17 / 22
4階 ボス戦3
しおりを挟む
「それじゃあ…………」
ウン姉はまたプールからガサゴソとしてなにか取りだした。
「そんな量じゃ足りないと思ってオカワリ用意しておきました~♡」
ドーンとまた重音を響かせてまたあの肉と野菜の煮込み料理が出てきた。しかも先程よりもひと回り大きい気がする。
「…………くっ……!」
ナーシンはそれを見て顔を俯かせる。
「あのー、ナーシンくん。これ、どういう状況?」
流石に意味不明すぎてナーシンに恐る恐る聞いてみる。
「…………昔、母が亡くなったという話をしただろう……?」
「そうだったね」
「それからなんだ、姉がこうなったのは…………」
「こうなったとは?」
「姉は……姉は早くして母をなくした俺を悲しませないように毎日手料理を作ってくれたんだ……近所の人や近場のレストラン等でレシピを教わってとても子供とは思えない腕前になった……そしてその料理を食べて俺は喜び、毎日姉の料理を楽しみにしていた。その時だけは母を失った悲しみを忘れられた。その結果がこれだ……」
ナーシンはまた膝を床につき、床を叩く。
「姉は未だに俺が悲しくならないように、母がいなくて寂しくならないようにと大量に料理を出てくるんだ!しかも歳を重ねるごとに「育ち盛りだからね!」と言って量がどんどん増していく!だが俺はそんな健気な姉の料理を残してはいけまいというプレッシャーで毎度押しつぶされそうなんだ!ああ恐ろしい!」
ええ……まさかのそんな理由……?いい話?なのか?どういう感情になればいいの……?でも確かにナーシンがいくら超人でも胃袋の大きさはどうにもならないのか……。
そんな事を考えている間にナーシンは次の鍋に手をつけていた。
「ちょ、ナーシン、無理しない方がいいよ!さっきから思ってたけどこんなの一人で食べる量じゃないよ!全盛期のジャイアント白田が食べられるかも分からない量だよ!?」
「いや、食べなくては……姉さんを悲しませる訳にはいかない……!」
ナーシンは震える手でスプーンで煮込み料理をすくい、口に運ぼうとする。
「やめなって!こんな量食べたら流石の君も死んじゃうって!てゆーかコイツ君のお姉さんじゃないし!」
「いや、この人は確かに姉さんだ!料理の味も確かに姉さんのものだ!俺が時間になっても家に帰らないから心配してここまで料理を持ってきてくれたんだ!」
そう言うとまたガツガツと料理を頬張り始めた。
ヤバい……このままだとナーシンの胃がパンクしてまじで死ぬかもしれない……。だが僕のことを見向きもしていないウンディーネに言って聞くようなもんじゃ無いだろうし、そもそもウンディーネに僕の正体を言って仮に止めたとしてナーシンにも僕の正体がバレてしまう。そんなの絶対阻止しなくては……でも早くしないとナーシンが死ぬ……!どうするどうするどうする!?
僕は天才的な頭脳をフル回転させる。そりゃもう必死こいて今までの経験を元に解決策を導き出す。
そして2秒後、僕は1つの案を捻り出した。
そうだ、実際にナーシンのお姉さんを見てみよう。
なぜその結論に達したかって?それは人間の脳は結局曖昧にしか覚えていないからである。このウンディーネが化けたお姉さんは確かに今のナーシンには本物のお姉さんに思えているだろう。しかしこれは現在ナーシンがぼんやりと思い出したもの、いわば即席お姉さんなのだ。実際のお姉さんとは確実に決定的違いが生じるはずである。例えば身長が本当はすごく高かったり、目の色が違ったり。そこを指摘すればいけるのではないかと思った次第だ。
仕方ない、久々にやってみるか……。
僕は目を瞑り、『千里眼』を使う。この能力は遠くのものを見ることはもちろん、未来のことまで見通すことが出来る能力だ。疲れるからあまり使いたくなかったのだが今はそんなこと言ってられない。そしてこのウン姉そっくりな人を近くの街で探した。運良く街はすぐに見つかったのでくまなく探す。だがなかなか見つからない。
ならば……!
僕は『透視能力』も使い、街の人以外の建物や物を全て見透かす。
するとウン姉そっくりな人を見つけた。街の雑貨屋で本を読んでいるようだ。そしてその人物を観察する。
…………見つけた……完壁な間違いを……!
僕は目を開く。目の前には口に手を当て、苦しそうに料理を頬張るナーシンが見えた。
「ナーシン、もう頑張らなくていいよ」
「……いや、食べるのをやめるわけには……」
「わかったんだよ。いいかい?あれは君のお姉さんではない、紛れもなく偽物だ。何故ならば……」
ウン姉はまたプールからガサゴソとしてなにか取りだした。
「そんな量じゃ足りないと思ってオカワリ用意しておきました~♡」
ドーンとまた重音を響かせてまたあの肉と野菜の煮込み料理が出てきた。しかも先程よりもひと回り大きい気がする。
「…………くっ……!」
ナーシンはそれを見て顔を俯かせる。
「あのー、ナーシンくん。これ、どういう状況?」
流石に意味不明すぎてナーシンに恐る恐る聞いてみる。
「…………昔、母が亡くなったという話をしただろう……?」
「そうだったね」
「それからなんだ、姉がこうなったのは…………」
「こうなったとは?」
「姉は……姉は早くして母をなくした俺を悲しませないように毎日手料理を作ってくれたんだ……近所の人や近場のレストラン等でレシピを教わってとても子供とは思えない腕前になった……そしてその料理を食べて俺は喜び、毎日姉の料理を楽しみにしていた。その時だけは母を失った悲しみを忘れられた。その結果がこれだ……」
ナーシンはまた膝を床につき、床を叩く。
「姉は未だに俺が悲しくならないように、母がいなくて寂しくならないようにと大量に料理を出てくるんだ!しかも歳を重ねるごとに「育ち盛りだからね!」と言って量がどんどん増していく!だが俺はそんな健気な姉の料理を残してはいけまいというプレッシャーで毎度押しつぶされそうなんだ!ああ恐ろしい!」
ええ……まさかのそんな理由……?いい話?なのか?どういう感情になればいいの……?でも確かにナーシンがいくら超人でも胃袋の大きさはどうにもならないのか……。
そんな事を考えている間にナーシンは次の鍋に手をつけていた。
「ちょ、ナーシン、無理しない方がいいよ!さっきから思ってたけどこんなの一人で食べる量じゃないよ!全盛期のジャイアント白田が食べられるかも分からない量だよ!?」
「いや、食べなくては……姉さんを悲しませる訳にはいかない……!」
ナーシンは震える手でスプーンで煮込み料理をすくい、口に運ぼうとする。
「やめなって!こんな量食べたら流石の君も死んじゃうって!てゆーかコイツ君のお姉さんじゃないし!」
「いや、この人は確かに姉さんだ!料理の味も確かに姉さんのものだ!俺が時間になっても家に帰らないから心配してここまで料理を持ってきてくれたんだ!」
そう言うとまたガツガツと料理を頬張り始めた。
ヤバい……このままだとナーシンの胃がパンクしてまじで死ぬかもしれない……。だが僕のことを見向きもしていないウンディーネに言って聞くようなもんじゃ無いだろうし、そもそもウンディーネに僕の正体を言って仮に止めたとしてナーシンにも僕の正体がバレてしまう。そんなの絶対阻止しなくては……でも早くしないとナーシンが死ぬ……!どうするどうするどうする!?
僕は天才的な頭脳をフル回転させる。そりゃもう必死こいて今までの経験を元に解決策を導き出す。
そして2秒後、僕は1つの案を捻り出した。
そうだ、実際にナーシンのお姉さんを見てみよう。
なぜその結論に達したかって?それは人間の脳は結局曖昧にしか覚えていないからである。このウンディーネが化けたお姉さんは確かに今のナーシンには本物のお姉さんに思えているだろう。しかしこれは現在ナーシンがぼんやりと思い出したもの、いわば即席お姉さんなのだ。実際のお姉さんとは確実に決定的違いが生じるはずである。例えば身長が本当はすごく高かったり、目の色が違ったり。そこを指摘すればいけるのではないかと思った次第だ。
仕方ない、久々にやってみるか……。
僕は目を瞑り、『千里眼』を使う。この能力は遠くのものを見ることはもちろん、未来のことまで見通すことが出来る能力だ。疲れるからあまり使いたくなかったのだが今はそんなこと言ってられない。そしてこのウン姉そっくりな人を近くの街で探した。運良く街はすぐに見つかったのでくまなく探す。だがなかなか見つからない。
ならば……!
僕は『透視能力』も使い、街の人以外の建物や物を全て見透かす。
するとウン姉そっくりな人を見つけた。街の雑貨屋で本を読んでいるようだ。そしてその人物を観察する。
…………見つけた……完壁な間違いを……!
僕は目を開く。目の前には口に手を当て、苦しそうに料理を頬張るナーシンが見えた。
「ナーシン、もう頑張らなくていいよ」
「……いや、食べるのをやめるわけには……」
「わかったんだよ。いいかい?あれは君のお姉さんではない、紛れもなく偽物だ。何故ならば……」
24
あなたにおすすめの小説
魔王さまのヒミツ♡
黒木 鳴
BL
歴代最年少で魔王の地位に就いたレイには隠し通さなければならない秘密がある。それは……「魔王もうやだぁぁぁ~~!!下剋上こわいよぉぉぉーーー!!!」その実態が泣き虫ポンコツ魔王だということ。バレれば即・下剋上を挑まれることは必至!なので先々代の魔王を父に持ち、悪魔公爵ジェラルドが膝を折ったという2枚看板を武器にクールな魔王を演じている。だけどその実力を疑う者たちも出てきて……?!果たしてレイの運命は……?!溺愛腹黒系悪魔×初心な小悪魔系吸血鬼。お茶目なパパんも大活躍!!
【「麗しの眠り姫」シリーズ】溺愛系義兄は愛しい姫に愛を囁く
黒木 鳴
BL
「麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る」でセレナードを溺愛する義兄・ギルバートサイドのお話。大切で可愛い弟だと……そう思っていたはずだった。それが兄弟愛ではなく、もっと特別な愛だと気づくまでの葛藤や嫉妬を幼き日のセレナたんエピソードを添えて!惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバートのほのぼのBL第二弾!!
君に捧げる、魔法のレシピ〜さえない動画配信者の僕が、クラスの王子様的男子に恋をした結果〜
ryon*
BL
地味でおとなしい性格の高校生 佐藤 理人は、趣味でこっそりお菓子のレシピ動画を公開している人気配信者でありスイーツ研究家。
ある日理人は、幼なじみの太陽に味見用としてクッキーを手渡すところを、大路に見られてしまう。
しかも清雅は大の甘党で、理人が配信している動画の大ファンだったことが判明。
しかし清雅は、理人=推し配信者の『りとる』だとはまったく気付いていなくて……!?
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
魔力ゼロのポーション屋手伝い
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
15歳で測定する魔力の量によって、人生の大部分が左右されてしまう世界。
そんな世界で、運命の日を迎えたひとりの平凡な少年──リクは、抱いた淡い期待を大きく裏切られる。魔力が前代未聞のゼロと言い渡されたのだ。
深い絶望とともに頭を抱えていたとき、森でポーション屋を営んでいるというくたびれた男が声をかける。路頭に迷っていたリクは、店で手伝いをしてはどうかという彼の誘いを受けることにする。
捨てかけた夢を拾ってもらった少年と、拾った男。ふたりが絆を深めていく、ポーション屋でのお話です。
一人称おじさんくたびれ男性×魔力ゼロ以外平凡青年のBLです。
カクヨムにも載せています。(完結済み)
死に戻り騎士は愛のために願う 〜10回だけの奇跡〜
湯川岳
BL
「一生苦しむがいい。その呪いは俺からのプレゼントだ」
幼い頃に出会った友から呪いを貰ってしまったユーリ。
時は流れ、シューベルト家次男のアルトを追って騎士団に入隊をし、副団長まで上り詰めたユーリ。
毎日アルトの世話をしていく内に心惹かれていく。
「キスしてみろよ。それでオレが嫌じゃなければ……考えてやってもいい」
ユーリはアルトに口付けをする。そして呪いがこの時を待っていたかのように発動してしまった。
意識が乗っ取られ、目を覚ませばそこにあったはずの幸せは鮮やかな赤で染まっていた。
その日を境に始まったのは、暗くて長い道のりだった。
※アルト編、ユーリ編。どちらから先に読まれても大丈夫です。
エンディング異なります。それもお楽しみ頂けたら幸いです。
※最後はハッピーエンド確定。4話までだいぶ暗めの話なので苦手な方はお気をつけ下さい。
※タイトル変えてみました。
旧:死に戻り騎士の願い
表紙素材:ぱくたそ
異世界の遊郭に拾われたオメガは、ただ一人に愛される
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
オメガであることでさんざんな目に遭ってきたオメガちゃん。
オメガである自分が大嫌い!
ある日事故に遭い、目が覚めたらそこは異世界。
何故か遊郭に拾われますが、そこはオメガだけが働くお店で戸惑う
ことばかり。
しかも、お客であるアルファ氏には毎日からかわれて?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる