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11.変わらぬ愛を
しおりを挟むあれから十年。
フィーロは公爵となり、私の実家と提携した事業も拡大した。
子どもも男の子ばかり五人生まれ、大家族となった。
社交界では、スタンリー公爵の愛妻家振りは有名となっている。
「レイ、さっき話していた男は誰だ?」
「取り引き先の担当者が代わるって…」
「俺に言えばいいのに!今度からは俺に言うようにしてもらわねば。」
取り引き先が訪問しても、うっかり立ち話も出来ない。
的外れな嫉妬に困惑する。
そんな時は、困った私を子ども達が助けてくれる。
「お父様、大丈夫!僕達がお母様を守りますから!!」
おもちゃの剣を振り回して見せる。
小さな騎士達は、表情だけは勇敢だ。
「そうか。頼んだぞ!何しろレイシアは可愛いからな!!」
「うん!お母様は可愛いもんね!!」
こんなことを子ども達に言うなんて、と思っていると、蛙の子は蛙だった。
「あなた達、大声でそんなこと言うの、やめなさい!!」
フィーロが笑いながら近寄って来て、私を抱き上げ、頬に口付ける。
「怒っても可愛いな!!」
「お父様だけずるいー!僕達もお母様とちゅーするっ!!」
その場にしゃがむと、四方八方から口付けの嵐だ。
そんな私は、苦笑いしながらも幸せを実感している。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私が幸せにしてあげると思っていたけど、お互いに思い合う気持ちがあるからこそ、幸せになれるんだね。
最初にフィーロを好きになったのは私だ。
顔が良かったし、家柄は申し分ないし、知れば知る程、気遣いの出来る優しい人だった。
家の為ではなく、自分の為にフィーロの傍にいたかった。
アンジュさんのことも、どうしようかしら?と思っただけで、本気で離縁することは考えていなかった。
まぁ、捨てられたらどうしようとは思ったけど。
フィーロには未だに言えないが、アンジュさんは『愛されたい人』なんだ。
だから、ジョゼフさんにもフィーロにも靡いてしまう。
そして、強引な方について行ってしまう。
フィーロは、ジョゼフさん程の我慢は出来ないだろうから、ジョゼフさんとアンジュさんはお似合いだと思う。
今となっては、これも一つの正解なのかもしれない。
長年連れ添って、フィーロは本当に頼れる公爵であり、良き夫あり父でもある。
明朗快活な性格はそのままに、愛情深い人になった気がする。
愛情が深過ぎて、私のお腹の中には赤子がいる。
フィーロは、女の子が産まれるまで頑張るつもりだと言うが、単に絶倫なだけなのだと思ったりもする。
フィーロの的外れな嫉妬も執着も、私にとっては心地良い。
心だけは手に入らないと思っていたのに、愛されて、家族になれた喜びと共に、もっと私に執着して欲しいと思う。
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