【完結】 その身が焼き切れるほどの嫉妬をあなたにあげる

紬あおい

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46.披露パーティでの一目惚れ

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大公邸の一番大きなホールで、披露パーティは行われた。
そこには、公国の上位貴族が一堂に介し、帝国からも主要な貴族が招待されていた。

「ジークフリード、レナリア、陛下の誕生パーティ以来だな。とても素晴らしい結婚式だった。」

「エステファン殿下!わざわざお運びいただきまして、ありがとうございます。」

「いや、陛下が来られれば良かったのだが、ああ見えても年だからな。あはは!」

「そんなことありません。陛下も皇后様も、まだまだお若いですわ。」

エステファンは、レナリアとジークフリードを交互に見て、しみじみと言った。

「そなた達を見ていると、本当に似合いの夫婦だな。俺も結婚したくなる…」

「ならば、この会場でお気に召した令嬢がいらしたら、こっそり教えてください。エステファン殿下なら選びたい放題ですよ?」

「あははは、レナリア、そなたは実は面白い子だったのだな。ジークフリードと出会って、元々の性格が出て来たな?」

「かもしれません。レナリアはかなり天然です。くくっ。」

そこへ、キルリードとヴィヴィアンがやって来た。

「エステファン殿下、大変ご無沙汰しておりました。妻のヴィヴィアンです。」

「おう、キルリード!ヴィヴィアンも、本日はおめでとう。そなたといい、ジークフリードといい、幸せ全開だな。俺にも良い子が居たら紹介してくれ。」

いつもは穏やかなエステファン殿下も、おめでたい日にはテンション高く、口数が多い。
きっとルーセント殿下の話題にならないように配慮してくれているのだと、ジークフリードは思った。

その時、ヴィヴィアンの傍に一人の令嬢が歩いて来た。

「ヴィヴィアンお姉様!」

それは、ヴィヴィアンの妹のクリスティだった。
その瞬間、エステファン殿下の顔が真っ赤になった。

(あれ!?殿下、まさか!)

レナリアは、気付いてしまった。
エステファン殿下が恋に落ちた瞬間を。

(これは、是非取り継がねば!!)

レナリアが下を向き、小さく拳を握ったのを見て、ジークフリードも察した。

(レナリアは意外とお節介焼きらしいな。まあ、ひと肌脱ぐか!)

「殿下、よろしければクリスティ嬢とダンスでも如何ですか?殿下は公国のご令嬢のお知り合いはいらっしゃらないでしょうから。」

「あっ、あぁ、ク、クリスティ嬢が良ければ一曲。」

「エステファン殿下にお誘いいただけるなんて、光栄です。宜しくお願いします。」

クリスティは満面の笑顔をエステファン殿下に向けた。
エステファン殿下は、片手で顔を覆い照れていたが、キリッと表情を引き締めて、ホールへとエスコートして行った。

「ジーク…殿下、ガチだわ。右手と右足が一緒に出てる…」

「あれはヤバいな…一目惚れだな。是非取り持ってやりたいなぁ。」

「えぇ…俺とヴィヴィアン、殿下が義弟になるのか…?」

「エステファン殿下…クリスティのタイプ過ぎて、ちょっとこれは…」

華麗なダンスを披露するエステファン殿下とクリスティに、四人は今後の展開を見守ることにした。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ここまでお読みいただき、ありがとうございます😊
残すところ、本編二話、外伝二話の全五十話となります💡
最後までお付き合いいただけましたら幸いです
よろしくお願い申し上げます🙇‍♀️

いつもありがとうございます☺️💖

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