ヤンキー上がりの浜崎君は眼鏡ちゃんを溺愛してます

きぬがやあきら

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京都へ

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 初日のクラス別観光は、非常にスムーズに進んだ。

 新幹線で京都まで行き、バスに乗り換え市内観光。

 二条城を見学し、昼食後金閣寺を拝観。

 宿での学年集会を経て夕食を済ませた後に、待ちに待った自由散策の時間がやってきた。

 許された時間は夕食後の約三時間。

 外出するかしないかの選択は任意だが、外出する者は所定の用紙に氏名と行き先、携帯電話の番号も記入する決まりになっていた。

 門限タイムリミットは午後九時だ。

 深雪は友香と、和貴は光一と出発し、祇園四条駅で落ち合う手筈になっていた。








「あれー、光一は?」

「今トイレ」

 友香が改札を出ると既に和貴が待っていた。

 柱にもたれているものの、背が高いので一目でわかる。

「なんだ。出る前に行ってくれば良かったのに」

「深雪は?」

「今、チャージしてる」

 Suicaの残高がギリギリで、帰りの分がないからと深雪は券売機で入金の処理をしていた。

 東京駅に向かう前にチャージすればよかったのに、和貴と一緒では言い出しにくかったそうだ。 

 自動券売機を指さすと、和貴の頬がわずかに緩むのが見てとれた。 

 まったくどれだけ好きなんだよ。とつっこんでやりたかったが、また赤面されても面倒なのでとりあえずスルーする。

「お待たせ! ……待たせちゃったよね?」

 財布とカードを手に持ったまま深雪が駆け寄ってきた。

 と、同時に和貴の右頬に緊張が走る。

 ぎっ、と強固に奥歯を噛みしめていると伝わった。

 同時に肩の後ろに隠した右手の拳も、ぎぎぎっ、と強く握りしめられる。

 何事が起きたのかと、友香は目を疑った――









 


 和貴は身の内に起こった動揺を、抑えるのに躍起になった。

 深雪とは今朝会ったばかりだ。

 なのに、いつも会っている時間帯や場所、服装が違うせいか何だかお互い雰囲気まで違う気がする。

 普通ならば修学旅行は授業の一環なので制服での行動が義務付けられている。

 だが、夜間の外出は危険防止のため私服の着用が認められていた。

 危険防止のための私服着用とは――平たく言うと、修学旅行生のカツアゲ対策だ。

 それでもある程度の時間帯に、連れ立って歩く学生の集団がいれば修学旅行生だとはバレバレだ。

 隠す必要があるのかと疑問にもなった。

 そもそもカツアゲなんて、されようものなら5秒もかけずに返り討ちにして、記憶喪失にしてやる自信がある。

 そうすれば二度と、制服相手に馬鹿な気は起きなくなるだろう。

 しかし今は、必要などなくても対策を推奨してくれて良かったと、心からの感謝をした。

 塾の後に会った時など、和貴は深雪の私服を一・二度見たことがあった。

 だが今日の、彼女・・のそれを見るのは初めてだった。

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