クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美

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クラスのマドンナ vs 転校生!?修羅場の予兆

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 学校が終わり、俺は春樹と並んで歩いていた。

「なぁ、裕貴はさ、いつ佐々木に告るんだよ」

 突然の一言に、俺は思わず足を止めて春樹を見た。

「な、なんだよいきなり」

「いや、だってよ。あんなに距離近いのに、告白しないのはおかしいって」

 ……そっか。春樹は知らないんだった。俺が佐々木さんに一度、振られてること。

 俺は立ち止まり、春樹の目をしっかり見据えた。

「……俺、フラれたんだよ。実は」

「えっ!?」

 春樹が目を見開いて、足を止める。

「じゃあ、佐々木が好きな相手って、誰なんだよ」

「さあ。でも、俺はまだ諦めるつもりはない。……好きだからさ」

 素直にそう言うと、春樹はどこか納得したような顔になった。

「そっか。……頑張れよ、裕貴。応援してる」

 春樹の言葉が、優しく胸に響いた。

 そんな会話をしていると、春樹が急に立ち止まった。

「おい、あれって……噂の転校生じゃね?」

 春樹の視線の先を追うと、コンビニの前で何かを食べている女の子の姿があった。

 楽しそうに笑っていて、その隣には見覚えのある後輩――澤部さんがいた。

(あの二人、同じクラスか……?)

 そんなことを考えていた時、春樹が俺の首元を掴んできた。

「な、なんだよ急に」

「見ろよ、あれ……!」

 春樹が指差した先。そこには、澤部さんたちに絡む、見知らぬ男たちの姿があった。



「ねぇ君たち、少しだけ俺たちとドライブしない?」

 サングラスに金髪という、いかにもな男たちが、私と今日転校してきたばかりの五十嵐ちゃんを囲んでいた。

「あ、あの……私たち、これから家に帰るので……」

 私は精一杯の勇気を振り絞って言葉を返す。

 けれど、男たちは面白がるように笑いながら距離を詰めてきた。

「だったら、俺たちが送ってあげるよ! な? ドライブしようって!」

 ひとりの男が、私の肩に手を伸ばそうとする。

 怖い。震えが止まらない。

 その瞬間、五十嵐ちゃんが一歩前に出た。

「あの、私たち、そういうの大丈夫です。どこかへ行ってもらえますか?」

 きっぱりと言い切る五十嵐ちゃん。睨むような目で、男たちを見返していた。

「そんなこと言わないでさ~」

 男の一人が彼女の肩に触れようとした――その時。

「ちょっと。この子たち、嫌がってるじゃないですか」

 聞き覚えのある声。視線を向けると、そこには――裕貴先輩がいた。

 男の手首をがっちり掴んで、静かに、でもはっきりと睨んでいる。

「チッ、……はいはい、すみませんでしたー」

 男たちは舌打ちを残して、その場を去っていった。

「大丈夫? 二人とも」

 裕貴先輩が、優しい声で私たちに問いかけてくる。

「裕貴先輩! ありがとうございま――」

「ありがとうございます、先輩っ!」

 私が言葉を発するよりも先に、五十嵐ちゃんが目をキラキラさせてぴょこんと頭を下げた。

 その勢いに、裕貴先輩も一瞬きょとんとしていた。

「おーい、裕貴ー! この子だよ、今日の転校生!」

 背後から春樹先輩が駆け寄ってくる。

「そうなんだ」

「はいっ! 今日から転校してきました、五十嵐 累《いがらし るい》です!」

「五十嵐ちゃん……!?」

 彼女のその様子に私は思わず声を上げてしまう。

 そんな私の驚きをよそに、五十嵐ちゃんはグイグイと裕貴先輩に近づいていく。

「裕貴先輩っ!」

「は、はいっ!?」

「先輩って、好きな人いますかっ!?」

「はいっ!?」

 その場にいた全員の時間が止まった。

 裕貴先輩も、春樹先輩も、私も。
 五十嵐ちゃんのあまりに真っすぐすぎる言葉に、目を見開いて、ただただ固まっていた。
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