ヤンキー上がりの浜崎君は眼鏡ちゃんを溺愛してます

きぬがやあきら

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放課後

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「無理だって。諦めろよ? 俺はどっちでもいいけど、その気になってくれた方がお互い気持ちいい……」

「い・や!!!!」

 ありったけの力を込めて叫んだ! 絶対嫌だ。死んでも嫌だ。

 力を使いすぎたのか、身体のバランスが崩れた。

 後ろのめりに倒れそうになって――――



 「深雪!!」


 
 力強い腕に支えられる。

 その声に、折れそうだった心の芯に力が戻った。

 扉が開いたため、身体が傾いたのだ。

 暖かい、暖かい胸。安心して体を預けられる腕。

 これは紛れもなく……

「和貴くん……?」

 和貴のものだ。

 涙が……やっと流れ落ちた。

 ぐったりと、力ない体を、和貴はしっかり抱きとめてくれる。

「浜崎、どうやって……!!」

 悪役よろしく、杉原が和貴を睨みつけた。

 どうやってかは、すぐに判明する。

 ドア付近には不動校のブレザーを身につけた青少年達が無残な姿で転がっていた。

 念のためにと、杉原が見張りに置いていた連中だった。

 防音性能の高さが、返って仇となり状況の把握ができなかったようだ。

 いずれも白目を剥いて、仰向けに倒れている。

 和貴が、正面から倒した証拠だ。

「和貴く……」

「ごめん深雪。……ちょっと待ってて」

 和貴はたった今まで格闘シーンがあったことをまったく思わせない美しい姿のままだ。

 ブリーチのかかったサラサラの髪を揺らし、深雪をそっとソファーに座らせた。

 うつむいていて表情は見えないが、後姿には言葉の優しさと裏腹に怒りのオーラがにじみ出ている。

「折角来てもらって悪いが、結局女は俺のものになるんだぜ! 女は強い男に惚れるって相場が決まってんだよ!」

 当初の目的をすっかり失念している阿呆の言葉に深雪は「とんでもない!」と首を振りたかった。

 だが、すっかり力が抜けてしまい、少し傾げただけで終わってしまう。

 ああ、困った弱虫だわ、と自分に活を入れ目を離した一瞬で。



 ごきっ



 本当に文字通りの鈍い音がして、杉原はフロアーの中央まで飛ばされていた。

 足と足が絡まって、頭の上でクロスしているというとんでもない姿をダンスフロアーに飾り、そのまま微動だにしない。

 瞬く間の出来事に唖然としていると、和貴はスタスタと踵を返し、戻って来た。

 何事もなかったかのように和貴は深雪を抱き上げる。

「さ、行こう」

 わかってはいたが、先ほどの杉原の大口は本当に一体なんだったのだろう。

 戸惑うくらいの呆気なさで、二人は空間を後にした。

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