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27.執務
しおりを挟む公爵邸に住むようになって五日。
システイン様に邸内を隈なく案内してもらい、いろいろ慣れてきたので、お仕事も教えて欲しいと願い出た。
「リシェは何もしなくていいのに…」
「そういうわけにはいきません。それに、シスのお仕事を手伝えたら、一緒に過ごす時間が増えるでしょう?」
「今から始めよう!」
早速お義母様のアドバイスが役立つ。
やっぱりシステイン様も可愛らしいネーデルラントの男性だわ。
それに、システイン様に似合う女性、妻で在る為にも、私が頑張りたいのだ。
皇太子殿下がシステイン様に任せているお仕事は無理にしても、公爵家のお仕事は覚えれば出来る筈だもの。
そうして、システイン様は公爵様から任されているお仕事を教えてくれることになった。
これから楽しみだ。
一つ気になるとすれば、この見習い期間だけでなく、執務室はずっと同じであるということだ。
「この執務室はシス専用ではないの?」
「あぁ、今まではそうだったが、これからは夫婦の執務室だ。狭いなら別の部屋を改装させるが?」
「いゃいゃいゃ、部屋は充分広いし、本もたくさんあっていいと思います。ですが、一日中私と一緒で、シスは大丈夫ですか?」
「はっ?リシェが居た方がいいに決まってる!何故離れなきゃいけないんだ?皇宮に行く時も一緒だし。他の時も一瞬たりとも離れないけど?」
「あ…はい…」
そうだった。執着とはこういうことだ。
排泄時以外は、既にどこへでも私を連れ歩いていた。
「シスがそれで大丈夫なら、私はずっと一緒に居ますね。」
「うん、そうして!リシェは俺の安定剤だからね。急に変なこと言い出して、俺を不安にさせたから、ちょっとこっち来て?」
不安にさせるようなことはしていない筈だけど、一応近付いてみる。
とは言え、机一つ分だけど。
「きゃっ!」
「捕まえた!はい、口付けて?」
何でこうなる…
すっぽり包まれるように抱かれ、口付けを催促してくるなんて。
ふしだらで魅力的な人。
「目は閉じてください…」
言う通りに目を閉じたシステイン様の瞼に口付ける。
瞼、頬、鼻の頭、そして唇。
下腹に不意に感じる圧迫感。
「これ以上はダメですからね?」
「くっ…リシェが意地悪だ…」
「お仕事中はいけません。」
もう一度、口付けると、強く抱き締められて深い口付けをされる。
抗えない気持ちを何とか我慢して、体をそっと離すと焦れた瞳で見つめてくる。
「続きは夜に…」
ニカっと笑ってシステイン様が私を下ろす。
「その言葉忘れないでくれよ?ここに来た夜以来、ずっとおあずけなんだからな。」
いつかのデジャヴ、再び。
いや、お預けした分、溜まってる…
自分の首を締めてしまった気持ちになった。
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