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4.意図せず求婚
しおりを挟む馬車が公爵邸に着くと、先に降りたシステイン様が笑顔で私に手を差し伸べる。
「リシェル嬢、お手をどうぞ。」
眩いばかりの笑顔に、私は冷や汗が出る。
「え…?」
更なる微笑みを追加して、掌を差し出す。
「どうぞ!」
これ以上このままでは失礼かと思い、恐る恐る手を乗せてエスコートしてもらう。
「あ、腕はこちらに。ではリシェル嬢、参りますよ?」
そのままシステイン様と腕を組んで、ソフィア様の元へ行くことになった。
応接室に入るとソフィア様が驚いた顔でこちらを向いた。
「あら?シスとリシェルちゃん?!二人でどうしたの?」
システイン様はニヤリと笑って話し出した。
「母上、リシェル嬢と結婚することになりました。結婚式は、なるべく早くと考えています。」
「「えーーーっ?」」
ソフィア様と私の声が応接室に響き渡る。
「え…あのっ、シス??リシェルちゃんだったの?ていうか、知らないからリシェルちゃんに昨日相談しちゃったじゃない。ごめんなさいね、知らなかったのよ、リシェルちゃん。リシェルちゃんなら大歓迎よ!シス、そうだったら早く言いなさいよ!要らぬ恥かいちゃったじゃない!!結婚式は早目に?いいわよ、今日から準備を始めなさい!!」
ソフィア様の怒涛の発言に、私はただ驚くしかなく、呆然とその場に立ち尽くしていた。
リシェルちゃん、リシェルちゃんしか頭に入って来ない。
逆に、システイン様はソフィア様の反応を面白がる余裕がある。
「まぁ母上、落ち着いてくださいよ。いくら『式は早く』と言っても、つい先程リシェルから『結婚しましょう!』とプロポーズされたばかりなのですから!」
「あ………」
私はやってしまった。
言いました、確かに言いました。
(どなたか良い方を見つけて)は口から出ていなかったんだなと今気付いた。
そして、システイン様の視線を感じて俯く。
「リシェル、君は積極的な人だったんだね。」
「……………」
何と話せばいいのか。
たぶん顔は赤くなったり青くなったり忙しいだろう。
「取り敢えず、母上。今日はリシェルも緊張気味みたいだけど、これから二人でいろいろ相談して決めていくから、モンテフォール侯爵様と夫人には、さらっと連絡しておいて。後日、正式にご挨拶に伺います、と。」
「分かったわ!リシェルちゃんが娘になるなんて嬉しいわ。コートニー夫人とも話さないとね!!」
そんなこんなで、ソフィア様とのお話は終わった。
「では、少し庭園でも歩こうか。」
システイン様は、また私の腕を自分の腕に絡ませて、庭園に向かった。
自分が招いたとはいえ、急な展開に私は呆然と引き摺られて行った。
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