【完結】試練の塔最上階で待ち構えるの飽きたので下階に降りたら騎士見習いに惚れちゃいました

むらびっと

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エピローグ

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半日くらい歩いただろうか?もう夕日が沈みかけている。

 「イミリア、故郷の町が見えてきたようだ」

 「ほんと!?うわぁー、長かった~。僕もう疲れてヘトヘトだよ~」

 とは言うものの、半ばほとんど浮遊術で浮きながら来たので体は別に疲れてはいない。

 「暗くなる前に早く行こー」

 「……なあ、イミリア。先程から言おうと思っていたことがあるのだが……」

 「ん?なんだい?」

 「その……浮遊術?とかいうので浮いたまま移動するのはやめて貰えないだろうか……」

 「え?なんで?浮いてた方が楽だし歩くスピードも君に合わせられていいと思うんだけど?」

 「いや、なんというか……目立つから……出来れば他の術や魔法も町に着いたら控えて欲しい……」

 「なんでさ!僕がなんでも出来たら役に立てるだろう!?」

 「それでも控えて欲しいんだ……」

 なんでそんなこと言い出すんだろ?そりゃあ確かに術や魔法が使えるものは多分珍しがられるだろうけど………やっぱりナーシンも結局世間体というものが大事なのかな……

 なんだか自分を否定された気になって僕は宙に浮きながら横になり、ナーシンから顔を逸らす。こんな早くに恋人の嫌な所に直面するとは思わなかった。

 「……ふーん、そうなんだ。ナーシンって以外に薄情だね」

 僕は明らかに拗ねているふうに答えた。

 「なっなんでそうな………!」

 「あのねぇ、僕は仙人だよ?なんの術も魔法も使わないなんて死ねって言ってるようなものじゃん」

 「そんな風に言ったつもりでは……!第一何かあれば俺が守ってやれる……!」

 「あのね!一応言っておくけど僕は君よりとんっっっでもなく歳上でめちゃくちゃ強いんだからね!本当は守られる必要なんか微塵もないし!だから君が世間体気にしてようが僕は構わず飛び回るし魔法だって使うんだからね!」

 「それは困る!頼むからやめてくれ!」

 あーあ、慌てちゃって。そんなに僕を普通の人間にしたいかね。

 「ふん、いいよ。どうせ僕の気持ちなんかよりみんなから色眼鏡で見られる方が怖いんだ。ナーシンのビビり」

 「違う、イミリアの気持ちを尊重したい気持ちはあるんだ……でも……」

 「でも、なんなのさ」

 僕は詰め寄るように顔を近づけ睨みつける。

 ナーシンは足を止め、何か言いこまねいている様子だ。

 「ほら、言ってみなよ?この僕に、なんの不満があるんだい?」

 「……………困るんだ………目立たれると………」

 「だからその話は」

 「こんな美しい人が目立ってしまったら誰かに盗られるかもしれない!!」

 「え?」

 え?なんで?

 僕は思わず目を丸くする。

 「な、なんで僕が目立つと誰かに盗られるんだよ!?」

 「だって!貴方は分からないかもしれないが貴方は非の打ち所が無いほど美しく愛らしい人なんだ!もし目立ってこんな素敵な人が町にいると気づからてしまったら国中の貴族が……いや、王国すらも動いて貴方に婚姻を申し出るかもしれない!そんなこと絶対に阻止しなくてはいけない!!」

 「な、なるほど……?まあ、僕が美しくって愛らしいのは自覚してるけども………」

 それでもそこまで言うか……?

 ナーシンの熱烈な褒め言葉に若干引き気味に照れてしまう僕。

 「とにかく!俺は何がなんでも貴方と離れ離れなんて絶対に嫌なんだ!」

 言ってることはまるで駄々っ子だがその真剣な眼差しに僕はまた心が打たれてしまう。

 「……しょうがないなぁ、分かったよ。でもたまには息抜きで誰にも見られないように魔法とか使うからね?」

 「たまになら……大丈夫なのか?でも譲歩してくれてありがたい。感謝する」

 「そうだ!たまに君に魔法とかかけちゃおうかな~?」

 「……………」

 僕の冗談交じりの意地悪を聞いてナーシンは黙ったままになってしまう。

 「どうしたの?」

 「……………魔法なら今、かかっている」

 「え、僕なんにもしてな……」

 「貴方と……貴方と手を繋いで歩いて行きたい魔法……」

 ナーシンの顔が真っ赤に染まっているのは夕日のせいなのかはたまた違うものなのかは分からない。その赤く染った顔がなんだか艷っぽく見えて……

 「な…………なんだよも~!初めから素直に言いなよ~。仕方ないなあ~」

 僕も多分顔が赤いだろう。
 僕は地面に降り立ち、ナーシンの右手をとった。

 「さっきの魔法使って欲しくない言い訳はもしや照れ隠しですか~?全く君は頭が回るなあ~」

 「いや、あれも本当のことで………」

 「そうなの?まあいいや、全く君は可愛げがあるやつだ!」

 僕は背の高いナーシンの頭をつま先立ちで撫でてやる。

 2人して照れ隠しをしながら夕日を背中に故郷の町を目指す。

 空にはうっすらと三日月が光っている夕暮れの話だ。
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