【完結】 言葉足らずな求婚 〜運命は勝手に回っていく、いや操られていく!?〜

紬あおい

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3.端折ってしまった言葉と即答

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翌日、システイン様からお手紙が届いた。
『明日の昼、一緒に食事しましょう。迎えの馬車を送ります』という内容だ。
お手紙の美しい文字と、二人での食事に気分が上がる。

みんなで集まるのもいいのだが、システイン様は人の話をじっくり聞いてくださるので、話していてとても楽しいのだ。
幼馴染とはいえ、尊敬とか憧れとか、そういった対象であることは間違いない。

ウキウキとした気持ちで迎えた当日。
公爵家の馬車に乗り、待ち合わせの場所へ向かった。

予約してくださっていたらしく、個室に通されると、以前会った時よりも大人びたシステイン様が笑顔で出迎えてくれた。
艶のある金髪とブルーグレーの目が美しい。

「久しぶりだね、リシェル。元気にしてたか?すっかりレディだな。」

「ご無沙汰しておりました。システイン様は相変わらずの美丈夫ですね。眩しい位です。」

「ちょっと会わないうちに、リシェルが社交辞令を?くくくっ!」

システイン様は楽しそうに笑った。
子どもの頃と変わらない笑顔にほっこりする。

食事をしながら、お互いの近況報告から会話は始まった。
途中、あまりにお料理が美味しかったので会話が止まることもあって、その時はお互いに、にこにこと目だけ笑った。

会えていなかった半年間、システイン様は仕事が忙しいこと、生活が不規則になって少し痩せたことなどを話してくれた。

私はこの前ソフィア様に話した、自分の今後のことなどを相談した。
結婚してもしなくても、女性が自立する為に勉強しているけど、なかなか難しいと愚痴も聞いていただいた。

「リシェルは真面目だなぁ。でも、凄くいいことだと思う。自分の立場や今後のことを考えるのは良いことだ。相談したかったり、分からないことがあれば、母上や俺を頼りにしてくれ。忙しいとはいえ、その位の時間は取れるしね。今日みたいに!」

システイン様の優しさに嬉しくなる。
この方は、人に寄り添うことが出来る方なんだ。

「あ、そう言えば、リシェルが俺に話があると母上に聞いたのだけど?」

私ったら、肝心なことを忘れるところだった。
ソフィア様との約束!
こんな素敵なシステイン様なのに、お相手が居ないのか?とか、居たら私はショックかも?とか、急に混乱してきたが、約束は守らねば!!と焦ってしまった。

「(どなたか良い方を見つけて)!」

私はテーブルにバンッと手を付き、立ち上がって、システイン様に言い放った。
頭の中にだけ在った言葉と口から出た言葉が合致してないことに気付かない。

システイン様は口をあんぐり開けて、数秒考えた後にキッパリ言った。

「分かった!すぐしよう!!」

「ん?」

「これから母上の所に行くから、リシェルも来て!」

こうして、私とシステイン様は馬車に飛び乗るように公爵家に向かった。
馬車の中で、システイン様のお相手について聞きたかったが、先程から自分の心臓のドキドキと、少し悲しい気持ちの胸の痛みがぐちゃぐちゃに襲ってきて、結局黙っていた。

システイン様は目を瞑って考えごとをしているようだった。
そんな顔まで美しいこの人を幸せにするのは、どんな方なんだろう。
胸の真ん中に、冷たい針がすうっと刺さるような痛みを覚えて、少しだけ泣きたくなった。
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