嘘つくつもりはなかったんです!お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。

季邑 えり

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第一章

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「で、これは、何?」

 翌日には、次回のお茶会の招待状が既に届けられていた。
 今回も、花束つき、それも、ロイヤル・ローズである。
 招待状には必ず花束がついているのかと思ったが、どうやら違うらしい、ということに、昨日気が付いた。

 そして、今日。またも花束がセットで届くとは。意味深すぎて怖い。

「お兄様に、相談しようかな」

 ここまで来ると、万一を考えて動かなくては。
 私がウィルストン王子の婚約者に指名などされた場合、ミンストン伯爵家の問題となってくる。

 先日つくったパウンドケーキも食べごろなので、それを持って行こう。

 、、ウィルティム様にも会えるといいな。





 休憩時間を見計らって、出かける用意をする。兄に会う時はなるべく簡単な服装にして、今日もふわりとしたワンピースを選んだ。

「ディリス兄さま! 今日もおやつを差し入れに持ってきました」

 鍛錬場で寛いでいるお兄様を見つけた私。
 駆け足で近づいていくと、周囲にいた騎士様たちが一斉に私の方を向いた。

「これは」
「すげぇ、噂通り、むちゃくちゃ可愛いな」

 普段と違った視線を感じる。やっぱり、この桃色の髪が珍しいのかもしれない。

「おい、ディリス。噂の妹君を紹介しろよ、いつも話をはぐらかしていて、名前さえ教えてくれないじゃないか」

「あ、あの、私」

 思わず戸惑ってしまうと、すぐにお兄様が助けてくれた。

「あ~、こいつはいいんだ。ウィルティムのお気に入りだから、な」

 なぜかここで、ウィルティム様の名前がでてくるのだろうか。
 不思議だなぁと思っていると、さらに周囲の騎士様たちが、驚いた顔をしている。

「そうか、ウィルティムの、か、それじゃ、マズイな」
「残念だが、そうか。仕方ないな」

 何が仕方ないのだろうか。

 話が全く見えないが、とりあえず騎士様たちは「じゃぁな」と言って、ディリス兄から離れて行った。





「お、お兄様。何故、私とウィルティム様と関係があるのですか?」

「ん? あ、まあ、な。ほら、お前は年齢より幼く見えるからな、騎士は大人の女が好きだから、気にするな」

 そう言って、早速私の持ってきたケーキをほおばっている。

「うーん、何かはぐらかされたみたいだけど」

「で、昨日はどうだった? 王子様のお茶会。無事に終わったんだろう?」

 普段は騎士寮に住むディリス兄さまに、昨日の出来事を細かく話した。
 そして、何故かわからないが王子にロックオンされたことも伝えた。

「そっか、とうとう、動き始めたか」

「ん? お兄様? とうとう、とは、どういうことですか?」

「いや、何でもない。こっちのことだ。で、リアリムはどう思っているんだ、その、殿下のこと」

「どう思うも、何も。迷惑でしかないわよ、こんな平凡好きの私にとって、王子様の婚約者だなんて、荷が重すぎる。できれば、というか、絶対に嫌」

「そっか、そこまで嫌いなのかぁ、うん、どうしようもないよなぁ」

「そうなの。でも、こちらから断るのは角が立つでしょう?何とかして王子様が私のことなんて忘れて、イザベラ様を選べばいいのにって、思っているのだけど」

「まぁ、話はうまくいかないよな~」

「はぁぁ~、どうにかして、嫌われないかなぁ、ウィルストン王子の嫌いな女性って、どんな人だろう」

 もうすでに、目立たない姿では嫌われることはない。だとしたら

「ねぇ、お兄様。私に恋人がいれば、王子様も興味を失ってくれるわよね」

「は? お前に恋人? まぁ、一般的には恋人のいる女性に手をだすことはないな」

 そんな会話をしていると、ウィルティム様が近づいてきたのが見える。

「あ、ウィルティム様! 今日はパウンドケーキですよ!」

 にこっと笑うと、ウィルティム様も太陽のように輝く笑顔をこちらに向けてくれた。

「いつもありがとう。早速、いただこうかな」

 お兄様用のケーキと違って、かわいらしくラッピングしたものを手渡す。

 こうして手作りのお菓子を食べてくれることって、とっても嬉しい。

「どうですか? お味は」

「うん、ラム酒が効いているね、美味しいよ」

 よかった、気に入ってくれたみたい。今回は大人っぽいケーキにしてよかった。

「この前は落ち込んでいたようだけど、今日はもう大丈夫なのかな?」

 ウィルティム様は目を細めて聞いてくれた。

「えぇっと、あまり問題は解決していないのですが、あっ!」

 ふと、名案を思い浮かんだ私は、とっさに口にしてしまう。

「ウィルティム様! お願いがあるのですが!」

「ん? 何かな?」

「えっと、私の恋人になってもらえませんか?」

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