていく、一期一会の物語。
『まて』をやめました【完結】
かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。
朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。
時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの?
超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌!
恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。
貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。
だから、もう縋って来ないでね。
本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます
※小説になろうさんにも、別名で載せています
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
• 『社交界の華は、影に咲く毒。〜私を捨てた世界、すべてお返しいたします〜』
ヨォコ
ファンタジー
「その黄金の瞳……なんて気持ち悪いの。我が家に化け物は必要ないわ」
名門伯爵家の娘として生まれたエレーナ。しかし、彼女に宿った未知の能力を恐れた継母イザベラは、実父の留守中を狙い、幼い彼女を雪の降る町に捨て去った。
死を覚悟した彼女を拾ったのは、帝国の裏社会を支配する「皇帝の弟」ヴィンセント公爵。
彼はエレーナの力を「至宝」と呼び、彼女を公爵家の実の娘として迎え入れた。
それから数年。
エレーナは、二人の過保護な兄と、五人の精鋭部下に囲まれ、美しくも最強の工作員へと成長していた。
すべてを暴く『黄金の瞳』、すべてを操る『魅了』、そして伝説の師匠たちから授かった至高の淑女教育を武器に。
一方、継母イザベラは父を捨て、さらなる権力を手に入れるため、悪名高い侯爵の妻として社交界の頂点に君臨していた。
「お久しぶりです、お母様。……化け物と呼ばれた私からの、お返しを受け取ってくださいね」
捨てられた少女による、優雅で残酷な復讐劇。
今、その幕が上がる。
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる