ヤンキー上がりの浜崎君は眼鏡ちゃんを溺愛してます

きぬがやあきら

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京都へ

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 身長は169センチ、中背だがやや細身なのでもう少し小柄に見られることも多い。

 自己評価では容姿も標準。和貴ほどではないが顔立ちもなかなか整っている……はず。

 雰囲気からはどらかというとおっとり系に分類されるだろう。

 天然パーマが目立たぬよう、できる限り短く切ったくせ毛の先が、怒りでふるふると震えた。

 拓也は季節外れのインフルエンザで、一週間ほど学校を休んでいた。

 深雪とD組の和貴が二人の付き合いを知ったのは、修学旅行の前日だ。

「初日は〝ショーゲキ走る”って、あちこちでかなり騒いでたんだけどね。まあ、人の噂も七十五日ってやつ?」

 付き合い始めはクラスメイトをはじめ学年中で噂されたりもしたようだ。

 だが、一週間も経つとその話題は周知の事実となり、大袈裟に騒ぐまでもなくなる。

 ちょうど話題性のなくなる頃に拓也は復活を果たした。

 授業の遅れや修学旅行の準備に躍起になっているうちに、二人の関係を知るチャンスを逃してしまっていたのだ。

 放課後は囲碁部の活動に精を出しているのも災いした。

「修学旅行で告白しようと前から色々考えてたのに、抜け駆けしやがって、浜崎の野郎! 修学旅行まで待つのがお約束だろうが! せっかくこの日のためにメガネだってコンタクトへ変えたのに!」

「そんなん、植田からしたかもしんないじゃん……」

「んなワケあるか!!」

 拓也は小学校来の親友に向かって吠えた。

「植田さんに限ってそんなこと、あるわけないだろ。あんなヤンキーと! きっとムリヤリいう事聞かされて……」

 そこまでまくしたてて、拓也は自分の言葉にはっとした。

「そうだ……そうだよ。無理やりだよ」

 でなきゃあの真面目な植田さんが、浜崎となんてありえない。

「えぇ? そんな風に見えなかったけど? 勝手に決めつけるなよ」

 何らかのクエストの合間に、悟が釘を刺す。

 反対意見を出されたようだ。

 だが、こんな、ゲームをしながらの意見など、当てになるものか。

「行こう。……早く! ひょっとすると、植田さんが危ない」

 唐突に嫌な予感がして、しゃがむ悟を拓也は引き起こす。

「早く行って、二人を引き離さないと。浜崎の奴、この機に乗じて悪いことを企んでるかも」

「ヤだよ、そんなの。お前の思い込みじゃね? 迷惑だったら植田だって二人にはならないよ。どーしてもって言うならお前一人で行けよ」 

「なんだよ薄情な奴だな、見てろ!」

 仲間の理解を得られず、どころか塩対応を受けて拓也は半ばやけくそになった。

「俺は一人でも、真実を突き止めてやるからな!」

 捨て台詞を友に浴びせて、走り出す。

 これはもう、何が何でも“植田さんが嫌々付き合わされている”様子を見届けて、確固とした証を得た上で別れさせなければ。

「後をつけるなんて止せよー。ストーカーだぞ、それぇ」

 やる気のない呼びかけを無視して、拓也は走った。

 すべては思い込みの激しい陰キャの、初恋の故だった。






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