【完結】 言葉足らずな求婚 〜運命は勝手に回っていく、いや操られていく!?〜

紬あおい

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5.抱擁

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美しく咲くたくさんの薔薇を横目に、システイン様と庭園を散歩する。

こうして並ぶと、私はシステイン様の肩よりも背が低いことに気付く。
組んだ腕も筋肉で硬く、チラリと盗み見すれば胸板も厚い。
すっかり男の人なんだなぁと場違いなことを考えていた。

「ガゼボでひと休みしようか。」

「はい。」

二人きりということに、妙に緊張してしまい、すっかり無口になってしまう。
それを知ってか知らずか、明るい声でシステイン様は話す。

「リシェル、君となら公爵家を盛り立てていけると思うんだ。よろしく頼むよ。」

「……………」

「どうした?さっきはあんなに情熱的に求婚してくれたのに。テレなくてもいいから!」

「わ、私で…いぃんですか…?」

今更違うと言えずに、戸惑いながら聞いてみる。

「リシェルならいいよ。公爵家の仕事もきちんと熟してくれるだろうし、信頼関係が築けると思うんだ。」

あぁ、そうか。
システイン様は公爵様になるのだから、家を守ることが大切なんだ。
真面目だけが取り柄で、ソフィア様とも上手くやれそうな私は所謂適任ということなんだ。

「私でよろしければ、公爵家の為に最善を尽くします。」

一瞬、「ん?」というような顔をしつつ、続けてシステイン様は言った。

「公爵家の繁栄の為には世継ぎも必要なので、子どもはたくさん居てもいいからね。もちろんリシェルの体も大事だから様子を見ての話だけど、夫婦の閨事は積極的にしたいと思う。」

(ね、や、ご、とーっ!!!)

叫びそうになる自分を必死に抑える。

「ご指導いただけましたら…が、が、が、頑張りますっ!」

システイン様は、くくっと笑った。

「そろそろ侯爵邸に戻る時間かな。またすぐ会おう。手紙を送る。」

馬車まで歩き出そうとした瞬間、後ろからシステイン様に抱き締められる。
システイン様の頬が私の耳にすりすりと当たる。

「システイン様?」

「シスって呼んで?俺達、結婚するんだから慣れないと。」

心臓のドキドキがシステイン様に聞こえているのではないか?と思える位に高鳴る。

「シス様?」

「『様』は要らない。」

「シス…」

「そうだ。俺は『リシェ』って呼ぶよ。」

耳にちゅっと唇が触れて、システイン様が「ふっ」と笑った。
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