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クラウディオの提案
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返事をしそうになるレオノールを、やんわりとメリッサが制す。
「レオノール様は意識は回復したものの、まだ療養中ですから、どうかベッドへ。……お見舞いとは、どなたがいらしたのですか?」
(は~い、分かりましたよ)
メリッサの指示は善意に溢れているから好きだ。
レオノールは怪我人の振りをするべく、大人しくベッドに戻る。
クラウディオの情報操作は徹底していた。
アルヴァロ王子は帰国するギリギリまで、面会を望んでいた。
「どうか一目でもお姿を拝見したい。お礼とお詫びを申し上げたい。妃殿下のお役に立てるなら、私のマナを捧げたい!」
レオノールは表向き、一命を取り留めたものの意識不明の重体、とされていた。
実際には射られた翌日中にはピンピンしていたのだが。
面会謝絶を言い渡してあっても、アルヴァロは諦めず、何度か部屋の前までやってきていた。
せめて祈りを捧げたい! と喚く声も聞こえたほどだ。
アルヴァロには護衛も見張の騎士もついていたのに、大した執念だった。
抑止するクラウディオとの問答が扉越しに聞こえてきた時には、吹き出してしまいそうになった。
(アルヴァロ王子ってば、クラウディオ様とはまた違ったタイプの王子様で、面白かった~。刺客に狙われても態度が変わらないんだから、あれはあれで立派よね)
そのアルヴァロもとうとう、一昨日帰国した。
帰路は心細いだろうが、異国の地エルグランにいても危険には変わりない。
こちらの兵も護衛にと多めに派遣したそうだから、どうにか無事に帰り着いてくれることを祈る。
そんな経緯で面会謝絶は解かれたが、城の関係者にも傷の具合は知られぬようにと引きこもりは続いている。
レオノールを訪ねる者は他になく、午前のうちに医師が診察のフリをして訪れるくらいだ。
もそもそとシーツの間に滑り込みながらも、訪問者が気になって聞き耳を立てていた。
するとメリッサがこちらに意見を求める視線を送ってくる。
頷くと、メリッサは花籠を抱えてやって来た。
「レオノール様、フランチェスカ・ハロルド様がお見えだそうです。お花だけでもお渡ししたいとのことなのですが」
「おや、商務大臣の娘さんね」
レオノールは軽く首を傾げながらも、ふっと口元を綻ばせた。
「せっかくだから入ってもらってよ。もうアルヴァロ王子もいないし、せっかく来てくれたのにお花だけもらうのも、ね? ちゃんと、病人のふりするから」
メリッサも、退屈なレオノールが珍妙な筋トレに勤しむよりはマシだと判断したのだろう。
それに戒厳令が継続していれば、ここまでを通過できないはずだった。
メリッサが扉へ戻り返答をすると、鮮やかな空色のドレスを纏ったフランチェスカが、ふわりと軽やかに入室した。
彼女は狩猟会の折に蜂騒ぎを起こした令嬢の一人だ。
だがその表情は、あの日の気まずさを感じさせるどころか、心からの安堵と敬意に満ちていた。
「レオノール妃殿下……! 本当に、ご無事で何よりです。お怪我の具合は?」
「ありがとう。おかげさまで、大分いいよ。こんな格好でごめんなさいね」
フランチェスカは、じっとレオノールの顔色を眺めた。
普段は淑やかだが、なかなか胆力の据わった娘だ。
満足ゆくまで眺めると、不意にポッと頬を染める。
「本当に……後加減がよろしいようで、安心しましたわ。お顔の色も瑞々しいようで。胸を撫で下ろしました」
そう言ってから彼女は改めて頭を垂れた。
「レオノール様は意識は回復したものの、まだ療養中ですから、どうかベッドへ。……お見舞いとは、どなたがいらしたのですか?」
(は~い、分かりましたよ)
メリッサの指示は善意に溢れているから好きだ。
レオノールは怪我人の振りをするべく、大人しくベッドに戻る。
クラウディオの情報操作は徹底していた。
アルヴァロ王子は帰国するギリギリまで、面会を望んでいた。
「どうか一目でもお姿を拝見したい。お礼とお詫びを申し上げたい。妃殿下のお役に立てるなら、私のマナを捧げたい!」
レオノールは表向き、一命を取り留めたものの意識不明の重体、とされていた。
実際には射られた翌日中にはピンピンしていたのだが。
面会謝絶を言い渡してあっても、アルヴァロは諦めず、何度か部屋の前までやってきていた。
せめて祈りを捧げたい! と喚く声も聞こえたほどだ。
アルヴァロには護衛も見張の騎士もついていたのに、大した執念だった。
抑止するクラウディオとの問答が扉越しに聞こえてきた時には、吹き出してしまいそうになった。
(アルヴァロ王子ってば、クラウディオ様とはまた違ったタイプの王子様で、面白かった~。刺客に狙われても態度が変わらないんだから、あれはあれで立派よね)
そのアルヴァロもとうとう、一昨日帰国した。
帰路は心細いだろうが、異国の地エルグランにいても危険には変わりない。
こちらの兵も護衛にと多めに派遣したそうだから、どうにか無事に帰り着いてくれることを祈る。
そんな経緯で面会謝絶は解かれたが、城の関係者にも傷の具合は知られぬようにと引きこもりは続いている。
レオノールを訪ねる者は他になく、午前のうちに医師が診察のフリをして訪れるくらいだ。
もそもそとシーツの間に滑り込みながらも、訪問者が気になって聞き耳を立てていた。
するとメリッサがこちらに意見を求める視線を送ってくる。
頷くと、メリッサは花籠を抱えてやって来た。
「レオノール様、フランチェスカ・ハロルド様がお見えだそうです。お花だけでもお渡ししたいとのことなのですが」
「おや、商務大臣の娘さんね」
レオノールは軽く首を傾げながらも、ふっと口元を綻ばせた。
「せっかくだから入ってもらってよ。もうアルヴァロ王子もいないし、せっかく来てくれたのにお花だけもらうのも、ね? ちゃんと、病人のふりするから」
メリッサも、退屈なレオノールが珍妙な筋トレに勤しむよりはマシだと判断したのだろう。
それに戒厳令が継続していれば、ここまでを通過できないはずだった。
メリッサが扉へ戻り返答をすると、鮮やかな空色のドレスを纏ったフランチェスカが、ふわりと軽やかに入室した。
彼女は狩猟会の折に蜂騒ぎを起こした令嬢の一人だ。
だがその表情は、あの日の気まずさを感じさせるどころか、心からの安堵と敬意に満ちていた。
「レオノール妃殿下……! 本当に、ご無事で何よりです。お怪我の具合は?」
「ありがとう。おかげさまで、大分いいよ。こんな格好でごめんなさいね」
フランチェスカは、じっとレオノールの顔色を眺めた。
普段は淑やかだが、なかなか胆力の据わった娘だ。
満足ゆくまで眺めると、不意にポッと頬を染める。
「本当に……後加減がよろしいようで、安心しましたわ。お顔の色も瑞々しいようで。胸を撫で下ろしました」
そう言ってから彼女は改めて頭を垂れた。
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