将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら

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「女の入団を認めるとは。我がアルディア王国の聖騎士団も落ちたものだな。騒ぎの種になるだけだというのに」

 冷たい物言いに、オリヴィエはショックを受ける。

(私のこと、覚えてない……の?)

「おい、女。お前は俺について来い。そいつらとは部屋が違う。セルゲイ、引き続きサル共を小屋へ案内しろ」

「……お任せください、団長。オリヴィエ、行きなさい」

 ルーカスは名前を呼ぶどころか、オリヴィエを待たずに、さっさと踵を返す。

 セルゲイに促されて、オリヴィエは慌ててその背を追った。

「オリヴィエ・シルバーモント。お前は第1隊、隊長補佐へ配属だ。自己紹介が遅れたが、俺がその第1隊、隊長兼聖騎士団長、ルーカス・アルディアだ」

 オリヴィエは昔話を懐かしむ間もなく、団長の執務室へ連れられた。

 ルーカスは他の男達のような人懐っこい笑みを向けることもなく、無表情で淡々と説明を始める。

「あちらが男子寮になる施設、向かい側にあるのが訓練棟だ。

……お前達はここで共同生活を過ごすことになる。

部屋は通常相部屋だが、生憎寮は、男子寮しかない。

だからお前には、特別にこちらの管理棟の一室を用意してある。

食堂は朝5時・夜19時から開いているから、自分で食事を取りにいけ。

風呂も20時まで自由に出入りできるが、こちらも男子専用だ。

お前が入る時には立札をかければ他の者は入らぬよう注意してある。

だから、利用は30分以内に留めろ。嫌なら部屋のシャワーを使え。

あとは……一々説明するのも手間だ。

この解説書を読んでおけ」

 ルーカスは言い放つと同時に、辞令と地図の描かれた解説書を放り投げる。

 オリヴィエは戸惑いながらも、慌ててそれを拾い上げる。

「返事は、どうした?」

「はいっ! 了解致しました」

 オリヴィエは慌てて敬礼をする。するとルーカスは面倒くさそうにため息をついた。

(え……?)

 10年という月日は、ルーカスを完璧な貴公子へと成長させていた。

 しかし、目の前の本人は記憶の中の彼とはまるで別人のようだ。

(私は……嫌われてる? いえ、まだ私は何もしていないわ。まさか、本当にすっかり、何も覚えていないの……?)

 オリヴィエは、自分の中に悲しみが募るのを感じた。

 だが、それを態度に出してはいけないと、必死に己を律した。

 紙片を拾い上げようと屈んだところへ、つとルーカスの靴が接近した。

 身体を上げると、すぐ傍にルーカスが屈んでいて、視線が合う。

 澄んだ双眸に射貫かれて、オリヴィエはしばし呼吸を忘れた。
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