【完結】 言葉足らずな求婚 〜運命は勝手に回っていく、いや操られていく!?〜

紬あおい

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26.公爵夫人からのアドバイス

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システイン様のお母様、そして、これから私のお義母様になられるソフィア・ネーデルラント公爵夫人は、日頃から個人的にお茶会を開いて、お得意の刺繍を見せていただく仲だった。
社交的ではない私にとって、ソフィア様は親友のように感じていた。
なのに、急にお義母様になることになった為、私も動揺やら緊張やらが隠せない。

結婚前とはいえ、公爵家の一員としてこちらに住まわせていただくには、きちんとしたご挨拶をしたいと願い出た。
システイン様は「別にいいのに」と軽く受け止めていたが、私がそうしたいのだ。
公爵様はご都合が悪かったようだが、ソフィア様は快諾してくださった。

「リシェルちゃん、公爵邸にようこそ!待ってたのよー。シスがちっとも連れて来ないから…ほんと、あの子は…はぁ…」

「ソフィア様…いぇお義母様…?この度は結婚をお許しいただき、ありがとうございます。でも、しばらく姿を隠していて申し訳ございませんでした。システイン様は私の為にいろいろしてくださったので…」

「どうせシスの失言で、リシェルちゃんの気分を悪くさせたんでしょう?あの子、たまにデリカシー無さ過ぎるところがあるのよ…ネーデルラントの血筋というか…あの子の父親もね…」

「な、内容は、ちょっと恥ずかし過ぎて言いづらいので…」

「公爵には言わないから、私だけに教えて?」

ソフィア様の可愛いウィンクに負けて、家を出た経緯を話してしまった。
ソフィア様はシステイン様に猛烈に怒った。

「んまぁー!女の子に向かって、他の男性の存在を疑うとか、シスったら失礼にもほどがあるわ!!あの子の父親そっくり!」

「え…公爵様も、ですか…」

「もうね、馬鹿な親子でしょう?あっちだって童貞のくせに閨事が変に上手いのに!ほんと失礼だわっ!!」

「ぷっ、ふふふ…それですわ、まさに。システイン様は女性に人気がおありですから、もしや?と思ったりするのですが…私だけだときっぱり仰るので信じることにしました。」

「それは大丈夫!」

ソフィア様はニヤリと笑って言い切る。

ネーデルラントの男性は、この人だと思ったら浮気や余所見は一切なし。
その分、執着が酷く、人目も気にせずにイチャイチャしたがる。
美しく着飾った姿を他の男性に見せたくないからと、舞踏会には連れて行きたがらない。
夫人のお茶会さえ嫌がる。

「だからね、シスはリシェルちゃんだけよ。ひと月の交際期間なんて上手く言ってるようで、実はシスがリシェルちゃんと一緒に居たかっただけだわ。本当にあの子、そういうことには天才的に頭が働くのね。」

薄々感じていたけど、ソフィア様に言われると「やっぱりな」と確信に変わる。

「何かね、もう結婚するって言われた時から、シスの思い通りな気がするわ。でも、自分の失言で逃げられるとは、シスも詰めが甘いわね。」

「あと、失言の後、体調を崩して私がシステイン様のお手紙を無視したら、ヘイゼルに『私がシステイン様と結婚する!』って言われたんですよ。社交界とか苦手な私が公爵家に嫁入りするよりは、ヘイゼルのような子の方が向いてる気がして…」

ソフィア様は「はぁ…」と溜め息をついた。

「リシェルちゃん、姉妹で顔がそっくりだからといって、ヘイゼルちゃんをシスに充てがっちゃダメよ?ヘイゼルちゃんの嘘は、荒療治しようとして失敗したけどね。それと今思えば、シスは子どもの頃からリシェルちゃん一筋だったわ。私がシスの想いを失念していたのと、リシェルちゃんを娘のように思い過ぎて、シスと兄妹のように接していたのが良くなかったわ。シスのお嫁さんになってもらうなら、リシェルちゃんほどピッタリな女性は居ないのに!変なお願いをしたから、拗らせてしまったわね…ごめんなさい。どうかシスを受け入れてあげて?リシェルちゃんのご両親含め、シスの想いをみんな知ってるから、交際期間なんてものを見守ったの。」

何だか、みんなに見守られて実った初恋なのかなぁと思えてきた。
適齢期になって自覚するものじゃなく、システイン様を好き過ぎる日常が当たり前になっていたんだ。
姿を見掛けると走って会いに行くのも、実は分かっていても質問攻めにして傍にべったりだったことも、ドキドキもワクワクも、改めて感じる必要がない日常だったんだ。

「ソフィア様、私、シスが大好きです…ずっとシスのお傍に居たいです。もっと執着されると嬉しいです。シスの隣りに堂々と居られるように頑張ります。」

急な決意表明にソフィア様は微笑んだ。

「気負わなくても大丈夫、シスはリシェルちゃんが後をついていくのではなく、並んで歩いていけるように、ちゃんとサポート出来る子よ。ただ溺愛を隠さなくなったからテレないで、出来るだけかまってあげて?そうすればネーデルラントの男は可愛らしいから。」

「ふふふ、恥ずかしいけど頑張りますね。」

血筋と言われたら、公爵様とお会いしたら笑ってしまわないように気を付けなきといけないわ。
ソフィア様がいつまでもお美しいのは、愛されているからなのね。
システイン様と私も、あんな素敵なご夫妻になれるかしら。
結婚生活に期待が膨らむ。
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