ヤンキー上がりの浜崎君は眼鏡ちゃんを溺愛してます

きぬがやあきら

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京都へ

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(可愛……)

 純粋に思うと、頭に血が昇る。

 他人前で破顔しそうになり、ぐっと奥歯を食いしばった。

 白のブラウスに紺色のワンピース、その上に羽織った少し大きめのパーカーが余計に可憐さを引き立てている。

 それに…………

「髪………」

 いつもと違い、めずらしく髪をおろしている。

 しかも顎回りのラインから、ふんわりと緩いウエーブがかかっている。

「あ、これ? 三つ編みのあとついちゃって……このままでも行けるって鵜呑みにしちゃったけど、やっぱり変かな?」

 深雪は慌てて癖を伸ばそうと、髪を撫でつけ始めた。

「いや、そのままでいいんだ。すごく」

 和貴は無駄に震えようとする拳を開いて、とっさに押し留めていた。
 
 ふわふわと、優しく弾むカーブに指を差し込んで掬い上げた。

「すごく、可愛いから……」

「えっ?」

 髪に触れられて、深雪の頬にさっと赤みが走った。

 ほぼ無意識の行動ながら、深雪の反応に和貴もカーッと耳が熱くなる。

 それでも、和貴は顔を伏せぬように必死にふんばった。

 可愛いもんは可愛く、本心を口にしたのだ。恥じて俯くなど、男らしくない。











「お、来たな。――あれ?」

 中途半端なタイミングで、光一がトイレから戻って来た。

 動かなくなった和貴と深雪の姿を目にして、首をかしげる。

「なにあれ? どうしたの? 新しい壁ドン的なやつ?」

 手を拭きながら、呑気な声でお道化ていた。

「ほっといて行こ! ……もう! 深雪、四十分にここで待ち合わせね!」

 半ば光一を引きずるようにして、友香は足早に駅を出る。

(まったくあの二人には付き合ってらんない! 聞いてるこっちが恥ずかしいわ)

 女子の髪に触れて、平気でキザったらしい台詞を吐くくせに。

 あの男は照れるから、尚癖が悪い。

 自分までむず痒くなる前に退散を決め込んだ。












「……あっ、ありがとう。私たちも……」

「ああ、行か、なきゃな」

 何とかうつむかずにこらえた和貴は、自らの成長を密かに感じていた。












「ちぇっ、何だよアレ」

 仲睦まじく出発する二人を尻目にぼやく青年がひとり。

「ああ、浜崎と植田? 付き合ってんだって?」

 この時期は高台寺のライトアップイベントがあるため、祇園四条駅を散策場所先に選ぶ生徒も少なくない。

 藤原拓也らもまた、安易に行き先を選んだひと組だった。

 しかし悲しいかな、周囲はカップルばかりだ。

(だって植田さんが情報誌見てたの知ってたから……。だから選んだんだ。なのに……浜崎が一緒だなんて聞いてなかった!)

 というかあいつと付き合ってるなんて寝耳に水だ。

「なんであいつと付き合ってんだ? どういう事だよ、いつの間に!?」

「さぁな。気づいたら一緒にガッコ来てたぞ。ちょーどお前しばらく休んでたしな」

 友人――黒い短髪に、上下ジャージ姿の原田悟はSwitchのプレイ画面から目をそらさず答える。

 悟にとっては友人の恋愛事情よりも、目の前のモンスター退治の方が重要だった。

 深雪たちを見て、息巻いてるのは拓也一人だ。拓也は深雪らと同じB組のクラスメイトだった。




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